最終更新:2022年5月11日

賃貸アパートの退去費用は10年住むと安くなる?という疑問を解決します!
退去費用のシミュレーションや概算書で確認すべきポイント、支払い方法も合わせて紹介しています。これから退去する人は是非参考にしてください。
この記事は、宅地建物取引士で現役の賃貸営業をしている豊田さんに監修して頂きました。
不動産屋「家AGENT」の営業マン
宅地建物取引士
賃貸の仲介会社「家AGENT」の現役の営業マン。宅地建物取引士の資格を取得している。営業マンとしての経験と専門知識を活かして、お部屋探しや入居審査についての不安や疑問を解決しています。
10年住んでいたアパートの退去費用は比較的安くなる
10年住んでいたアパートの退去費用は比較的安くなります。設備の傷や汚れが経年劣化とみなされ、大家さんや管理会社が費用を負担することになるからです。
賃貸物件の経年劣化とは「普通に暮らしていれば自然とできる傷や汚れ」のことで、退去時の原状回復費用は入居者負担になりません。
ただし、お部屋の中でタバコを吸っていたためにヤニで黄ばんだ壁紙や、窓やドアのサッシにこびりついたカビは未然に防げることなので入居者負担です。
一般的には6~8年で安くなる
一般的には6~8年同じお部屋に住み続けた場合、故意に汚したもの以外は経年劣化になります。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも定められています。
以下は、ガイドラインに記載されている経年劣化とみなされるものの一例です。
- ・日照による畳やクロスの変色(日焼け)
- ・冷蔵庫、TVによる壁の電気ヤケ
- ・ポスター、カレンダーなどの跡
- ・画びょう、ピンの穴
- ・エアコン設置によるビス穴、跡
- ・自然災害によるガラスの損傷
- ・耐用年数経過による設備品の故障
- ・破損や紛失以外の鍵の取り替え
- ・畳の表替え、裏返し
- ・フローリングのワックスがけ
- ・網戸の張り替え
- ・エアコンの内部洗浄
- ・台所、トイレの消毒
経年劣化とみなされる年数は、設備の耐用年数で決められます。6年以上住み続ければすべてが経年劣化の対象になるとは限らないので注意しましょう。
耐用年数 | 設備 |
---|---|
5年 | 流し台 |
6年 | 壁紙、カーペット、エアコン、インターホンなど |
8年 | 書棚、タンス、戸棚などの金属製ではない家具 |
15年 | 便器、洗面台の給排水設備、金属製の家具など |
耐用年数が6年のものは「同じお部屋に6年住み続ければ経年劣化とみなされる」ので退去時の費用は貸主が負担します。

退去費用の相場はいくら?
退去費用は、いくらという相場がありません。法律で金額が決められていないため、アパートの構造やお部屋の広さ、敷金の有無や契約内容などで変わります。
以下で同じ物件に2年住んだ場合と10年住んだ場合の退去費用を、シミュレーションで比較してみました。
お部屋の条件は、家賃6万円の木造アパートの1K・敷金1ヶ月分ありです。
2年退去 | 10年退去 | |
---|---|---|
敷金 | 60,000円 | 60,000円 |
お部屋の修繕費用 | 80,000円 | 20,000円 |
ハウスクリーニング代 | 20,000円 | 20,000円 |
退去時の支払い | 40,000円 (追加で支払う分) |
20,000円 (敷金返還分) |

10年住み続けた場合は、給排水設備や金具など以外は経年劣化の対象になるため、かなり退去費用が抑えられます。
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費用を抑えるために退去費用の概算書は必ず隅々まで確認すべき
管理会社から退去費用の概算書が届いたら、隅々まで確認してください。少しでも納得がいかない箇所があればすぐに管理会社に確認しましょう。
ガイドラインをもとに、10年住んだら貸主負担になる箇所と、10年住んでも入居者負担になる箇所の例を紹介するので参考にしてください。
10年住んだら貸主負担になる箇所例
長年住んでいたため自然と汚れた経年劣化部分と前入居者がつけた汚れや傷は、入居者ではなく貸主が負担します。

以下で紹介する箇所が退去費用に含まれていた場合は、高額請求されている可能性が高いです。すぐに管理会社に確認してください。
日光によるフローリングや壁紙の日焼け
日光によるフローリングや壁紙の日焼けは、普通の生活では避けられないため経年劣化に含まれ貸主負担になります。
壁近くに設置していた棚の形に焼けていた場合も、日光による日焼けに含まれます。
冷蔵庫やTVなどの家電による壁の電気焼け
冷蔵庫やTVなどの家電による壁の電気焼けや黒ずみも経年劣化に含まれます。日常の生活に無くてはいけない設備を設置したためにできた汚れだからです。
ただし、冷蔵庫の水漏れやテレビや電子レンジの漏電による電気焼けは自己負担になるので注意しましょう。
プロは漏電で出来た電気焼けか、日常生活でできた電気焼けか見分けられます。
カレンダーや時計のために壁に開けた画鋲の穴
カレンダーや時計を壁につけるために壁に開けた画鋲の穴は、日常の生活における傷に含まれるため貸主負担になります。
画鋲の穴より大きな穴が開くネジや釘、壁紙の後ろにある下地ボードというものを貫通していた場合は自己負担です。
エアコン設置によるビス穴、跡
貸主から設置許可をもらって開けたエアコン設置によるビス穴や跡は、日常生活で必要な設備に含まれるので貸主負担です。
事前に貸主から許可をもらっていない場合や、お部屋にあるエアコンを無断で取り換えた場合は自己負担です。
ベッドやタンスの重みでへこんだフローリング
ベッドやタンスの重みでへこんだフローリングは、日常生活で徐々にできるへこみなので経年劣化の対象です。
家具の設置が多い場合も「設置によるへこみは自然消耗ととらえるのが妥当」とガイドラインに記載されているので貸主負担です。
耐用年数経過による設備品の故障
使っていて自然に壊れたものや、耐用年数経過による設備の故障はすべて経年劣化に当てはまります。
壊れた時に貸主に連絡をしていない場合は、その限りではないので注意してください。
自然災害によるガラスや網戸の損傷
地震や台風などの自然災害によるガラスや網戸の破損は、防げるものではないとされ入居者に責任はありません。
網戸入りのガラスなど構造上により自然と亀裂が入った場合も、入居者に責任がないので貸主負担です。
破損や紛失以外の鍵の取り替え
破損や紛失が無く次の入居者のために鍵を取り換える場合は、貸主もしくは次の入居者の負担になります。
契約書の特約事項などに「鍵の取り換えは退去費用に含む」など記載されていた場合は、特約事項が優先されます。
専用業者を入れないと清掃できない部分の汚れ
トイレやお風呂、キッチンなどの給排水設備や、換気口洗浄、エアコンの内部洗浄など、専用業者を入れないと清掃できない部分の汚れは、自然消耗になるので貸主負担です。
契約書に「別途ハウスクリーニング代」や「エアコン清掃代は除く」などの記載があった場合は自己負担です。
10年住んでも入居者負担になる箇所例
以下のようなケースは経年劣化に当てはまらないため、10年住んだとしても入居者の自己負担です。
タバコのヤニによるクロスの黄ばみ
タバコのヤニによるクロス(壁紙)の黄ばみは自己負担です。タバコの臭いを消すための消臭代もかかります。
「喫煙者を入居させたなら、自然にできる汚れではないか?」という人がいますが、タバコを吸わなければ汚れないので、自然にできる汚れの中には含まれません。
引っ越し時にできた傷や汚れ
引っ越し時の荷物の搬入によりできた壁やフローリングの傷や汚れは、自然にできるものではないので経年劣化に当てはまりません。
引っ越し業者がつけた場合でも入居者の責任になるので、引っ越しする際は業者に傷をつけないよう念入りに言っておくべきです。
清掃不足による油汚れ・スス・カビ・腐食
長年放置していてこびりついた油汚れやスス、カビや腐食などはすべて入居者が掃除を怠った責任と判断されるので自己負担です。
ただし、埋め込み式の換気扇や、取り外せないIHコンロ下の汚れは、業者じゃないと掃除できないので、経年劣化とみなされます。
重量物をかけるために開けた穴
付長押(つげながし)やピクチャーレールのように、壁に穴をあけて洋服や写真などを飾れる器具を取り付けた場合は、お部屋を元の状態まで戻せないので原状回復費用がかかります。
取り外した場合でも、自分で修繕できない大きい穴が残るのであきらめて支払いましょう。もともとお部屋についていた場合は、経年劣化に含まれます。
キャスター付き椅子やキャリーバックによる傷やへこみ
キャスター付き椅子やキャリーバックは、転がせば傷ができると事前に予測できるので自己負担です。
生活していれば出来ると言っても、カーペットを敷く・キャリーバックは持ち上げるなどで対策できます。
壊れた設備を放置していたもの
故意的に壊したわけでなくても、故障を見つけた時点で管理会社に連絡をしていなかった時点で、責任放棄とみなされるので自己負担になります。
自分で応急処置をした場合でも、貸主に壊れたという連絡を入れていなかった場合は、経年劣化の対象にはなりません。
鍵の紛失や変形
鍵の紛失や、不自然な変形はすべて使用していた入居者の責任です。
鍵穴の破損の場合は、よほど乱暴に扱わない限り壊れるものではないので、経年劣化の対象になる場合が多いです。
ペットによる傷や汚れ
ペットによる壁やフローリングの傷や汚れは、飼い主の責任になるので自己負担になります。臭いを消すための消臭代も自己負担です。
また、尿や糞などによるシミなどもキレイに掃除すれば未然に防げたことなので、飼い主の責任放棄とみなされます。
その他の故意的にできた傷や汚れ
その他、壁を殴ってできた穴や、モノを落としてできた傷など、普通に生活していて自然にできるはずのない傷や汚れは経年劣化対象に当てはまりません。
飲み物や食べかすによるシミや汚れも、きちんと掃除すればできるはずのない汚れになるので自己負担です。
退去費用は基本的に分割できない
アパートの退去費用は基本的に分割できません。現金での一括振り込みが基本だからです。
退去費用がクレジットカード決済に対応している場合は「あとから分割」や「あとからリボ」変更すれば、分割払いが可能です。
大手不動産屋だと「大東建託」や「レオパレス21」が退去費用のクレジットカード決済に対応しています。
初期費用を分割すれば負担が抑えられる
新居の初期費用を分割すれば、新生活を始める際の負担を抑えられます。不動産屋によっては使える物件やカードに制限があるので、あらかじめ確認しておきましょう。
ネット上の不動産屋「イエプラ」は、全物件クレジットカード決済に対応しています。新しくカードを作る必要がないので、既存カードのポイントが貯められます。
物件情報の約8割を網羅している不動産専用のデータベースから紹介してくれるので、たくさんの選択肢からお部屋を探せます。
チャットやLINEでやり取りするので来店不要です。忙しくて不動産屋に行く暇がない人も是非利用してみてください。
退去時に掃除をしても退去費用はほとんど変わらない
退去前に、排水溝や換気扇など隅々まで大掃除する人が多いですが、お部屋の見える範囲をキレイに掃除したくらいでは退去費用は変わりません。
必ず退去後に貸主が指定しているクリーニング業者が入り、退去費用として代金を支払うからです。
厳密にいうと、業者が不要な「修繕レベル」の掃除ができれば退去費用が安くなる可能性があります。
ただし、購入した洗剤費で割高になったり、エアコンを故障させてしまって取り換え代がかかる可能性があるので、素人が業者レベルまで掃除することはおすすめできません。
契約書の特約事項に要注意
賃貸契約に関しては、国土交通省のガイドラインよりも賃貸契約書の内容が優先されます。とくに見落としがちな「特約事項」に注意してください。
「退去時のクリーニング費用は別途〇万円」「敷金0.5ヶ月分はクリーニング費用とする」などの明記があった場合は、契約書の特約事項が優先されます。
今からお部屋を探す人は、契約前に特約事項に記載されている金額が妥当かも確認すべきです。締結後は一切変更できません。
少しでも気になったら管理会社に確認
ほとんどの不動産屋が、最初は多めに退去費用を請求してくるのが現状です。概算書の内容を確認して、少しでも気になったら管理会社に問い合わせましょう。
ただ漠然と「納得がいかない」と伝えるのではなく、概算書とガイドラインを照らし合わせて指摘してください。
例えば「ベッドを置いていて凹んだ箇所のフローリングは経年劣化対象ですよね?」や「業者じゃないと清掃できないエアコンの修繕費は納得いかない」など、適確に伝えるべきです。
交渉に応じてくれない場合は消費者センターに相談するべき
管理会社が交渉に応じてくれない、金額に納得がいかないまま話を打ち切られたという人は、消費者センターや国民生活センターに電話してください。
「退去費用の見積もりをもらったが、金額が高すぎるので相談に乗ってほしい」と伝えてください。窓口の人は対応に慣れているので適格なアドバイスがもらえます。相談料は無料です。
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