最終更新:2021年12月24日

敷金礼金なしの物件は退去費用が高くなる?という疑問にお答えします。
敷金礼金なしの物件が存在する理由、退去時の費用にどんな影響を与えるのかを解説します。
退去費用や初期費用を抑える方法や、敷金礼金なし物件のメリット・デメリットも紹介するのでぜひ参考にしてください!
この記事は、宅地建物取引士で現役の賃貸営業をしている豊田さんに監修して頂きました。
不動産屋「家AGENT」の営業マン
宅地建物取引士
賃貸の仲介会社「家AGENT」の現役の営業マン。宅地建物取引士の資格を取得している。営業マンとしての経験と専門知識を活かして、お部屋探しや入居審査についての不安や疑問を解決しています。
敷金なし物件は退去時の費用が高くなる
「敷金なし」や「敷金礼金なし」の賃貸物件は、退去時に支払う退去費用が高くなります。
敷金を支払っている物件と比べると損をしたと感じる人も多いですが、トータルで支払う金額が高くなるわけではありません。
入居したときに支払わなかった分の費用をまとめて精算するので、負担が大きくなったように感じるだけです。
ただし、例外的に退去費用を高く請求される物件があります。後ほど詳しく解説します。
敷金とは退去費用にあてるための初期費用
敷金とは、退去費用にあてるために大家さんへ支払う預け金のことです。
退去するときには、お部屋を元の状態に戻す「原状回復義務」があります。敷金はお部屋の修繕費用やクリーニングなどに使われて、余ったお金は返金されます。
敷金ありの物件となしの物件の違いは、入居時に支払うか退去時に支払うかの違いだけです。
礼金の有無は退去費用に影響しない
礼金は、敷金とは別のお金なので、退去費用には直接影響しません。
礼金とは、お部屋を貸してもらうお礼として大家さんに支払うものです。敷金とは違って、退去時に返金されません。
近年、礼金なしの物件が増えてきています。国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査」によると、礼金なしの物件は48.2%です。
礼金なしの物件を借りても、退去時のデメリットはありません。
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敷金礼金なし物件の退去費用を抑える方法
「敷金礼金なし」や「敷金なし」の物件を借りた場合に、退去時の費用を抑える方法を紹介します。
ただし、敷金を預けていない以上は、退去時の支払いは必ず発生します。
- ・納得いかない内容の契約書にはサインしない
- ・入居直後のお部屋を写真で記録する
- ・入居中はお部屋をきれいに使う
- ・退去立ち会い時に負担箇所を確認する
- ・見積書をもとに値引き交渉する
納得いかない内容の契約書にはサインしない
納得のいかない内容や、理解できないことが書かれている賃貸契約書にはサインすべきではありません。
とくに「敷金なし」や「敷金礼金なし」の賃貸契約の場合は、退去費用やハウスクリーニングについての特約が契約に含まれていることが多いです。

入居直後のお部屋を写真で記録する
入居したら、荷物などを運び込む前に室内の様子を写真などを使って記録してください。
設備の不具合など、写真では記録できないものはリストにまとめ、コピーを管理会社や大家さんに送ります。
入居時の客観的な記録を残していおけば、退去時に身に覚えのない修繕を請求されるリスクを避けられます。
入居中はお部屋をきれいに使う
傷や汚れの箇所が少なければ、退去時の修繕費用は安くなります。
故意に壁に穴を空けたり、床を傷つけたりした場合は、修繕費用を追加で請求される場合があるので気をつけてください。
また、お部屋を明け渡すときに徹底して隅々まで掃除をすることで、費用を抑えられることがあります。
退去の立ち会い時に負担箇所を確認する
退去の立ち合いの際には、不動産屋の担当スタッフや大家さんと一緒に修繕箇所を徹底的に確認しましょう。
立ち合いを通して自分が負担する範囲を明確にしておけば、不当な請求を防げます。

見積書をもとに値引き交渉する
退去費用は、見積書を送ってもらい交渉することで安くなる場合があります。
修繕箇所ごとの費用の相場をインターネットで調べ、交渉の材料にすると良いです。
不動産屋のなかには内訳の記載がない請求書を送ってくることがありますが、すぐに振り込んだりせずに、見積書を要求してください。
敷金礼金なしの物件が存在する理由
敷金礼金を初期費用をとして支払う物件が多いなか、敷金礼金なしの物件がある理由を解説します。
初期費用を抑えて借りやすくする
敷金と礼金をなしにすれば、初期費用を抑えて入居できるので借りやすくなります。
賃貸のお部屋で空室が多いと、大家さんの家賃収入が減ります。大家さんは空室状態が続くのを避けたいので、敷金礼金をタダにして人を集めようとします。
そのため、物件自体に魅力がないものが比較的多いです。駅から離れた物件や設備が古いなど、お部屋の条件が悪い場合があります。
保証会社の利用が必須
入居時に保証会社の利用が必須の物件は、敷金を支払わなくても良いケースがあります。
敷金は退去時の修繕費用にあてられるだけでなく、家賃滞納のリスクを避けるためにも使われます。
いわば、保証金のような役割があるので、保証会社を利用して審査が通れば敷金は必要ないという大家さんがいます。

敷金礼金なしの物件を選ぶメリット
敷金礼金なしの物件を選ぶメリットを2つ紹介します。主に初期費用に関しての恩恵が大きいのが特徴です。
初期費用を抑えられる
敷金礼金がない物件は、入居時に支払う初期費用を大きく抑えられます。
敷金礼金の相場は家賃1ヶ月分です。初期費用は家賃の4.5~5ヶ月分ほどかかります。
家賃7万円で敷金礼金なしのお部屋を契約した場合は、約20万円の支払いで済みます。
とくに、礼金は大家さんへの謝礼金となるので、その分の費用が削られるのは借主の立場からすると大きなメリットです。
家賃が高めのお部屋に住める
初期費用を抑えられることで、家賃が高めのお部屋に住むことができます。
お部屋探しの際に、なかなか条件に合うものが見つからない場合は、敷金礼金なしで家賃を少し高く設定して探すと条件に合うお部屋が見つかりやすいです。
ただし、5年や10年など居住期間が長くなると、敷金礼金がある物件よりも支払い総額が高くなる可能性があります。
敷金礼金なしの物件を選ぶデメリット
敷金礼金なしの物件を選ぶデメリットを4つ紹介します。
- ・相場より家賃が高め
- ・退去費用を高額請求される可能性がある
- ・入居後の設備修理費が自腹の可能性がある
- ・物件に魅力がない
相場より家賃が高め
敷金礼金の金額分を家賃に上乗せしている場合は、物件があるエリアの家賃相場よりも家賃が高いことがあります。
周辺相場よりも5千円以上高い場合は、内装写真や設備情報を確認して妥当な値段か確認すると良いです。
以下の表は、家賃6万円で敷金礼金1ヶ月分の物件と、家賃8万円で敷金礼金なしの物件で、初期費用を含めた年間支払額を比べたものです。
家賃6万円 (礼金1ヶ月分) |
家賃8万円 (礼金なし) |
|
---|---|---|
敷金 | 60,000円 | 0円 |
礼金 | 60,000円 | 0円 |
仲介手数料 | 60,000円 | 70,000円 |
鍵交換費用 | 15,000円 | 15,000円 |
保証会社利用料 | 60,000円 | 80,000円 |
火災保険料 | 15,000円 | 15,000円 |
管理費・共益費 | 3,000円 | 3,000円 | 家賃(12ヶ月分) | 720,000円 | 960,000円 |
合計 | 993,000円 | 1,153,800円 |
敷金と礼金は入居時に1度だけ支払うものです。しかし、家賃は毎月支払いがあるので、上乗せされていた場合、5年や10年など長期間住み続けると損をします。
敷金礼金なしでも、相場より家賃が高いお部屋はなるべく避けましょう。
退去費用を高額請求される
敷金を支払っていない分、退去時にお部屋の退去費用を高額請求される可能性があります。
物件によっては、本来は大家さんが負担すべきハウスクリーニング代や消毒費などが、すべて借主の負担になってしまいます。
退去するときに借主が負担するものは、契約書に記載されていることがあります。「クリーニング代一律◯万円」などと記載がある場合は、借主に費用を負担する義務があります。

入居後の設備修理費が自腹の可能性がある
入居後、自然消耗で設備が壊れた場合でも、修理費が自腹になることがあります。
基本的に、自然消耗の修理費は大家さん負担ですが、敷金礼金の中から差し引いている場合がほとんどです。
修理依頼をしても「自分で手配して」「自腹でお願い」などと対応され、修理費用も自己負担になる可能性があります。

物件に魅力がない
敷金礼金なしの物件は、物件に魅力がなく人気がない可能性があります。
人を集めるために、敷金礼金なしに設定することがあります。駅から距離がある物件や、築年数が経って古い物件など、条件が悪いものが多いです。
すべての敷金礼金なしの物件が人気がないわけではありません。しかし、敷金礼金なしの物件は数少ないので、条件が良いお部屋は埋まりやすいです。
初期費用をは値引き交渉できる
敷金礼金を支払う必要のある物件でも、交渉して値引きしてもらえます。
とくに、礼金は値引きしてもらいやすいです。礼金は大家さんの収入となりますが、空室が続くなら値引いてでも入居してほしいと考えるからです。
賃貸業界の閑散期に募集をしている物件では値引き交渉がしやすいです。引っ越しの時期を調整できるなら、6~8月や11~12月を狙うと良いです。
交渉するときは「値下げできたら必ず契約する」と伝えると、交渉に応じてもらいやすくなります。
初期費用を分割すれば負担が少なくなる
敷金礼金なしの物件を選べなかったり、貯金が少なくて初期費用を支払えない場合は分割払い可能の物件を探してください。
分割払いで対応してくれる不動産屋が増えています。チェーン展開している不動産屋ではクレジットカードでの分割払いが可能です。
ただし、クレジットカードに対応していても一括払いしかできなかったり、指定のクレジットカードしか対応していないことが多いです。

分割払いできる物件を探す方法
クレジットカードに対応していても、一部の物件や自社で管理していない物件は一括払いしかできないことがあります。
ネット上の不動産屋「イエプラ」は、全物件クレジットカード決済に対応していて分割払いができます。新しくカードを作る必要がないので、既存カードのポイントが貯められます。
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