「賃貸の法人契約は嫌がられるって本当?」
「なぜ?何か理由はある?」
一部で「賃貸の法人契約は嫌がられる」と耳にしますが、特段問題なく借りられます。法人契約で借りれば、初期費用の多くが会社負担になって安く引っ越せます。
しかし、大家さんから法人契約を嫌がられるケースは稀にあります。会社の業績が悪かったり事務所利用の可能性があると、入居を断られることも…。
そこで当記事では、賃貸物件の法人契約が嫌がられる理由について解説します。賃貸を法人契約で借りるコツや、法人契約する際の流れもまとめました。
- 大家さんに嫌がられるケースはほとんどない
- 会社の業績が不明だと断られることもある
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不動産屋「家AGENT」
池袋店 店長
「家AGENT」池袋店の店長で、賃貸業界歴10年以上です。管理職になる前の年間接客件数は380~400件と経験豊富です。お部屋探しに関して、設備や費用などの悩みも的確にアドバイスしています。
賃貸物件の法人契約は嫌がられる?
嫌がられるケースは少ない
賃貸物件を法人契約で申し込んでも、嫌がられるケースは少ないです。個人がお部屋を借りるときより、家賃滞納のリスクが低いからです。
大企業との法人契約なら、大家さんは家賃滞納の心配をせずに貸せます。社会的な信用が高いほど、法人契約は喜ばれます。
一部の大家さんには法人契約を嫌がられる
賃貸物件の法人契約に関して、一部の大家さんには嫌がられています。基本的に、保証会社を利用してもらえないからです。
倒産の恐れがある企業だと、家賃滞納リスクを心配されます。早期解約になった場合、大家さんの家賃収入が途絶えることも懸念されます。
賃貸で法人契約が嫌がられる6つの理由
- ・保証会社を利用してもらえない
- ・法人都合のキャンセルが多い
- ・信頼できる企業なのか見極めが難しい
- ・入居トラブルを懸念される
- ・契約手続きに時間がかかる
- ・費用負担で法人と入居者が揉めやすい
賃貸で法人契約が嫌がられる理由は主に6つです。以降では、大家さんや管理会社に嫌がられる理由について解説していきます。
保証会社を利用してもらえない
賃貸で法人契約が嫌がられる理由は、指定の保証会社を利用してもらえないからです。ほどんどの会社が「連帯保証人のみで契約する」と決めています。
保証会社なしで進められると、滞納時スムーズにお金を回収できなくなる恐れがあります。大家さんにとって、保証会社を使わないデメリットは大きいと言えます。
火災保険も法人指定のもので進める
保証会社の他には、火災保険も法人指定のもので進めます。会社側が包括保険に加入しているからです。
包括保険とは、会社が複数のお部屋の保険契約者になることです。一般的には物件指定のものを加入するため、イレギュラーな契約内容と言えます。
法人都合のキャンセルが多い
賃貸で法人契約が嫌がられるのは、契約者である会社都合のキャンセルが多いからです。主なキャンセル理由は「社内規定に合わない物件のため」です。
法人側では、借りられるお部屋の条件を複数設けています。「礼金1ヶ月まで」「短期解約違約金がない」といった内容です。
お部屋を探す入居者が規定を把握していないと、申し込み後のキャンセルに繋がります。各関係者が契約に向けて動いている段階で、多くの人に迷惑を掛けます。
信頼できる企業なのか見極めが難しい
- ・会社の規模、職種
- ・営業年数(設立年月日)
- ・資本金
- ・会社の売上(決算書)
- ・上場企業か
- ・帝国データバンクの評点
- ・会社ホームページ
- ・ネット上にネガティブな情報がないか
賃貸で法人契約が嫌がられるのは、信頼できる企業なのか見極めが難しいからです。大家さんはできるだけ多くの材料を集めて、信頼性の高い企業かを見ます。
審査時の判断材料は、会社の規模や営業年数、売上などです。倒産の恐れがある会社だと、安定して家賃を払えるのか不安視されます。
入居トラブルを懸念される
賃貸で法人契約が嫌がられる理由は、入居トラブルを懸念されるからです。主には、お部屋の使い方に関する問題です。
実際のトラブル例として「居住用の契約だったのに事務所利用された」「申告のない入居者が住んでいる」などが挙げられます。
知らない人間が出入りする環境だと、建物内のセキュリティが甘くなります。住人からのクレーム処理を考えると、法人契約を嫌がる大家さんは一定数います。
契約手続きに時間がかかる
- ・法人側の稟議を待たなくてはいけない
- ・契約書類のドラフトチェックがある
- ・不動産屋と定休日が合わない
賃貸で法人契約が嫌がられるのは、契約手続きに時間がかかるためです。家賃収入が早くほしい大家さんほど、手続きが長引くのを避けたがります。
法人契約では、社内の稟議(りんぎ)がおこなわれます。申し込んだ物件を契約しても良いか判断するものです。稟議の日数は1週間ほどです。
稟議が承認されたあとは、契約書類のドラフトチェックもおこなわれます。書類の雛形を確認する作業で、2~3日ほどかかります。
費用負担で法人と入居者が揉めやすい
法人負担の例 | 入居者負担の例 |
---|---|
・敷金 ・礼金 ・前家賃 ・日割り家賃 ・鍵交換費用 |
・仲介手数料 ・オプション代 |
- 初期費用の項目ごとの解説はこちら
賃貸で法人契約が嫌がられる理由は、費用負担に関して法人と入居者が揉めやすいからです。契約段階で揉められると、大家さんは「契約が白紙になるのでは」と不安に思います。
法人契約で借りる入居者は「全部会社が払ってくれる」と思い込みがちです。初期費用のうち、仲介手数料やオプション代は入居者負担になりやすいので注意です。
賃貸の法人契約を嫌がられることなく進める方法
- ・借りられるお部屋の条件を事前に確認する
- ・入居の1ヶ月前にはお部屋探しを始める
- ・不特定多数の出入りがないことを伝える
- ・入居者の必要書類は最短で提出する
借りられるお部屋の条件を事前に確認する
賃貸で法人契約する予定の人は、借りられるお部屋の条件を事前に確認してください。社内規定を把握しておけば、お部屋探しがスムーズに進みます。
お部屋に関する社内規定は、会社の総務部か社宅代行に問い合わせましょう。同時並行で、初期費用の負担項目と確かめると安心です。
不特定多数の出入りがないことを伝える
賃貸物件を法人契約で借りるときは「不特定多数の出入りはない」と伝えてください。事務所利用の心配がなければ、大家さんから嫌がられることはありません。
入居者の必要書類は最短で提出する
必要書類 | |
---|---|
申し込み時 |
・顔写真付き身分証 ・健康保険証 ※申し込み時は写真データでも可 |
鍵渡し時 |
・顔写真付き身分証のコピー ・健康保険証のコピー ・現住所の住民票(3ヶ月以内の原本) ・印鑑 |
賃貸物件を法人契約で借りるなら、入居者の必要書類は最短で提出してください。解説した通り、法人契約は通常より手続きに時間がかかるからです。
申し込み時は、顔写真付きの身分証と健康保険証を提出します。鮮明な写真データでも代用可能です。鍵をもらうときは身分証に加えて、住民票と印鑑を持参してください。
賃貸を法人契約で借りるときの流れ
- 借りられるお部屋の条件を会社に確認する
- お部屋を内見する
- 申込書を提出する
- 不動産屋が法人の必要書類を回収する
- 入居審査が開始される
- 法人側の稟議・ドラフトチェック
- 大家さんと法人で賃貸借契約を結ぶ
- 入居者への鍵渡し
-
STEP1
借りられるお部屋の条件を会社に確認する
賃貸物件を探す前に、借りられるお部屋の条件を会社に確認します。内定先の会社名義で借りる人は、やり取りしている人事部に確認してもOKです。
-
STEP2
お部屋を内見する
賃貸契約に関する社内規定を確認したら、条件に合うお部屋を内見します。当日中に申し込めるように、身分証は持参したほうが良いです。
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STEP3
申込書を提出する
申込書に記入する内容- ・法人の名称、所在地、電話番号など
- ・入居者の氏名、生年月日、電話番号など
- ・引っ越し理由
内見してお部屋が決まったら、申し込みをおこないます。申込書には、契約者になる法人の情報と、本人の基本情報を記入してください。
申込書と入居者の身分証を提出すれば、申し込み自体は完了です。
-
STEP4
不動産屋が法人の必要書類を回収する
申し込みが完了すると、不動産屋が法人の必要書類を回収します。入居者で何か用意するものはありません。
-
STEP5
入居審査が開始される
審査の必要書類が揃い次第、管理会社や大家さんによる入居審査が開始されます。信頼できる会社か、お部屋は居住用で使ってくれるかを調べます。
物件によっては、入居者へ本人確認の電話が入ります。連絡が取れないと審査がストップするので、知らない番号でも対応してください。
-
STEP6
法人側の稟議・ドラフトチェック
入居審査が終わったら、法人側の稟議・ドラフトチェックが開始されます。契約内容の確認には7~10日かかります。
-
STEP7
大家さんと法人で賃貸借契約を結ぶ
法人側のチェックが終了すると、大家さんと法人で賃貸借契約を結びます。書類のやり取りに関しては、不動産屋が間に入って対応してくれます。
同時期に初期費用の請求書が来ます。入居者負担で払うものがあれば、期日までに入金を済ませてください。
-
STEP8
入居者への鍵渡し
初期費用の入金が確認されたら、不動産屋で鍵をもらえます。当日は身分証・住民票・印鑑を持参してください。
法人によっては、鍵渡し時に「重要事項説明」を受ける場合があります。契約期間や解約方法などの説明を受けるので、質問があれば積極的に聞きましょう。
賃貸を法人契約するときのよくある質問
賃貸を法人契約するデメリットは?
すぐに入居できないことです。
法人契約で進める場合、申し込みから入居まで約1ヶ月かかります。今の家の退去が迫っている人には、デメリットに感じやすいです。
賃貸を法人契約で借りるメリットはある?
初期費用が安く済むことです。
個人契約の初期費用は、家賃の4.5~5ヶ月分かかると言われています。法人契約なら、家賃1ヶ月分以下の出費で借りられます。
賃貸の法人契約でも審査に落ちる?
落ちることはあります。設立して間もない企業や、業績が悪い会社だと落ちます。
法人契約でも入居者は審査される?
原則審査されません。
ただし、過去に同じ管理会社でトラブルを起こした人は要注意です。「また問題を起こすかもしれない」と判断されて、審査に落ちる可能性があります。
法人契約だと賃貸トラブルが起きやすい?
お部屋の使い方に関するトラブルが起きやすいです。
居住用のお部屋にも関わらず、仕事関係の人間の出入りがあると「事業をおこなっているのでは」と怪しまれます。住民からクレームにも注意です。
法人契約で借りたとき途中で個人契約に切り替えられる?
基本的にできません。家賃の支払い能力が下がる恐れがあるからです。
社宅期間の満了や退職後、同じお部屋に住む続けたいときは例外的に認められる可能性があります。1度会社や管理会社へ確かめてください。
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