「敷金礼金なし物件はデメリットが多い?」
「出るときの退去費用が高いって本当?」
せっかく賃貸に引っ越すなら、初期費用はできるだけ安く済ませたいですよね!敷金礼金なしのいわゆる「ゼロゼロ物件」なら、およそ家賃2ヶ月分のお金を節約できます。
ただし、敷金礼金がなくなる仕組みは知っておくべきです。初期費用が安い理由を知らないと、入居してから後悔する可能性があります…。
そこで当記事では、敷金礼金なし物件のメリットデメリットを解説します。東京や大阪などの物件数や、退去費用がいくらになるのかも紹介しています。
不動産屋「家AGENT」
池袋店 店長
「家AGENT」池袋店の店長で、賃貸業界歴10年以上です。管理職になる前の年間接客件数は380~400件と経験豊富です。お部屋探しに関して、設備や費用などの悩みも的確にアドバイスしています。
そもそも敷金礼金なしとは
敷金とは大家さんに預けるお金のこと
敷金とは、退去費用などに備えて大家さんに預けておくお金です。主に、室内クリーニングや修繕費(原状回復費用)に充てられます。
入居者はお部屋を出るときに、元通りに直す「原状回復義務」があります。自分で付けた傷や汚れは入居者の負担で直します。
家賃滞納などのトラブルがなければ、修繕にかかったお金を差し引いた金額が戻ってきます。
敷金から充てられる費用の例
- ・退去時のクリーニング代
- ・原状回復費用
- ・家賃の滞納分
- ・退去時の違約金
- ・そのほか入居者が負担すべき費用
クリーニング代や原状回復費用のほかにも、敷金から差し引かれる費用はあります。代表的なのは家賃の滞納分です。
家賃の未納分があれば、入居中もしくは退去時に精算します。入居中に差し引かれた場合は、足りなくなった分を補填する必要があります。
礼金とは大家さんに払うお礼金のこと
礼金とは、入居させてもらうお礼として大家さんに払う謝礼金です。相場は家賃1ヶ月分ですが、物件を出るときは返金されません。
礼金は昔からの慣習が残ったものと言われています。上京する子どもの親が、お世話になる謝礼として大家さんにお金を渡していた説が有名です。
現代で考えたとき、入居者にとってメリットがないので「礼金なし」で探す人は多いです。
敷金礼金の扱いは東日本と西日本で異なる
関西圏などの西日本では、敷金と礼金の扱い方が異なります。敷金の代わりに「保証金」という名目でお金を預けます。関東よりも高額で、相場は家賃3~6ヶ月分です。
保証金と同時に「敷引き」の費用が設定されます。退去時に必ず差し引かれるお金のことで、相場は家賃1~2ヶ月分です。西日本の敷引きと東日本の礼金は、ほぼ同じ扱いです。
退去時は保証金から敷引き分が差し引かれ、使わなかった分が返金されます。
敷金礼金なし物件が存在する理由
- ・空き家が増加しているため
- ・条件が悪い物件のため
- ・保証会社に加入するため
- ・公的機関が募集する物件のため
空き家が増加しているため
敷金礼金なしで募集される理由としては、空き家が年々増えていることが関係しています。総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」から、賃貸の空き家数をまとめてみました。
2018年時点の調査結果によると、全国にある賃貸の空き家は約432万戸で、年々増えているのが分かります。
敷金礼金なしで募集する大家さんは「一刻でも早く入居者を見つけたい」と考えています。家賃収入がないとローンを返済できず、生活が苦しくなってしまうからです。
条件が悪い物件のため
- ・駅徒歩が遠い
- ・築年数が古い
- ・設備が古い
- ・日当たりが悪い
- ・路線沿い
- ・お墓の近く
- ・住環境が悪い など
敷金礼金なし物件は、条件があまり良くない特徴があります。駅徒歩が20分以上や、築年数が35年以上などのお部屋です。条件の悪さから空室期間が長くなっている物件も多いです。
大家さんは「空室が続くよりは早く入居してほしい」と考え、敷金礼金なしで募集するケースがあります。生活環境よりも、家賃の安さを求める人には向いています。
保証会社に加入するため
保証会社とは、入居者が滞納した家賃を一旦立て替えてくれる会社のことです。退去費用の未納分にも対応してくれます。
大家さんは入居者の滞納を心配しないで済むため、敷金礼金なしで物件を募集できます。
注意点として、保証会社に加入するには審査に通る必要があります。本人の年収などから、家賃の支払い能力などをチェックされます。審査に落ちたらお部屋は借りられません。
公的機関が募集する物件のため
公的機関が募集する物件なら、敷金礼金なしが多いです。代表的なのはUR賃貸です。
UR賃貸は、独立行政法人の「UR都市機構」が運営する公的な物件です。いわゆる「団地」の賃貸物件です。
ただし、UR賃貸は申し込みの条件が厳しいです。基本的に家賃の4倍以上の月収がないと申し込めません。
敷金礼金なしのメリットは初期費用を抑えられること
家賃80,000円の初期費用の例 | ||
---|---|---|
内訳 | 敷金礼金あり | 敷金礼金なし |
敷金 | 80,000円 | 0円 |
礼金 | 80,000円 | 0円 |
仲介手数料 | 88,000円 | 88,000円 |
前家賃 | 80,000円 | 80,000円 |
日割り家賃 (15日入居の場合) |
40,000円 | 40,000円 |
火災保険料 | 18,000円 | 18,000円 |
保証料 | 40,000円 | 40,000円 |
鍵交換代 | 19,800円 | 19,800円 |
オプションサービス | 16,500円 | 16,500円 |
合計 | 462,300円 | 302,300円 |
敷金礼金なしのメリットは初期費用を大きく抑えられる点です。家賃8万円で、敷金礼金ありの物件と比べたとき約16万円節約できます。
賃貸の初期費用は家賃4.5~5ヶ月分かかると言われています。敷金や礼金といった、家賃をもとに計算される項目が多いです。
浮いたお金は家具家電の購入費用や引っ越し代に回せます。予算が厳しい人ほどメリットが大きいです。
- 初期費用の相場はこちら
敷金礼金なしは出るときの退去費用が高額などのデメリットもある
- ・退去時に大金を用意する必要がある
- ・類似物件より家賃が高いケースがある
- ・特約で短期解約違約金が設定されている
- ・お部屋探しの幅が狭まる
- ・シーズンで募集条件が変わりやすい
退去時に大金を用意する必要がある
入居時に敷金を預けていない場合、退去時に大金を用意しなければいけません。室内のクリーニング代や修繕費を実費で精算するからです。
敷金なしの物件を借りた人のなかには、退去費用の金額を恐れて必要以上に慎重に暮らす人もいます。敷金を預けておけば、退去費用に備えられる安心感があります。
間取り別の退去費用の平均
金額 | |
---|---|
ワンルーム | 約69,000円 |
1K | 約77,000円 |
1DK | 約91,000円 |
1LDK | 約126,000円 |
2K | 約92,000円 |
2DK | 約117,000円 |
2LDK | 約148,000円 |
3LDK | 約169,000円 |
出典:リクルート住まいのカンパニー「引越しに関する実態把握調査」
リクルート住まいカンパニーの「引越しに関する実態把握調査」から、間取りごとの退去費用の平均額をまとめました。
ワンルームだと約7万円、1Kなら約7.7万円の退去費用がかかります。今の家を出るときは、次の家の引っ越し費用もかかります。追加で大金を用意するのは大変です。
類似物件より家賃が高いケースがある
物件A(敷金礼金あり) | 物件B(敷金礼金なし) | |
---|---|---|
家賃 | 77,000円 | 84,000円 |
管理費 | 3,000円 | 3,000円 |
敷金 | 1ヶ月 | - |
礼金 | 1ヶ月 | - |
駅徒歩 | 徒歩6分 | 徒歩8分 |
専有面積 | 約23.7㎡ | 約24.1㎡ |
築年数 | 1997年3月 | 2004年1月 |
敷金礼金なしの物件は、家賃相場や類似物件より家賃が高いケースがあります。
2022年11月現在、池袋駅周辺で募集されている類似物件の家賃を比較しました。敷金礼金ありの物件Aと比べると、どちらも0円の物件Bは7千円家賃が高かったです。
家賃が高いと入居後の生活が苦しくなりやすいです。お部屋探しのときは、初期費用と家賃をバランスよく決めるのが大切です。
特約で短期解約違約金が設定されている
短期解約違約金とは、短期間で退去したときにかかる違約金です。「2年以内に引っ越すと家賃1ヶ月分を払う」といったペナルティです。
入居期間が長いほど、大家さんは安定した家賃収入を得られます。礼金なしで契約できる代わりに、早く退去するときは違約金を払うという内容で契約します。
お部屋探しの幅が狭まる
全体の物件数 | 敷金礼金なし物件 | |
---|---|---|
東京23区 | 23,469件 | 6,884件 |
東京23区外 | 1,975件 | 479件 |
名古屋市内 | 2,230件 | 1,275件 |
大阪市内 | 3,247件 | 1,603件 |
※家賃10万円まで・駅徒歩15分以内・築20年以内(2022年11月25日現在)
業者専用データベース「ATBB」を使って、東京都・名古屋市・大阪市内で募集されている1Kの物件数を調べました。
敷金礼金なしに絞ると物件数が大きく減るのが分かります。都内23区を見ると、物件数が約30%まで減っています。
「敷金礼金なし」の条件にこだわりすぎるとお部屋が決まりにくいです。希望に合う物件数が減ってしまい、なかなかお部屋が決まらない恐れがあります。
シーズンで募集条件が変わりやすい
「敷金礼金なし」という募集条件は時期によって代わりやすいです。1~3月の繁忙期だと数は少なくなります。
引っ越しシーズンなら、条件を緩めなくても入居希望者が現れやすいからです。一方で閑散期は引っ越す人が減るので、敷金礼金なし物件が増え始めます。
敷金礼金なしで探すなら退去費用が定額な物件を選ぶと良い
敷金礼金なしで探すなら、退去費用が定額な物件を選ぶと良いです。最初から金額が分かっていれば入居中も安心です。
ネット上の不動産屋「イエプラ」なら来店不要で退去費用が安い物件を教えてくれます!SUUMOなどには載ってない未公開物件も取り扱っているので、お部屋探しの幅が広がります。
やり取りは全てチャットやLINEで完結します。「敷金礼金なしで探している」「退去費用が安い物件を知りたい」などと送るだけでOKです。
費用に関する質問は、専門スタッフが管理会社や大家さんに直接確認してくれます。自分で探すよりもラクに理想のお部屋が見つかります!
敷金礼金なしにこだわるよりトータルの初期費用を下げたほうが良い
- ・家賃の値下げ交渉に挑戦する
- ・礼金を下げられないか交渉をする
- ・仲介手数料が安い不動産屋を選ぶ
- ・フリーレント付き物件を選ぶ
- ・不要なオプションサービスを外す
敷金礼金なしにこだわるより、トータルの初期費用を下げたほうが良いです。豊富な物件数からお部屋を選べるからです。
以降では、初期費用を抑えるコツを5つ紹介します。予算に自信がない人はぜひ参考にしてください。
家賃の値下げ交渉に挑戦する
トータルの費用を下げるなら、家賃の値引き交渉に挑戦してみてください。初期費用の多くは家賃をもとに計算されているからです。
家賃が下がれば、相対的に初期費用も下がります。物件にもよりますが、家賃を1万円安くすれば、5万円ほど初期費用を抑えられます。
家賃交渉が成功しやすいタイミングや、物件の特徴は次の記事で解説しています。
礼金を下げられないか交渉をする
礼金ありの物件でも交渉して安くしてもらうのも手です。礼金が1ヶ月分なら、0.2ヶ月~半額分ほど値下げできるケースがあります。
大家さんにとって、メリットと感じやすい交換条件があると良いです。「値下げできたら必ず契約する」「最低でも4年間は住む」などです。
敷金の交渉は失敗しやすい
基本的に敷金の交渉は難しいです。敷金はお部屋で何かあったときの保険だからです。退去時の金銭トラブルを避けるためにも、敷金の値下げを承諾しない大家さんは多いです。
仲介手数料が安い不動産屋を選ぶ
仲介手数料は家賃1ヶ月分が相場ですが、半額~無料で契約できる不動産屋も存在します。
ネット上に公開されている物件のほとんどは、別の不動産屋でも紹介できます。できるだけ仲介手数料が安い不動産屋を選ぶと良いです。
仲介手数料が基本0円の不動産屋もある
当サイトが運営する「イエプラ」は、仲介手数料が基本0円の不動産屋です。物件によっては、キャッシュバックもおこなっています。
やりとりはチャットやLINEで「仲介手数料が無料のお部屋が良い」「初期費用を抑えたい」などと伝えるだけでOKです。来店不要なので、言いづらいことも相談できます。
家賃によっては10万円以上も安くなるため、浮いたお金で新居の家具家電を揃えられます。費用を抑えて引っ越したい人は、ぜひ利用してみてください。
フリーレント付き物件を選ぶ
フリーレント付き物件とは、一定期間の家賃を免除してもらえる物件のことです。入居日から2週間~1ヶ月ほどの家賃がかからないので、日割り家賃分の初期費用を抑えられます。
新居の家賃がしばらくかからなければ、今の家との二重家賃を心配せずに済みます。
不要なオプションサービスを外す
- ・消臭消毒代
- ・害虫駆除代
- ・24時間サポート
- ・簡易消火器 など
不動産屋が案内するオプションサービスを断れば、初期費用を約3万円節約できます。
主なオプションサービスは、夜間などの緊急時にかけつける「24時間サポート代」や、入居前のお部屋を消毒する「消臭消毒代」などです。
なかには便利なサービスもあるので、内容を確認してから判断してください。
敷金礼金なし物件に関するよくある質問
敷金礼金はどっちが返ってくる?
返金されるのは敷金のほうです。
敷金とは、主に退去費用に備えて大家さんに預けておくお金です。クリーニング代などを差し引かれた金額が戻ってきます。
一方で、礼金は返金されないお金です。入居させてもらうお礼として大家さんに払います。
敷金礼金なしなら初期費用はいくら安くなるの?
およそ家賃2ヶ月分安くなります。
敷金礼金どちらに相場は1ヶ月です。物件にもよりますが、両方とも0円なら家賃2ヶ月分を節約できます。
敷金礼金なしのデメリットはある?
退去時に大金を用意する必要があります。
- ・退去時に大金を用意する必要がある
- ・類似物件より家賃が高いケースがある
- ・特約で短期解約違約金が設定されている
- ・お部屋探しの幅が狭まる
- ・シーズンで募集条件が変わりやすい
敷金を預けていない人は、退去時に大金を用意しなければいけません。室内のクリーニング代や修繕費を、実費で精算するからです。
敷金礼金なし物件は、家賃相場や類似物件より家賃が高いケースがあります。初期費用が安いメリットはありますが、家賃が高いと入居後の生活が苦しくなりやすいです。
敷金礼金なしより礼金なしだけにしたほうが見つかりやすい?
見つかりやすいです。
条件を緩めるほど物件数は増えていきます。また、敷金なしよりも、礼金なしのほうが退去費用トラブルに巻き込まれにくいです。
初期費用で悩んでいるなら、まずは「礼金なし」だけで探してみてください。
敷金礼金なしはアパートでも見つかる?
アパートでも募集されています。
全体数 | 敷金礼金なし | |
---|---|---|
都内23区内 | 19,628件 | 4,204件 |
※アパートのみの1K(2022年11月28日現在)
敷金礼金なし物件はアパートでも見つかります。都内23区内の1Kで検索したところ、全体の約21%が敷金礼金なしで募集されていました。
実際の募集図面を見ると、駅徒歩が遠かったり築年数が古めな物件が目立ちます。敷金礼金なしは、条件よりも予算を優先したい人に向いています。
敷金礼金なしのマンションは多い?
アパートより物件数は多いです。
全体数 | 敷金礼金なし | |
---|---|---|
都内23区内 | 42,594件 | 9,552件 |
※マンションのみの1K(2022年11月28日現在)
都内23区内で探すと、敷金礼金なしのマンションはアパートよりも多く募集されています。
ただし、アパートのときと同様に、条件が微妙な物件が目立ちます。設備の条件にこだわりがあるなら、敷金礼金どちらかが付く可能性があります。
敷金礼金なしに限らず初期費用なし物件はある?
存在します。
期間限定ですが「初期費用0円キャンペーン」を実施する不動産屋があります。初回保証料・火災保険料・鍵交換代などを、大家さんに負担してもらえます。
注意点として、不動産屋への仲介手数料が別途発生する場合があります。初期費用なしで探すなら、募集条件をしっかり確認してください。
敷金礼金なしだとフリーレント付き物件はない?
フリーレント付きでも見つかります。
敷金礼金なしでもフリーレント付き物件はあります。交渉次第で付けてもらえる場合があるので、条件は絞らずに探すと良いです。
敷金礼金なしで家具付きの物件はある?
あります。
大手の不動産屋だと、レオパレスの管理物件で見つかりやすいです。物件の大家さん(貸主)なので、仲介手数料もかかりません。
レオパレス21の評判はこちらの記事で解説しています。退去費用の相場なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
- 関東圏の取り扱い物件が約4.8万件と豊富
- オリコン顧客満足度1位の接客サービス
- 未公開物件も紹介してもらえる
東京・神奈川・千葉・埼玉の部屋探しには、アエラス(AERAS)がおすすめです。
アエラスは1996年に池袋西口店をオープンしてから28年間にわたって拡大を続け、2024年現在ではグループ全体で67店舗を展開しています。
また、2023年、2024年のオリコン顧客満足度ランキング(賃貸情報店舗 東京都)で第1位を受賞しており、利用者からの評判も良いです。
他社が掲載している物件もまとめて紹介してもらえる
アエラスは、他の不動産屋が掲載している物件もまとめて調査し、紹介してくれます。複数の不動産屋に行かなくても、一度にすべて紹介してもらえるのは大きなメリットです。
また、ホームズやSUUMOなどに掲載されていない、いわゆる「未公開物件」も数多く扱っています。主要駅の駅前に店舗を構えているため、内見にも行きやすいです。
初期費用の分割払いに対応している
アエラスは、初期費用の分割払いサービスを全店舗でおこなっています。普段、現金よりもカード払いがメインという人でも安心です。
分割する金額は初期費用の全額または足りない分から選べるので、引越しの負担を減らしたい人にもおすすめです。関東の物件を探している人は、LINEで来店の予約や相談ができるので、登録してみてください!