「固定資産税とは?毎年の目安はいくら?」「マンションと戸建ては何が違うの?」などの疑問にお答えします!
固定資産税や都市計画税などの詳しい説明や、減税制度をわかりやすく紹介します。築年数を考えたシミュレーションを通して、目安の計算方法まで徹底解説します。
この記事はファイナンシャルプランナーの岩井さんに監修してもらいました。ぜひ参考にしてください。
チャット不動産イエプラ メディア事業部
ファイナンシャル・プランナー
宅地建物取引士
日本FP協会認定のFP。不動産やライフプランに関する専門知識と経験を活かして、最適な物件選びから、長期的にみて損しない住宅購入までをサポートしています。一人暮らしやファミリー世帯など、幅広い世帯からリピートをいただいています。
目次
固定資産税の目安表
固定資産税は、年額で10~20万円程度で考えるのが一般的です。新築マンション購入後の目安表を、以下にまとめました。
固定資産税の年額 | |
---|---|
1年目(新築) | 10.5万円 |
2年目 | 10.2万円 |
3年目 | 10.0万円 |
4年目 | 9.8万円 |
5年目 | 9.7万円 |
6年目 | 15.5万円 |
7年目 | 15.2万円 |
8年目 | 14.8万円 |
9年目 | 14.5万円 |
10年目 | 14.2万円 |
固定資産税の年額 | |
---|---|
11年目 | 13.9万円 |
12年目 | 13.5万円 |
13年目 | 13.2万円 |
14年目 | 12.9万円 |
15年目 | 12.5万円 |
16年目 | 12.2万円 |
17年目 | 11.9万円 |
18年目 | 11.6万円 |
19年目 | 11.2万円 |
20年目 | 10.9万円 |
固定資産税の年額 | |
---|---|
21年目 | 10.6万円 |
22年目 | 10.2万円 |
23年目 | 9.9万円 |
24年目 | 9.6万円 |
25年目 | 9.4万円 |
26年目 | 9.1万円 |
27年目 | 8.8万円 |
28年目 | 8.5万円 |
29年目 | 8.3万円 |
30年目 | 8.0万円 |
固定資産税の額は、建物の価値や立地によって変わります。設備が整った広い家や、駅に近い都心の土地などは高いです。
建物の価値は時間が経つと下がっていくので、30年目より先はさらに下がります。目安表を作成した前提条件と、31年目以降の表は以下にまとめました。
(内訳:消費税150万 建物1,500万 土地2,150万)
・世帯年収600万円、二人暮らし
・毎月12万円の返済、35年ローン
・マンション以外の諸費用は現金で清算
・固定資産税評価額2,500万円
(内訳:建物1,000万 土地1,500万)
固定資産税の年額 | |
---|---|
31年目 | 7.8万円 |
32年目 | 7.6万円 |
33年目 | 7.4万円 |
34年目 | 7.2万円 |
35年目 | 7.0万円 |
36年目 | 6.8万円 |
37年目 | 6.7万円 |
38年目 | 6.6万円 |
39年目 | 6.6万円 |
40年目 | 6.5万円 |
固定資産税の年額 | |
---|---|
41年目 | 6.4万円 |
42年目 | 6.4万円 |
43年目 | 6.4万円 |
44年目 | 6.4万円 |
45年目 | 6.3万円 |
46年目 | 6.3万円 |
47年目 | 6.3万円 |
48年目 | 6.3万円 |
49年目 | 6.3万円 |
50年目 | 6.3万円 |
新築以外なら、家探しの段階で不動産屋や施工会社に確認すれば、金額を教えてもらえます。売主が払っている金額が確認できるからです。
新築は、建築中だと評価額が不明なので、目安で考える必要があります。固定資産税の制度と目安の計算方法を、続けて解説していきます。
固定資産税とは
固定資産税とは、土地や建物などの資産を所有するとかかる「地方税」のことです。
毎年1月1日時点で、登記簿または役所の台帳に所有者として登録されている人に、納税義務があります。
1月1日時点の所有者が1年分を払うので、中古物件を買うときは「固定資産税清算金」として日割りで清算します。
分譲マンションでは、専有部分の床面積割合により税額が決まります。ちなみに、タワーマンションは高層階ほど税額が高いです。
固定資産税の計算式
固定資産税の計算式は課税標準×1.4%(税率)です。稀に、地域によって税率が異なります。
課税標準は、原則として「固定資産税評価額」です。固定資産評価基準に基づき、市町村長が決定した金額が「固定資産課税台帳」に登録されています。
固定資産税評価額がわかれば、計算は簡単です。減税の制度(軽減税率)があるので、具体的な計算式をまとめます。
②土地 固定資産税評価額×税率(1.4%)×軽減税率
上記①+②=1年間の固定資産税
固定資産税評価額を知る方法
固定資産税評価額は、所有者や関係者なら納税通知書や固定資産評価証明書を見たり、役所で台帳を閲覧したりして確認できます。
買う前や、予算を考えるために調べたい場合は、不動産屋や建築会社に問い合わせるか、次の計算式で目安を出せます。
・土地 公示地価の70%
建物の評価額目安を計算する方法
建物の評価額は、新築で工事代金の50~60%が目安と言われています。正確な計算は難しく、自治体の家屋調査によって決定します。
基本的に、同じ建物をもう一度建てるとしたら必要な費用(再建築価格)が計算のもとになっています。
中古では、築年数(経年原価補正率)をふまえる必要があります。
国土交通省のホームページや国税庁の資料で標準的な工事費を調べて、再建築価格を考える方法もあります。計算後に50~70%を掛ければ、評価額の目安にできます。
土地の評価額目安を計算する方法
土地の評価額は、公示地価の70%が目安です。公示地価は、国土交通省の「土地総合情報システム」で調べられます。
「面積×固定資産税路線価」でも計算できます。固定資産税路線価は、すでに公示価格に70%を掛けてあるもので、全国地価マップなどで確認できます。
固定資産の評価額は3年毎に見直される
固定資産の評価額は「基準年度」に見直されます。評価替えは、固定資産の価値を適正な時価と合わせる目的でおこなわれます。
毎年の見直しは難しいので、3年ごとに1月1日時点の状態を台帳に登録し直します。
住宅地と農地については、地価が上昇した場合は上限5%で増税される可能性があります。商業地は加算されても2.5%までです。
固定資産税の評価は不服申し立てできる
固定資産税評価額の決定に不服があれば、申し立ての制度があります。
納税通知書の交付を受けて3ヶ月以内に「固定資産評価審査委員会」に審査を依頼して、妥当な金額でなければ見直しが入ります。
過去には、納税者に億単位で返還した自治体もあります。軽減措置の反映が漏れていないか、金額は妥当かを概算でも確かめるべきです。
固定資産税は1年分を4回払いが基本
支払いは年4回が基本です。自治体ごとにルールがあり、東京都は6、9、12、2月の4期分です。1年分まとめて支払うことも可能です。
第1期の月に納税通知書が届くので、案内に沿って支払います。支払い方法はコンビニ支払いの他、口座振替やクレジットカードなど、複数の中から選べます。
固定資産が夫婦などで共有名義のときは、代表して一人が支払います。支払いの期限を超えると、延滞金がかかるので要注意です。
軽減措置などで税額が変わる
固定資産税には、軽減措置があります。軽減を受けるためには届け出が必要なので、関係するものは調べておく必要があります。代表的なものを、以下で紹介します。
・リフォームの減税措置
・住宅用地の軽減措置
新築の軽減措置
新築は以下の要件を満たせば所定の期間、固定資産税が減額されます。戸建ては3年間、3階建て以上の中高層耐火建築物なら5年間の減税が受けられます。
・全体の床面積の2分の1以上を住宅として使用
・居住用部分の床面積が50㎡以上280㎡以下
(戸建て以外で貸家なら40㎡以上280㎡以下)
新築の期日は令和4年3月31日まででしたが、令和4年度の税制改正で、令和6年3月31日までに延長されています。
要件を満たすと、住宅として使用する床面積の120㎡までの部分は、固定資産税が半額に軽減されます。
また、建築または取得した新築物件が「認定長期優良住宅」だと、戸建ては5年間、3階建て以上の中高層耐火建築物なら7年間、軽減されます。
認定長期優良住宅とは
認定長期優良住宅とは、長く使える良い物件のことです。都道府県、市または区に認定される必要があり、基準が細かく定められています。
・耐震性が一定以上
・維持管理しやすさ(共用配管の位置など)
・ライフスタイルに応じ間取り変更が可能
・高齢者に対するバリアフリー性
・断熱性能など省エネルギー性
・居住環境(地区計画などに適合)
・一定の面積(戸建て:75㎡、マンション:55㎡など)
・維持保全計画が一定の基準で定められている
認定長期優良住宅は、固定資産税だけでなく、所得税、登録免許税、不動産取得税も軽減されます。
建てるのと申請にコストがかかりますが、税や住宅ローンの恩恵があるので、予算次第で検討してみてください。
リフォームの減税措置
新築でなくても、要件を満たせばリフォームで減税が受けられます。固定資産税が減額できるのは、令和6年3月31日までの、以下の改修工事です。
工事完了から3ヶ月以内に、税務署に申告が必要です。また、併用できない制度もあるので要注意です。
・省エネ化
・長期優良住宅化
・耐震リフォーム
バリアフリー化、省エネ化リフォームは、翌年の固定資産税が3分の1軽減されます。長期優良住宅化は3分の2、耐震リフォームでは2分の1が軽減されます。
すべて期間は1年間ですが、耐震リフォームは、災害時の避難に関係する物件は2年間受けられるケースがあります。
減税が受けられる工事内容や、工事費用が補助金除き50万円以上など、要件は細かく指定されています。
住宅用地の軽減措置
建物が建っている土地は、住宅用地の特例で、大幅に減税されます。
建物が建っている土地の面積が、200㎡以下は6分の1を、200㎡を超えた部分は3分の1を、課税標準に対して掛けられます。
例えば、家が建っている200㎡以下の土地は、固定資産税が単純に6分の1になります。
計算方法 | 特例 | |
---|---|---|
200㎡以下の部分 | 課税標準×1.4% | ×6分の1 |
200㎡超の部分 | 課税標準×1.4% | ×3分の1 |
他の軽減措置と異なり、用途を宅地から変えなければ期限はありません。期限付きの減税措置も多いので、自治体のホームページは必ず確認しましょう。
固定資産税の計算シミュレーション
固定資産税の計算を、実際にシミュレーション解説します。特例が適用されるかどうかまで考えて計算しましょう。
以下で、減税制度が多い新築の、マンションと戸建てを例に解説します。
新築マンションを購入した場合
以下の条件で、新築マンションの固定資産税をシミュレーション解説します。
・土地の固定資産税評価額1,400万円
・専有面積80㎡
・3階建て以上の中高層耐火建築物
・認定長期優良住宅ではない
建物と土地それぞれを計算して、合計額が年間の支払う金額です。
(適用期間が終わると1/2がなくなる)
建物の固定資産税は、約8.4万円でした。6年目以降は新築の特例がなくなります。
次は土地代について、まず住宅用地の特例がない金額を出してみます。
住宅用地の特例が適用されると、大幅に税額が下がります。
建物と土地の固定資産税を、経年原価補正率を考慮してまとめてみました。
建物 | 土地 | 合計 | |
---|---|---|---|
2021年 | 8.4万円 | 3.2万円 | 約11.6万円 |
2022年 | 8.0万円 | 3.2万円 | 約11.2万円 |
2023年 | 7.6万円 | 3.2万円 | 約10.8万円 |
2024年 | 7.4万円 | 3.2万円 | 約10.6万円 |
2025年 | 7.2万円 | 3.2万円 | 約10.4万円 |
2026年 | 14.0万円 | 3.2万円 | 約17.2万円 |
2027年 | 13.6万円 | 3.2万円 | 約16.8万円 |
建物の評価額は、2年目以降ゆるやかに下がっていきます。ただし、新築の特例が終わる6年目がもっとも税負担は重くなります。
固定資産税の年額が「16万円」の場合、年4回に分けて支払うなら、支払い月は「約4万円」家計を圧迫します。
月当たりの金額を意識して、貯めておいたほうが無難です。年額が16万円でも、月当たりで考えれば1万円程度です。
経年原価補正率について
経年原価補正率の表を、5年区切りでまとめてみました。
耐用年数の関係で木造と非木造が分かれていて、マンション等の非木造のほうが、固定資産税が高い状態が続きます。
マンション等の非木造の建物は、築10年で約7割、築20年で約5割まで下がります。
木造 | 非木造 | |
---|---|---|
5年経過 | 0.64 | 0.8569 |
10年経過 | 0.50 | 0.7397 |
15年経過 | 0.37 | 0.6225 |
20年経過 | 0.26 | 0.5054 |
25年経過 | 0.21 | 0.3992 |
30年経過 | 0.20 | 0.3059 |
35年経過 | 0.20 | 0.2345 |
40年経過 | 0.20 | 0.2089 |
45年以上 | 0.20 | 0.2000 |
経年原価補正率は、0.2より下がりません。築50年以上の物件でも、土地と建物の固定資産税がかかります。
ちなみに、固定資産税には免税点があり、30万円未満の土地と、20万円未満の建物には課税されません。
新築戸建てを購入した場合
以下の条件で、新築戸建ての固定資産税をシミュレーションします。
・建物の床面積140㎡
・土地の固定資産税評価額2,000万円
・土地の面積250㎡
・3階建て以上の中高層耐火建築物
・認定長期優良住宅ではない
建物と土地それぞれを計算して、合計額が年間の支払う金額です。
1,500万円×1.4%×120/140×1/2=約9万円
(適用期間が終わると1/2がなくなる)
▼120㎡超えの部分
1,500万円×1.4%×20/140=約3万円
合計 約12万円
建物の固定資産税は、約12万円でした。6年目以降から特例がなくなり、合計で「約21万円」になります。
また、建物が1月1日時点で未完成だと、住宅用地の特例は翌年からなので要注意です。
特例が適用される場合は、以下の計算式です。
2,000万円×1.4×200/250×1/6=約3.7万円
▼200㎡超えの部分
2,000万円×1.4×50/250×1/3=約1.8万円
合計 約5.5万円
土地と建物の固定資産税を、経年原価補正率を考慮してまとめてみました。
5年間は新築の特例を受けて、初年度は住宅用地の特例がない場合のシミュレーションです。
建物 | 土地 | 合計 | |
---|---|---|---|
2021年 | 9.0万円 | 28.0万円 | 約37.0万円 |
2022年 | 8.6万円 | 5.5万円 | 約14.1万円 |
2023年 | 8.3万円 | 5.5万円 | 約13.8万円 |
2024年 | 8.1万円 | 5.5万円 | 約13.6万円 |
2025年 | 7.9万円 | 5.5万円 | 約13.4万円 |
2026年 | 15.4万円 | 5.5万円 | 約20.9万円 |
2027年 | 15.0万円 | 5.5万円 | 約20.5万円 |
戸建ては住宅用地の特例の影響が大きいです。更地に新築を建てる場合は、タイミングをよく相談しましょう。
ちなみに、建替えの場合は、建築中でも特例が受けられるケースがあります。
固定資産税は「所有権」の場合に発生する
固定資産税は所有者が支払うため、土地が借地の場合は、土地の固定資産税はかかりません。借地に建物を建てた所有者は、土地の所有者に毎月「地代」を支払います。
分譲マンションは「所有権マンション」がほとんどですが、土地が借地の「借地権マンション」もあります。
借地権マンションは土地の固定資産税が不要ですが、リフォームに許可が必要だったり、住宅ローン審査に影響したりするので要注意です。
特に値段が安い中古マンションでは、見落とす可能性もあるので、物件の資料をよく確認したほうが良いです。
中古物件で気にするポイント
中古物件は、マンションと戸建てどちらも「新築の特例がない点」と「経年で評価額が下がっている点」を押さえておきましょう。
ちなみに、築5年(長期優良住宅は7年)以内なら、新築の軽減税率を受けられる期間が残っている場合があります。
リフォームの特例は適用できる可能性があるので、計画をするときに、税の優遇がないか施工会社に相談してみてください。
市街化区域内だと都市計画税もかかる
固定資産税と似た税金に「都市計画税」があります。都市計画税とは、道路の整備や開発などに使われる目的税で、市街化区域内の土地と建物にかかります。
土地が市街化区域内かどうかは、物件の資料や、自治体で確認できます。
都市計画税の計算方法
計算式は固定資産税とほとんど同じで、税率は「0.3%」の自治体が多いです。
②土地 固定資産税評価額×税率(0.3%)×軽減税率
上記①+②=1年間の都市計画税
都市計画税にも、住宅用地の特例があります。
計算方法 | 特例 | |
---|---|---|
200㎡以下の部分 | 課税標準×1.4% | ×3分の1 |
200㎡超の部分 | 課税標準×1.4% | ×3分の2 |
以下で、新築マンションの固定資産税をシミュレーションした際の例と並べてみます。前提の条件は同じです。
・土地の固定資産税評価額1,400万円
・住宅用地の特例あり
建物 | 土地 | |
---|---|---|
固定資産税 | 約8.4万円 | 約3.2万円 |
都市計画税 | 約3.6万円 | 約1.4万円 |
固定資産税を計算するときは、あわせて都市計画税も計算しましょう。税率は自治体によって異なるので、自治体のホームページで確認してください。
持ち家の固定費は他にもある
持ち家の固定費は、税金と維持管理の費用です。固定資産税と都市計画税の他にもあるので、以下にまとめました。
相場 | |
---|---|
管理費+修繕積立金 (分譲マンションのみ) |
合計3万円程度/毎月 |
室内の修繕費 (不具合が生じた場合) |
実費(箇所による) |
町内会費 (原則は任意) |
数百~千円程度/毎月 |
分譲マンションでは、建物全体の維持管理のために、管理費と修繕積立金を毎月2~3万円は支払います。
購入後はローン返済が長くて35年続くので、毎月の予算を組むときには、持ち家の固定費まで考える必要があります。
住宅購入の際は、生活費が圧迫されすぎないように、長期的な計画を立てましょう。
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