30代の住宅ローンは何歳で組むとお得?頭金の目安や無理なく返済するコツは?

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30代の住宅ローンはどう組む?のアイキャッチ

「30代の住宅ローンは何歳で組むべき?」「頭金はどのくらい必要?」などの疑問を解決します!

30代でローンを借りるメリットやデメリットなど、住宅ローンに関する知識を幅広く説明します。無理のないローンを組む5つのコツや、返済シミュレーションもご紹介します。

他の年齢についての解説は、以下のリンク先を参照してください。

年齢ごとの住宅ローン記事
20~29歳 40~49歳 50~59歳

この記事は、ファイナンシャルプランナーで、宅地建物取引士の岩井さんに監修してもらいました!

監修 岩井 勇太
チャット不動産イエプラ メディア事業部
ファイナンシャル・プランナー
宅地建物取引士

日本FP協会認定のFP。不動産やライフプランに関する専門知識と経験を活かして、最適な物件選びから、長期的にみて損しない住宅購入までをサポートしています。一人暮らしやファミリー世帯など、幅広い世帯からリピートをいただいています。

30代で住宅ローンを組む人が過半数

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」によると、30代で住宅ローンを組む人は過半数を占めます。年齢別の、直近5回分のデータをご紹介します。

住宅ローン利用者の年齢別の割合を示したグラフ

出典:住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査より作成

30代は収入が安定して、結婚や子育てのため家を買う人が多いです。家にかけるお金に余裕ができて、マイホーム購入に向いています。

同統計でも、30代で家を買う理由は「子どもや家族のため(54.7%)」と「結婚・出産のため(26.6%)」がほとんどです。

子育て費用や生活費の余裕まで考えて、無理のないローンを組みましょう。借りられる金額が20代より多いため、破綻しない計画を立てる必要があります。

岩井
岩井
何歳でローンを組むとお得かは、ライフスタイルや家計次第で変わります。大切なのは、30代でローンを組むメリットとデメリットや、30代前半と後半の考え方の違いを知っておくことです。後ほど詳しく解説します。

30代は物件の選択肢が多い

30代は物件の選択肢が多く、新築の注文住宅から中古まで幅広く選べます。

国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査報告書」からも、幅広い住まいの選択をしているとわかります。

三大都市圏(東京・愛知・大阪近郊)で初めて家を買った人の、物件の種類と年齢ごとの統計をご紹介します。

購入した物件の種類と年齢別の割合を示したグラフ

出典:国土交通省 令和2年度住宅市場動向調査報告書より作成

新築は人気があり、割合がやや多いです。同じ広さでも中古より倍以上高い場合があるので、ローンの借りすぎには要注意です。

中古も内装を工事すれば、お部屋を新築同様にできます。立地や周辺環境を見て、トータルで住みやすい物件を選ぶべきです。

▶自分に合う物件探しの相談窓口3選はこちら

30代の平均年収は400~500万円

30代の平均年収は令和2年分の「民間給与実態統計調査統計」によると400~500万円です。平均的な収入でも、生活費を圧迫されず充分なローンが組めます。

年齢・性別ごとの平均年収のグラフ

出典:国税庁 令和2年分 民間給与実態統計調査

平均年収は、統計では50代まで上昇して60代以降は下がっていきます。ただし、実際の借り入れは、ローンを組む時点の収入を基準にするべきです。

想定外の出費や、税金や社会保険料の増加にも対応できる余裕が必要です。返済は毎月あるので、毎月の収支がマイナスにならない借入額に抑えましょう。

▶住宅ローンの月々の返済額の解説はこちら

30代前半と後半で返済計画が変わる

30代は前半と後半で返済計画が変わります。定年までの完済を目標にすると、30代後半になるほど返済に時間がかけられないからです。

返済期間を延ばしたほうが毎月の返済額を抑えられます。定年後は基本的に収入が減るので、早く返済し始めたほうがゆとりを作れます。

30代前半と後半に分けて、ローンを組むうえで意識したいポイントを解説していきます。

35歳未満はローン返済中の見直しが大切

35歳未満でローンを組むときは、返済中のローンの見直しが大切です。返済に時間をかけられるぶん、金利(利息)の負担が増えやすいためです。

返済自体は、定年までに無理なく完済しやすいです。最長の35年ローンでも、定年退職後の返済は5年未満で済みます。

余裕があれば「繰り上げ返済」で期間の短縮もできるので、自分のペースで返済スケジュールを調整できます。

転職している場合は勤続年数に要注意

転職している場合は、勤続年数が1年未満だと借りられる金融機関が減るので要注意です。

勤続年数が3年以上だと、金融機関の選択肢が増えます。同じ業種で期間を開けずに転職しているときは、期間を通算してもらえるケースもあります。

▶住宅ローンを組める勤続年数の解説はこちら

35歳以降は毎月の返済に無理がないかを考えるべき

35歳以降でローンを組むなら、毎月の返済に無理がないかを慎重に考えるべきです。定年までの返済期間に余裕が少ないためです。

例えば、30代後半で定年までに返済すると、かけられる期間は25~30年です。

無理のない返済計画を立てるためには、予算を抑えたり、貯金から現金で払う「頭金」の割合を増やして借り入れを抑える必要があります。

岩井
岩井
審査次第で定年を超えたローンも組めるので、無理に返済期間を短くする必要はありません。どの年齢でも手元に残すお金と支払いのバランスを考えてローンを組みましょう。

30代でローンを組むメリットとデメリット

30代でローンを組むメリットとデメリットを詳しく解説します。

メリットがデメリットを上回るかどうか、比較しながら確かめてみてください。

30代はローン破綻のリスクが少ない

30代でローンを組む最大のメリットは、収入が安定していて、ローン破綻のリスクが少ないところです。

貯金していれば、20代で買うより予算を上げられます。好立地の物件や、設備のグレードが高い物件も購入できます。

30代でローンを組むメリット
  • ・20代の購入より予算を上げられる
  • ・20代の貯金があるぶん計画が立てやすい
  • ・老後の住まいを早めに確保できる
  • ・団信で家族が安心して暮らせる
  • ・健康なうちにローンが組める

団信(団体信用生命保険)に加入してローンを組めば、家族が安心して暮らせます。

万が一、返済の途中で亡くなったり重度障害になった場合でも、団信に入っているとローンの残りは消滅します。

多くの金融機関で団信加入は必須で、健康状態をチェックされます。30代はローン審査で、健康面の心配が少ないメリットもあります。

予算の上げすぎには要注意

30代でローンを組むときは、予算の上げすぎに要注意です。借りられる金額が大きいため、実際の支払い能力を超えると返済が大変です。

金融機関は家計まではチェックしないため、教育費や老後資金まで考えて無理のない借入額に抑えましょう。

30代でローンを組むデメリット
  • ・借りすぎに気を付ける必要がある
  • ・最長のローンは定年を超えても残りやすい
  • ・計画的な繰り上げ返済が必要

30歳を超えてからローンを組むと、定年後もローンが残りやすいです。定年が60歳だったり、50代で役職定年がある会社なら、収入の減少まで考える必要があります。

老後のゆとりを作るためには、計画的な貯金や繰り上げ返済が必須です。

岩井
岩井
物件選びやローン選びで工夫すれば、デメリットは減らせます。不安な部分があれば、不動産屋にも相談してみてください。予算に収まる最適な方法の提案が受けられます。

30代で無理のないローンを組む5つのコツ

30代で無理のないローンを組む5つのコツを、以下にまとめました。

  • ①頭金を約20%払って借入額を減らす
  • ②借入額を無理のない範囲に抑える
  • ③返済期間は最長で組む
  • ④毎月の返済額を一定にする
  • ⑤窓口でローンのアドバイスを受ける

1つずつ詳しく説明します。

①頭金を約20%払って借り入れを減らす

頭金を約20%払って借入額を減らせば、30代からでも無理のない返済計画が立てられます。

統計でも20~30%は自己資金(貯金など)から払う人が多いとわかります。

購入資金 自己資金 割合
注文住宅
(土地+建築)
5,359万円 1,654万円 30.9%
新築戸建て
(建売)
3,757万円 775万円 20.6%
新築マンション 4,393万円 1,124万円 25.6%
中古戸建て 2,696万円 876万円 32.5%
中古マンション 2,213万円 818万円 37.0%

出典:国土交通省 令和2年度住宅市場動向調査報告書より作成

頭金を払うメリットは大きく、借り入れを抑えられる他、金利の優遇が受けられる場合があります。

まとまった出費なので、頭金の金額は手元に残しておくお金まで考えて決めましょう。少なくとも半年分の生活費は確保しておくべきです。

▶マイホーム購入の頭金の解説はこちら

頭金なしでも住宅ローンは組める

頭金なしでも住宅ローンは組めます。昔は物件価格の80%程度がローンの限度額でしたが、現在は物件価格の100%まで「フルローン」が借りられます。

頭金の他に自己資金で払う部分には「諸費用」と「手付金」があります。諸費用は物件価格と別にかかる手数料などで、ローンにも含められます。相場は販売価格の10%ほどです。

手付金とは、売買契約を結んだ証として前払いするお金です。相場は物件価格の5~10%で、20万円、50万円など定額の場合もあります。

住宅購入に必要な費用の図解

手付金は最終的に代金に充てられます。諸費用と頭金を足して、物件価格の30%は自己資金を用意できると理想的です。

まとまった出費を避けたいなら、頭金を払わずフルローンを組むのも手です。フルローンのメリットとデメリットは、次の記事でも解説しています。

▶頭金なしのフルローンの解説はこちら

②借入額を無理のない範囲に抑える

借入額を無理のない範囲に抑えるために「返済負担率25%まで」を目安にローンを組みましょう。

返済負担率(返済比率)とは、税込年収から返済に回す割合のことです。一般的に、返済負担率25%を超えると生活費が圧迫されます。

統計でも、金利タイプに関わらず15~25%の範囲内でローンを組む人が多いです。

返済負担率の統計表

出典:住宅金融支援機構 2021年4月 住宅ローン利用者の実態調査

実際は税金や社会保険料を引いた「手取り年収の25%まで」で考えると、さらに余裕が作れます。

借りたい金額が決まっていれば、住宅金融普及協会のシミュレーターでも返済負担率が確かめられます。

年収によっても最適なローンの考え方は異なります。以下のリンク先で、年収別に詳しく解説しています。

年収ごとの住宅ローン記事
年収350万円 年収400万円
年収500万円 年収600万円
年収700万円 年収800万円
年収900万円 年収1,000万円

③返済期間は最長で組む

返済期間は、借りられる最長の期間で組むべきです。毎月の返済額が抑えられますし、後から延ばすのは大変だからです。

同じ条件のローンでも、返済期間の違いで毎月の負担は大きく変わります。借入額ごとに返済期間25~35年で比較してみました。

25年 30年 35年
2,000万円 約8.2万円 約7.1万円 約6.3万円
2,500万円 約10.2万円 約8.8万円 約7.8万円
3,000万円 約12.2万円 約10.6万円 約9.4万円
3,500万円 約14.2万円 約12.3万円 約11.0万円
4,000万円 約16.3万円 約14.1万円 約12.5万円
4,500万円 約18.3万円 約15.8万円 約14.1万円
5,000万円 約20.3万円 約17.6万円 約15.6万円

※フラット35、ボーナス払いなし、金利1.61%、元利均等返済方式

毎月の返済が最優先なので、住居費は少しでも抑えるべきです。

最初から短い期間で組むよりは、計画的に貯金して繰り上げ返済をするほうが、マイペースに返済を早められます。

繰り上げ返済は「期間短縮型」を選ぶ

繰り上げ返済は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あり、返済を早めたいときは期間短縮型を選ぶべきです。違いを簡潔にまとめました。

特徴
期間短縮型 ・返済期間を減らして完済を早められる
・毎月の返済額は変わらない
返済額軽減型 ・毎月の返済額を減らせる
・完済までの年数は変わらない

30代の住宅ローンは、頭金を払ったり返済期間を延ばして、最初から毎月の返済額を抑えたほうが良いです。

節約のしすぎは生活の質を下げるので、家計に余裕が作れるローンを組みましょう。

ちなみに、完済が近づいてから一気に繰り上げ返済するより、5~10年単位で定期的に残債務を見直すほうが金利負担を抑えられます。

④毎月の返済額を一定にする

毎月の返済額は1年を通して一定にしたほうが良いです。返済額が違う月があると計画が立てづらいからです。

年2回支払いを増額する「ボーナス払い」は設定せず、毎月の返済額が一定にできる「元利均等返済方式」を選ぶのがおすすめです。

もう1つの支払い方法の「元金均等返済方式」は、徐々に毎月の返済額を減らせますが、返済当初の支払いが大きくなります。

⑤窓口でローンのアドバイスを受ける

住宅ローンを組むときは、窓口でアドバイスを受けましょう。借りたい金融機関が決まっているなら、金融機関の窓口やコールセンターで、借り入れの相談ができます。

家計の専門家のFPや不動産屋にも相談してみてください。ローン審査の不安の解決策や、融通が利きやすい「提携ローン」の提案が受けられます。

無理のない計画を立てるためには、客観的な視点が必要です。FPや不動産屋に、無料で相談ができるサービスも活用するべきです。

30代でローンを組む際の5つの注意点

30代でローンを組む際の5つの注意点をまとめました。無理のない借入額なら解決できる内容ですが、押さえておきましょう。

  • ①世帯収入で組むローンは低めに考える
  • ②他の借り入れもチェックされる
  • ③金利のタイプはよく考えて決める
  • ④返済額は家賃と同じ扱いにしない
  • ⑤出費は長期的にシミュレーションする

①世帯収入で組むローンは低めに考える

世帯収入で組むローンは低めに考えるべきです。夫婦それぞれがローンを組む「ペアローン」や、パートナーの収入を足す「収入合算」は、借りすぎてしまう傾向があります。

返済中に片方の収入が減ったり、万が一離婚したりすると返済が難しくなるので、慎重なシミュレーションが必要です。

単独のローンで予算を決めたほうが、破綻するリスクが減らせます。世帯収入で組むローンの注意点は、次の記事で詳しく解説しています。

▶世帯収入を基準に組むローンの解説はこちら

②他の借り入れもチェックされる

ローン審査では「総返済負担率」をチェックされます。他に借り入れがあるほど、借りられる金額は減ります。

総返済負担率の上限は35~40%の金融機関が多いです。車のローンや教育ローンなど、返済中の支払いがあるなら、住居費を抑える必要があります。

チェックされる借り入れの例

  • ・車のローン(カーローン)
  • ・教育ローン、教育ローン
  • ・クレジットカードでの買い物
  • ・奨学金の返済
  • ・楽器や家電の分割払い
  • ・消費者金融での借り入れ
  • ・携帯電話本体の分割払い

金融機関はカードの支払い情報などの「信用情報」をチェックできます。過去に滞納歴や事故情報があると、ローンが組めない可能性が高いです。

心当たりがある場合は、不動産屋に早めに相談してみてください。住宅ローンの審査に落ちる理由や対策については、次の記事でも解説しています。

▶住宅ローン審査に落ちる理由と対策はこちら

③金利のタイプはよく考えて決める

金利のタイプで負担が大きく変わるため、よく考えて決めるべきです。返済中は金利タイプの変更が難しい場合があります。

主に以下の4種類で、どの金利がお得かは考え方によって変わります。

全期間固定金利型 完済するまで金利が変わらない
変動金利型 定期的に金利が見直される
固定金利期間選択型 一定期間毎に固定か変動か選べる
ミックス型 固定金利と変動金利で分けて借りる

2022年4月時点での金利相場は、変動金利で約0.3~0.5%、固定金利で約1.0~1.6%です。固定金利は上昇傾向で、金融機関の割引や優遇がないとやや高いです。

固定金利型は、ローンを組んだ後は金利が変わらないメリットがあります。計画が立てやすいですが、金利の負担は大きいです。

変動金利型は、固定金利より低い金利で借りられます。返済中も金利が上昇するリスクがあるので、繰り上げ返済したり貯金しておく工夫が必要です。

期間選択型とミックス型は、固定金利と変動金利のリスクを分散するイメージです。

▶住宅ローンの種類や金利の解説はこちら

住宅ローン控除で税金の負担が軽減できる

住宅ローン控除(減税)」が受けられる物件を選べば、ローンの残りの最大0.7%を10~13年間も減税できます。

減税が受けられる物件を選べば、金利の負担を軽減するのと同じようにトータルの出費を抑えられます。

住宅ローン控除を受けるための条件
  • ・床面積が登記簿上の面積40~50㎡以上
  • ・所得が一定(1,000万円~)以下
  • ・取得後6ヶ月以内に入居して住み続ける
  • ・家の半分以上が居住スペース
  • ・耐震基準を満たす(1982年以降の建築)
  • ・10年以上の住宅ローンを組む など

広さや耐震性の条件を満たせば、不動産取得税や登記費用も抑えられます。

税金は定期的に見直しがあるので、購入の際は最新の情報をチェックしましょう。住宅ローン控除については、次の記事でも詳しく解説しています。

▶住宅ローン控除の詳しい解説はこちら

④返済額は家賃と同じ扱いにしない

返済額は家賃と同じように考えてはいけません。持ち家には、賃貸にはない固定費がかかるためです。

持ち家の固定費は主に税金と維持費で、他にも必要に応じた費用があります。

物件によって金額に差があるため、探す段階で不動産屋によく確認しましょう。以下で入居中に発生する主な費用をまとめました。

共通してかかる固定費
固定資産税 物件評価額の1.4%程度/毎年
都市計画税 物件評価額の0.3%程度/毎年
町内会費 数百~千円程度/毎月
室内の修繕費 実費(不具合が生じた場合)
マンションでかかる固定費
管理費+修繕積立金 合計3万円程度/毎月
駐車場(使う場合) 1~5万円/毎月
駐輪場代(使う場合) 数百~千円程度/毎月
戸建てでかかる固定費
外装の修繕費 50~100万円/約15年

不動産の所有者には、固定資産税と都市計画税(固都税)がかかります。軽減措置があり、年間で10~15万円が目安です。月に直すと「0.8~1.3万円」です。

マンションでは毎月、修繕積立金と管理費がかかります。住環境や資産価値を保つための費用です。

2020年度の東日本不動産流通機構の統計によると、管理費と修繕積立金の合計は、平均「約2.4万円」です。

家賃の上限は、手取り収入の3分の1が目安と言われています。毎月の返済額は、家賃より月あたり3~4万円抑えて考えましょう。

持ち家の固定費に関する記事

▶修繕積立金と管理費の解説はこちら
▶固都税の解説はこちら

⑤出費は長期的にシミュレーションする

借入額を決めるときは、将来の出費まで長期的にシミュレーションしておきましょう。

子どもの教育費や親の介護費用など、毎月の出費が増える可能性をふまえた返済計画を立てるべきです。

資金計画を長期的に確かめたいときは、金融広報中央委員会の「知るぽると」のライフプランシミュレーションなどが便利です。

岩井
岩井
金融機関のシミュレーターでも、返済計画をチェックできます。ただ、住居費の他にかかる費用まで確かめるのが難しいです。専門知識があるプロのアドバイスも受けて、無理のない計画を立てましょう。

30代におすすめのローンの組み方4選

30代におすすめのローンの組み方を4つご紹介します。借りられる金額や審査の心配は少ないため、金利や税金で損しないようにローンを選びましょう。

  • ①変動金利でローンを組む
  • ②減税を受けてから繰り上げ返済する
  • ③金利や特典を比較してローンを選ぶ
  • ④住み替えもふまえて物件を選ぶ

①変動金利でローンを組む

変動金利でローンを組めば、低金利が続く間は金利負担が抑えられます。収入のピークが控えていて、金利上昇のリスクに耐える余裕がある30代に向いています。

2000年頃から2022年現在まで、政府の金融政策で低金利が続いています。政策が続く限り、極端な金利上昇は起きないと言われています。

令和2年度の国土交通省の統計でも、変動金利で借りる人がもっとも多いです。5年分の統計をグラフにまとめてみました。

金利タイプの統計グラフ

出典:令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書

現在の金利相場だと、変動金利でローンを組んだほうが借入額は増やせますし、毎月の返済額を抑えられます。

ちなみに、固定金利と変動金利の相場は、決まり方が異なります。金融機関のホームページを見たり、ローンに詳しい不動産屋に質問して、最新の相場を確かめましょう。

②減税を受けてから繰り上げ返済する

住宅ローン控除で減税できる期間が終わるまでは、繰り上げ返済せず、無理のない返済を続けるべきです。

借入額にもよりますが、ローンの残りが多いほうが控除の効果が大きいためです。減税が受けられる10~13年間は、余ったお金を計画的に貯めておいたほうが良いです。

貯めたお金は、減税される期間が終わったら、シミュレーターで効果を確かめてから繰り上げ返済に回しましょう。

繰り上げ返済の効果は、金融機関の公式サイトや、住宅金融支援機構の「返済方法変更シミュレーション」が目安にできます。

岩井
岩井
頭金を払って借り入れを減らすときは、住宅ローン控除の金額まで考えましょう。借り入れを減らしすぎても、充分な恩恵を受けられないからです。

③金利や特典を比較してローンを選ぶ

金融機関によって金利や特典が異なります。「住宅ローン比較窓口」などの比較サイトで、もっとも優遇が受けられる金融機関を探してみてください。

金利の安さだけでなく、手数料や団信の手厚さも比較するべきです。病気やけがで返済が難しくなった場合の保障が大きく異なります。

将来的に借り換えもできるので、金融機関ごとにどのくらい違うのかは、チェックしておいたほうが良いです。

④住み替えもふまえて物件を選ぶ

住み替える前提で、資産価値に注目して物件を選ぶのも手です。売ったり貸したりしやすいかといった視点でも、物件をチェックしてみてください。

駅の近く、買い物環境が整っているなど立地が良い物件や、治安が良いエリアは人気があるので価値が下がりにくいです。

売ってもローンを返しきれない「オーバーローン」の間は売却が難しいです。残債務より高く売れるまでは、計画的に返済を続ける必要があります。

オーバーローン状態を解消する時系列の図解

住宅ローンの返済中に賃貸に出すときは、金融機関に相談が必要です。低金利な住宅ローンは、自分が住む前提でないと借りられないためです。

場合によっては、金利が高めのアパートローンに借り換えを求められます。

将来的な物件の使い道は、お部屋探しの段階で不動産屋にも質問してみてください。住み替えたい時期や希望条件によって、紹介する物件が変わります。

岩井
岩井
住み替え前提なら頭金を増やしたほうが、オーバーローン解消までの期間を早められます。20~30年後の残債務まで考えて返済計画を立てましょう。

30代の住宅ローン返済シミュレーション

30代前半と後半の、住宅ローンの返済シミュレーションをご紹介します。「フラット35のシミュレーター」を参考にしています。

購入時期での違いを確かめるため、物件は同じ条件にします。

シミュレーションの前提条件
  • ・購入物件 3,050万円
  • ・手付金 50万円
  • ・諸費用 200万円
  • ・フラット35 全期間固定金利
  • ・ボーナス払いなし
  • ・元利均等返済方式

シミュレーションは、全期間固定金利で考えたほうが良いです。変動金利の上昇するリスクをふまえたシミュレーションは難しいからです。

また、高めの固定金利で考えておけば、実際の返済に余裕が作れます。

30代前半の返済シミュレーション

30代前半の返済シミュレーションは、手付金と諸費用は現金で払う前提で計算しました。

30代前半のシミュレーション

  • 借入時年齢:32歳
  • 年収:500万円
  • 自己資金:250万円
  • 金利:1.610%(頭金なし)
  • 35年ローン:3,000万円
  • 毎月の返済額:約9.3万円
  • 完済時年齢:67歳
  • 総返済額:約3,926万円

繰り上げ返済せずにローンを払い続けた場合の結果なので、返済方法変更シミュレーションも試してみました。

20年後に、期間短縮型で300万円繰り上げ返済すると、返済期間を3年4ヶ月短縮できる結果が出ました。

現実的な範囲内の繰り上げ返済で、定年までに余裕をもって完済できそうです。

300万円を20年かけて貯めるには、月あたり約1.3万円必要です。月2~3万円を貯金すれば、さらに余裕が作れます。

30代後半の返済シミュレーション

30代後半の返済シミュレーションは、購入を遅らせたぶん貯金がある前提で計算しました。

5年間貯金して、頭金を10%払える想定にします。ちなみに、フラット35は頭金を10%払うと金利が安く借りられます。

30代後半のシミュレーション

  • 借入時年齢:37歳
  • 年収:550万円
  • 自己資金:550万円
  • 金利:1.350%(頭金10%)
  • 35年ローン:2,700万円
  • 毎月の返済額:約8.1万円
  • 完済時年齢:72歳
  • 総返済額:約3,389万円

35年ローンが組める前提でシミュレーションしてみたところ、32歳時の購入より金利負担が約537万円安いです。

頭金を300万円払ったおかげで、約237万円は金利負担を抑えられました。ただし、定年後に返済が続くローンになるため、実際は計画的な繰り上げ返済が必要です。

シミュレーションに無理がないかは、FPや不動産屋にも相談するべきです。予算自体を抑える方法や、予算内で理想に近づける方法の提案が受けられます。

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