世帯年収900万円の住宅ローンの目安は?無理のない借入額はいくらまで?

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「世帯年収900万円の住宅ローン目安は?」「無理のない借入額はいくら?」などの疑問を解決します!

世帯人数ごとの借入額の目安や、住宅ローンに関する知識を幅広く解説します。金利や返済にかける期間を変えたシミュレーションもご紹介します。

年収が異なる場合は、以下のリンクを参照してください。

年収ごとの住宅ローン記事
年収350万円 年収400万円
年収500万円 年収600万円
年収700万円 年収800万円

この記事は、ファイナンシャルプランナーで、宅地建物取引士の岩井さんに監修してもらいました!

監修 岩井 勇太
チャット不動産イエプラ メディア事業部
ファイナンシャル・プランナー
宅地建物取引士

日本FP協会認定のFP。不動産やライフプランに関する専門知識と経験を活かして、最適な物件選びから、長期的にみて損しない住宅購入までをサポートしています。一人暮らしやファミリー世帯など、幅広い世帯からリピートをいただいています。

世帯年収900万円の住宅ローン目安表

世帯年収900万円で無理なく組める住宅ローンは約4,700万円です。これは「返済負担率」を20%まで抑えた借入額です。

返済負担率(返済比率)とは、税込年収から返済に回す割合のことです。一般的に、20~25%までは無理なく返済できると言われています。借りられる限度は35~40%が目安です。

35年ローンの借入限度額と、無理なく返済できる借入額の目安を表にまとめました。借りられる金額と現実的な借入額は、大幅に差があるとわかります。

世帯年収 借入限度額
(返済負担率35%)
無理のない目安
(返済負担率20%)
900万円 8,318万円 4,753万円
910万円 8,411万円 4,806万円
920万円 8,503万円 4,858万円
930万円 8,595万円 4,911万円
940万円 8,688万円 4,964万円
950万円 8,780万円 5,017万円
960万円 8,873万円 5,070万円
970万円 8,965万円 5,122万円
980万円 9,057万円 5,176万円
990万円 9,149万円 5,229万円

住宅金融普及協会のシミュレーター、金利1.69%、元利均等返済方式

返済期間が短いほど、表よりも借入額は減ります。また、金融機関に払う金利(利息)によって借入額やトータルの返済額が異なります。

毎月の返済額に余裕がないと、生活費が不足したり、急な出費があったときに返済が苦しくなります。

老後資金や子どもの教育費に備えて、住居費は無理のない範囲内に抑えるべきです。

岩井
岩井
住宅ローンの返済期間は最長35年が基本です。20年後のローンの残り金額や完済時の金利負担など、長期的なシミュレーションが必要です。

世帯年収900万円の家庭は全体の5%しかいない

総務省統計局の「2021年家計調査」によると、世帯年収が900万円台の家庭は全体の5%です。数は少なく高収入の世帯と言えます。

二人以上のさまざまな家庭を含む集計での割合ですが、参考にまとめました。

世帯年収の分布

出典:総務省統計局 2021年家計調査より作成

金融機関に支払い能力を高く評価されるため、ローン審査の心配は少ないです。無理なく返済できるかどうかを中心に予算を考えましょう。

夫婦の年収の割合で手取りが変わる

夫婦の年収の割合で、税金や社会保険料を引いた「手取りの収入」が変わるので要注意です。年収が高い人ほど税金などの負担は大きいためです。

大まかに、単独の年収500万円台までは20%、600万円を超える場合は25%を差し引いて考えたほうが良いです。

世帯年収は同じ900万円で、片働きと共働きの手取り収入を比べてみました。年間で数十万円、月にすると数万円の差が出るケースがあります。

片働き 共働き
夫の税込年収 900万円 500万円
妻の税込年収 専業主婦 400万円
手取り年収の合計 約675万円 約720万円
月の手取り合計 約56万円 約60万円

実際は、ボーナスの割合や受けられる減税によっても毎月の手取りは変わります。家庭によって返済に回せる金額が違う点は押さえておきましょう。

夫婦の年収の割合によっては補助金などの公的な支援が減ります。子育て費用の助成金などは所得制限をよく確かめてください。

まずは月あたりの手取り収入を把握するべきです。返済は毎月あり、完済まで滞納せず支払い続ける必要があるためです。

生活費から逆算して予算を組むべき

住宅ローンなどの住居費にかけられる予算は、生活費から逆算して考えるべきです。収入から考えると、支払い能力を超えて借りすぎてしまうからです。

家計の円グラフのイラスト

総務省統計局の2021年1~3月期家計調査より「住居費を除いた消費支出の集計」を、以下にまとめました。

実際は家庭ごとの出費を当てはめて、月の手取りからいくら残るか明確にしましょう。手取りを仮に56万円と考えた場合の、残りの金額も参考にしてみてください。

住居費を除く
消費支出
残りの金額
世帯人数1人 118,549円 441,451円
世帯人数2人 200,858円 359,142円
世帯人数3人 241,126円 318,874円
世帯人数4人 287,752円 272,248円
平均 195,658円 364,342円

出典:総務省統計局 家計調査 家計収支編/総世帯より作成

住居費を除いた消費支出には、車のローン以外の、生活に必要な費用が含まれています。

平均の生活費で考えると、毎月約36万円余ります。貯蓄などを考えても住居費に回せる余裕は大きいので、節約次第で借入金額は上げられます。

生活費から逆算したローンの例

生活費から逆算したローンの例を紹介します。2021年1~3月期家計調査を参考に、世帯年収900万円の生活費(住居費除く)の例を作成しました。

月に「約56万円」の予算で、妻は専業主婦、中学生の子ども1人の家庭を想定しています。

食費 90,000円
水道光熱費 25,000円
娯楽費・交際費 60,000円
通信費 25,000円
交通費 20,000円
衣類・日用消耗品代 40,000円
医療費(保険含む) 35,000円
教育費 55,000円
出費合計 350,000円
残り 210,000円

残りの21万円から、貯金や持ち家の固定費をふまえて最適な住居費を決めます。

住居費は、35年のローンで返済負担率が20%だと、月あたりの返済は「約15万円」です。生活レベルを変えなくても毎月6万円ほど余るので、返済は現実的な範囲内です。

返済負担率を上げたり貯金を増やしたいなら、家計の見直しが必要です。

毎月の固定費が3~4万円かかる

住宅を購入すると、毎月の固定費が3~4万円かかります。主に税金と維持費で、他にも必要に応じた費用があります。

マンションと戸建ての、入居中にかかる費用の例をまとめました。

共通してかかる固定費
固定資産税 物件評価額の1.4%程度/毎年
都市計画税 物件評価額の0.3%程度/毎年
町内会費 数百~千円程度/毎月
室内の修繕費 実費(不具合が生じた場合)
マンションでかかる固定費
管理費+修繕積立金 合計3万円程度/毎月
駐車場(使う場合) 1~5万円/毎月
駐輪場代(使う場合) 数百~千円程度/毎月
戸建てでかかる固定費
外装の修繕費 50~100万円/約15年

固定資産税と都市計画税(固都税)は軽減措置をふまえると、年間で10~15万円が目安です。月に直すと「0.8~1.3万円」です。

マンションでは毎月、修繕積立金と管理費がかかります。2020年度の東日本不動産流通機構の統計では合計で平均「約2.4万円」です。

毎月払う費用の他に、不定期にかかるコストもあります。物件によっては目安より安いですが、月あたり3~4万円かかると考えて貯金をしておくべきです。

▶持ち家の維持費について詳しくはこちら

毎月の住居費から適切な借入額がわかる

毎月の収入と支出がわかれば、余った金額から適正な借入額がわかります。金融機関のシミュレーターは、毎月返済に回す額からも借入額を確認できます。

全期間固定金利の「フラット35」と民間金融機関のシミュレーターで、毎月返済する額から試算した借入額をまとめました。

無理なく払える金額を当てはめて、借り入れの目安にしてください。返済期間は35年で計算しています。

毎月の返済額 フラット35
(全期間固定金利)
民間ローン
(変動金利)
10万円 3,168万円 3,910万円
11万円 3,485万円 4,300万円
12万円 3,802万円 4,690万円
13万円 4,119万円 5,080万円
14万円 4,436万円 5,470万円
15万円 4,753万円 5,860万円
16万円 5,070万円 6,250万円
17万円 5,386万円 6,650万円

※ボーナスなし、固定金利1.69%、変動金利0.41%、元利均等返済方式

4,000万円借りた場合、月あたり10~13万円の返済が目安だとわかります。

金利のタイプや金融機関によって借入額が変わるので、ローン選びは重要です。

ボーナスや退職金は前提にせず、毎月払える金額をベースに借入額を決めましょう。確実ではない収入は、老後に備えた貯金に充てたほうが良いです。

住宅ローンの借入金額の決め方

住宅ローンの借入額を決めるときの、一般的な考え方を4つ解説します。複数の基準を知ったうえで、家計に合ったローンを組みましょう。

  • ①借り入れは年収の5~6倍まで
  • ②返済負担率は25%以内
  • ③自己資金がいくらあるか
  • ④単独ローンもしくはペアローン

①借り入れは年収の5~6倍まで

もっとも一般的な考え方は、借入金額を「年収の5~6倍」にする方法です。年収900万円だと「4,500~5,400万円」です。

予算を年収で割った「年収倍率」の統計でも、年収5~6倍の予算で家を買う人は多いです。

フラット35利用者調査より、年収倍率の統計を紹介します。全国平均の、直近5年分の推移です。

年収倍率の推移(2016~2020年度)

出典:2010~2020年度 フラット35利用者調査

統計では、中古で年収の5~6倍、新築で6~7倍程度の傾向があります。まず年収の5~6倍の予算で物件情報を調べてみると、相場の目安にもできます。

新築など年収の7倍以上の物件を買うときは、借り入れを減らすために「頭金」を多く払うなどの工夫が必要です。

②返済負担率は25%以内

返済負担率が25%以内に収まっているか確かめましょう。例えば、年収900万円なら毎年の返済額は225万円以内、月々返済は約19万円が限度です。

統計でも、金利のタイプに関わらず、返済負担率が25%以内の住宅ローンを組んでいる人が多いです。

返済負担率の統計表

出典:2021年4月 住宅金融支援機構 住宅ローン利用者調査

返済負担率は、住宅金融普及協会のシミュレーターでも確かめられます。返済負担率が25%を超えていたら、借りすぎを疑ったほうが良いです。

返済に回す金額を、手取り収入の25%以内に収まるようにすればさらに余裕が作れます。

③自己資金がいくらあるか

「自己資金」がいくらあるかによって、選べる物件の幅が変わります。自己資金とは、貯金や親からの支援金などの、借り入れ以外の手持ち資金のことです。

家を買うための費用は「住宅ローン部分+自己資金で払う部分」です。自己資金で払う部分には「頭金」「諸費用」「手付金」があります。

住宅購入に必要な費用の内訳

頭金を多く払えると、借り入れが減らせます。毎月の返済額と、金融機関に払う金利も抑えられるので、払うメリットは大きいです。

諸費用は関係者への手数料などで、物件の価格とは別でかかります。金融機関によっては住宅ローンに含められます。手付金は契約後に一部前払いする費用です。

自己資金から20~30%払えると理想的

購入時は自己資金から20~30%払えると理想的です。払いすぎても貯金が減って大変なので、少なくとも半年分の生活費は確保しておくべきです。

令和2年度住宅市場動向調査報告書」の統計でも、三大都市圏(東京・大阪・名古屋近郊)の購入資金は20~30%が自己資金です。頭金を払う人が多いとわかります。

購入資金 自己資金 割合
新築マンション 4,393万円 1,124万円 25.6%
新築注文住宅 4,486万円 989万円 22.0%
新築戸建て(建売) 3,757万円 775万円 20.6%
中古マンション 2,213万円 818万円 37.0%
中古戸建て 2,696万円 876万円 32.5%

出典:国土交通省 令和2年度 住宅市場動向調査報告書

貯金を減らしたくないときは、自己資金が少なくても家を買う手段はあります。頭金なしの「フルローン」でも組めるので、後ほど詳しく解説します。

④単独ローンもしくはペアローン

ローン契約者が1人の「単独ローン」か、夫婦それぞれが組む「ペアローン」のどちらを選ぶかでも、適切な借入額が変わります。

できれば1人の年収を基準に単独ローンを組んだほうが良いです。ペアローンは片方の収入が下がったときに返済が大変になるためです。

単独の年収が900万円の家庭より、借りすぎに気を付ける必要があります。注意点や夫婦の収入を無理のない範囲内で合算する方法は、次の記事で詳しく解説しています。

▶ペアローンや収入合算の解説はこちら

借入可能額は金融機関の審査次第

最終的に借りられる金額は、金融機関の審査によって決まります。一般的に、ローン審査には「事前審査」と「本審査」の2段階あります。

事前審査に通過したらお部屋の売買契約を結んで、ローンの条件が確定するのは「本審査」に通過した後です。

国土交通省の令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査より、審査でチェックされる項目から、重要なものを紹介します。

審査する金融機関の割合
完済時の年齢 99.1%
健康状態 98.2%
担保評価(不動産の価値) 98.2%
借入時の年齢 97.8%
年収 95.7%
勤続年数 95.3%
返済負担率(返済比率) 92.1%
雇用形態 76.4%
他の借り入れ 64.2%
業種 30.1%
その他の審査項目
審査する金融機関の割合
連帯保証 95.1%
金融機関の営業エリア 91.0%
融資可能額(購入) 74.3%
融資可能額(借り換え) 69.4%
国籍 69.3%
申込人との取引状況 45.8%
家族構成 23.7%
勤め先の規模 21.6%
所有資産 21.0%
性別 17.5%
その他 4.1%

※住宅ローンを取り扱う全国1,132の金融機関が回答

出典:国土交通省 令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査

多くの金融機関では、借入開始年齢は65~70歳、完済年齢は75~80歳など、上限を定めています。借入先によってルールは異なるので、事前に確認しましょう。

年齢以外の審査基準は、非公開の項目が多いです。現実的な返済計画なら心配しすぎる必要はありません。

審査で重要なのは「総返済負担率」

審査で重要なのは「総返済負担率」です。住宅ローン以外の借り入れも含めて、1年間に返済できる金額を評価されます。

金融機関は、借金歴などの「信用情報」を確認できます。分割払いや他の借り入れは、すべて把握されると考えたほうが良いです。

返済負担率に含められる借り入れの例を、以下にまとめました。

チェックされる借り入れの例

  • ・車のローン(カーローン)
  • ・クレジットカードでの買い物
  • ・楽器や家電の分割払い
  • ・消費者金融での借り入れ
  • ・奨学金の返済
  • ・教育ローン、学生ローン
  • ・携帯電話本体の分割払い
  • ・過去の滞納歴(事故情報) など

車のローンやキャッシングなど、返済中の支払いがあると、そのぶん住宅ローンを厳しく審査されます。

内容によりますが、滞納などの事故情報があると、住宅ローンを組むのは難しいです。5~10年以内に心当たりがある人も要注意です。

金融機関によっては、クレジットカードのキャッシング枠までチェックされるケースがあります。明らかに使わないカードは解約しておくと良いです。

総返済負担率の上限はさまざま

総返済負担率の上限は、金融機関ごとに基準があり、ほとんどの金融機関で非公開です。統計では35~40%がもっとも多いです。

国土交通省の令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査の、民間金融機関へのアンケート結果を紹介します。

返済負担率の回答数
  • ・45%以内(41)
  • ・40%以内(33)
  • ・35%以内(33)
  • ・30%以内(14)
  • ・20%以内(5)
  • ・50%以内(1)
  • ・その他(73)

出典:令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査

総返済負担率が知りたいときは、金融機関ごとのシミュレーターが参考になります。あくまで目安ですが、事前審査の前に確かめましょう。

フラット35や公的ローンは審査の基準が明確

公的機関と民間の金融機関が提携して貸し出すフラット35や、財形住宅融資などの「公的ローン」は審査基準が明確です。

信用情報に傷がなく、総返済負担率が基準の範囲内なら基本的に借りられます。

総返済負担率
年収400万円未満 30%以下
年収400万円以上 35%以下

出典:フラット35 公式ホームページ

ローン審査では、勤続年数3年以上の公務員や正社員など、安定している職業ほど有利です。

自営業やフリーランスは、高収入でも不安定と評価されます。借入額が大きいほど厳しくチェックされます。

フラット35は審査基準が明確なので、職業を問わず借りやすいです。借入上限額が8,000万円までなど、注意点や詳細は以下の記事で解説しています。

▶フラット35の詳しい解説はこちら

金利によって総返済額が大きく変わる

住宅ローンは、金融機関に支払う金利の差で、総返済額が大きく変わります。借入金額が同じでも完済時に数百万円の差が出ます。

借入額が大きいほど影響は大きく、金利1%の違いで、総返済額に1,000万円以上の差がつくケースもあります。重要なので押さえておきましょう。

金利タイプ別の特徴

金利は金融機関ごとに設定が違い、タイプ別に特徴があります。主に以下の4種類です。

全期間固定金利型 完済するまで金利が変わらない
変動金利型 定期的に金利が見直される
固定金利期間選択型 一定期間毎に固定か変動か選べる
ミックス型 固定金利と変動金利で分けて借りる

どの金利タイプがお得かは、今後の金利相場によって変わります。特徴をとらえて自分に合う金利タイプを選びましょう。

固定金利は金利が上昇するリスクを抑えられます。ただし、適用される金利は高めです。変動金利は安いですが、金利上昇で返済額が増えるリスクがあります。

期間選択型やミックス型は、固定金利と変動金利のリスクを分散するイメージです。

2022年現在は低金利

2022年現在の金利相場は、バブル期などと比較すると大幅に低金利です。

住宅金融支援機構の集計によると、2022年4月時点での民間金融機関の金利(中央値)は、変動金利で約2.4%です。

2022年4月の民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

出典:フラット35公式ホームページ

金融機関ごとに優遇や割引があるので、実際はさらに安い金利で借りられます。安いと、固定金利で1%台、変動金利で0.3%台などです。

固定金利は上昇傾向で、割引などがないとやや高いです。今後も上昇すると考えると、固定金利で組むなら早めがお得です。

審査は厳しめの金利でチェックされる

ローン審査では金融機関のリスクヘッジのため「審査金利」でチェックされるケースが多いです。審査金利とは、実際に適用する金利よりも高い仮の金利です。

例えば金利0.6%で借りられる金額を考えても、審査金利が3%なら、借入可能額は大幅に減ります。

借入可能額
適用金利0.6% 約6,810万円
審査金利3% 約4,670万円

※ネット銀行のシミュレーター、返済期間35年

金融機関に貸し倒れを心配されると、希望した金額を借りられません。予算と借入額を考えるときは、高めの金利でもシミュレーションしておくべきです。

頭金を払うと金利が安くなる場合がある

金融機関によっては、頭金を払うと金利が安くなります。

例えば、フラット35は9割以下のローンだと、金利が約0.2%安いです。頭金を10%支払ったほうがお得です。

金利の範囲
9割以下のローン 1.440%~2.540%
9割超えのローン 1.700%~2.800%

出典:フラット35公式ホームページ 2022年4月の金利情報

頭金は、手元に残すお金とのバランスが大切です。金利の優遇が特にない、手元にお金を残しておきたいときなどは、頭金をあえて払わないのも手です。

変動金利で組むなら、貯金する余力を作っておくことが大切です。効率的に「繰り上げ返済」すれば、金利が上昇しても負担を減らせます。

金利上昇のリスクが心配なら、全期間固定金利で借りるのも無難な選択です。金利相場が上昇しても、予想外の出費は起きないからです。

比較サイトで金融機関の違いがわかる

比較サイトを使えば、ネットで金融機関ごとの違いを確かめられます。

住宅ローン比較窓口」のシミュレーションを使用して、以下の設定で借入可能額を試算してみました。

  • ・年収900万円
  • ・ボーナス返済なし
  • ・35年固定金利
  • ・元利均等返済方式

2022年4月のシミュレーションを、返済負担率20~35%まで表にまとめました。5%の差で、借入可能額は大きく変わります。

借入可能額 毎月の返済額
20% 5,142万円 15.0万円
25% 6,428万円 18.7万円
30% 7,713万円 22.5万円
35% 8,999万円 26.2万円

返済負担率20%で、銀行による比較も以下にまとめます。

金利 借入可能額
(概算)
三菱UFJ銀行 1.200% 約5,142万円
新生銀行 1.400% 約4,978万円
住信SBIネット銀行 1.840% 約4,642万円
横浜銀行 1.550% 約4,860万円
auじぶん銀行 1.500% 約4,899万円

借入可能額の他にも、総返済額や事務手数料、審査期間の目安まで比較できます。

金融機関は、少なくとも3つは比較したほうが良いです。審査を複数通しておいて、もっとも有利な条件のローンを組めるとベストです。

借入先によって特徴がある

借入先によって、金利や審査の傾向に特徴があります。以下に表でまとめたので、参考にしてください。

金利 審査
都市銀行
(メガバンク)
安い 厳しいが便利
ネット銀行 安い 厳しい
地方銀行
信用金庫
高い 融通が利く傾向
フラット35 固定金利のみ 基準が明確

他にも、事務手数料が安かったり、金利の上乗せがない疾病保障に加入できたりなど、特典で比較するのも手です。

不動産屋が「提携ローン」を紹介できるケースも多いです。金利の優遇が受けやすい、決済日までのスケジュール調整が便利などメリットがあります。

無理なく返済を続ける3つのコツ

無理なく返済を続ける3つのコツをご紹介します。同じ借り入れでも、住宅ローンの組み方や返済方法で工夫できます。

  • ①最長の返済期間で借りる
  • ②ボーナス払いは設定しない
  • ③元利均等返済方式で支払う

①最長の返済期間で借りる

住宅ローンは最長の返済期間で借りたほうが良いです。毎月の返済額が抑えられますし、原則は後から返済期間を延ばせないからです。

始めから大変な返済計画を立てるより、余裕があるときに繰り上げ返済するのが合理的です。現実的な借入額なら、定年を超えた返済期間のローンも組めます。

収入の変化を考えると、年齢によって延ばせる限度が異なります。以下リンク先で、無理のないローンの組み方を年齢別に解説しています。

年齢ごとの住宅ローン記事
20~29歳 30~39歳
40~49歳 50~59歳

完済年齢の上限が原因で延ばせないなら、親子二世代型ローンなどの手段もあります。家計に余裕があれば、想定外の出費や収入の低下にも備えられます。

繰り上げ返済は2種類ある

繰り上げ返済は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あります。最長のローンを組むときは、期間短縮型で返済を早めていけます。

全額でなくても、払いたい金額を指定して一部繰り上げ返済できます。ほとんどの金融機関で、ネット手続きの手数料は無料です。

特徴
期間短縮型 ・返済期間を減らして完済を早められる
・毎月の返済額は変わらない
返済額軽減型 ・毎月の返済額を減らせる
・完済までの年数は変わらない

退職金などで一括返済するより、定期的な繰り上げ返済のほうが、トータルの金利負担を減らせます。

繰り上げ返済するときは、金融機関のシミュレーターなどで効果を確かめてから払いましょう。住宅金融機構の返済方法変更シミュレーションも参考にできます。

岩井
岩井
窓口での繰り上げ返済や、全額の一括返済には手数料がかかるケースが多いです。住宅ローンを比較するときに、商品説明書で取り扱いをよく確かめてください。

②ボーナス払いは設定しない

年に2回支払いを増額する「ボーナス払い」は設定しないほうが良いです。賞与は確実に支給されるとは限らないからです。

毎月の返済額を一定にしておくと、家計の管理もしやすいです。

ボーナスは全額受け取ったうえで、余裕があれば繰り上げ返済に回しましょう。

③元利均等返済方式で支払う

毎月の支払い方法は、返済額が一定の「元利均等返済方式」がおすすめです。

ボーナス払いを設定せず元利均等返済方式を選べば、毎月の返済額が変わらないので計画が立てやすいです。

もう1つある支払い方法の「元金均等返済」は、徐々に毎月の返済額が減りますが、返済当初の負担が大きいです。違いを簡潔にまとめました。

特徴
元利均等返済方式 ・毎月の「返済額」が一定
・元金が減るまで時間がかかる
元利均等返済方式のイメージ図
元金均等返済方式 ・毎月の「元金」が一定
・返済当初の負担が大きい
元金均等返済方式のイメージ図

収入が上がっていく見込みなら、返済当初の負担を抑えたほうが良いです。元金均等返済を選ぶと、返済当初の負担が大きいため大変です。

金融機関のシミュレーターでも返済方式による違いが確かめられます。シミュレーションする際に意識してみてください。

世帯年収900万円の返済シミュレーション

世帯年収900万円の、返済シミュレーションをご紹介します。少しずつパターンを変えて説明するので、参考にしてみてください。

シミュレーションは、全期間固定金利で考えたほうが良いです。変動金利の上昇するリスクをふまえたシミュレーションは難しいからです。

また、高めの固定金利で考えておけば、実際の返済に余裕が作れます。

フラット35の固定金利1.69%の場合

夫が年収900万円、妻が専業主婦で5歳の子どもが1人いる場合のシミュレーションです。

35歳で中古マンションを購入して、定年の65歳までに30年で完済する計画です。

借入金額は多めの5,500万円で「全期間固定金利1.69%」「元利均等返済方式」の頭金なしフルローンです。諸費用は現金で払った想定で計算しています。

  • 総返済額:約7,015万円
  • 月々の返済:約19.5万円

シミュレーターを使った試算では、月々返済が約19.5万円です。返済負担率は手取り年収(約675万円)だと34.6%で、生活費が圧迫される返済計画です。

借入額が大きいほど、金利の影響を受けやすいです。完済時の金利はトータルで約1,500万円で、負担が大きいです。

2022年現在は低金利ですが、購入時に金利が上がっていた場合のシミュレーションをしてみます。

金利を2%にした場合

金利を1.69%から2%に変えて、他は同じ条件で再計算しました。あえて厳しい条件でのシミュレーションです。

  • 総返済額:約7,318万円
  • 月々の返済:約20.3万円

シミュレーターを使った試算では、月々返済が約20.3万円です。返済が手取りの36%を占める苦しい返済計画です。

金利負担は約300万円増えています。借り入れの時期や、ローン次第で総額が大きく変わるため要注意です。

頭金を払って借り入れを減らしたり、ローン期間を35年に延ばして、月々の負担を減らしたりする工夫が必要です。

頭金を払い返済期間を35年にした場合

頭金を1,000万円払う想定で借入額を4,500万円にしました。また、金利2%のままで、返済期間を35年にしてみます。

  • 総返済額:約6,260万円
  • 月々の返済:約14.9万円

シミュレーターを使った試算では、月々返済が約14.9万円です。手取りの26.5%で、現実的な返済額に落ち着きました。

返済期間を延ばすと金利の負担が増えますが、毎月の支払いは無理なく続けられます。

自己資金の割合を増やして借り入れを減らせば、返済にゆとりを作れます。後から繰り上げ返済もできるので、頭金の額は貯金の余裕次第で決めましょう。

一人暮らしの場合

一人暮らしの場合は、教育費を考える必要がないので多少は無理できます。

住居費に回せる金額は人によって異なるので、自分の生活費と比較してシミュレーションしてみてください。

返済の負担を減らすなら、予算自体を抑えるのがもっとも効果的です。生活費から考えた予算を担当者に伝えて、お得な物件を探してもらいましょう。

世帯年収900万円あれば選択肢は多い

世帯年収900万円台で買える家は多く、予算に余裕が必要な新築マンションや注文住宅も購入できます。

令和2年度住宅市場動向調査報告書の統計によると、三大都市圏で購入した物件の、種類別の平均世帯年収はすべて900万円未満です。

平均の世帯年収
新築マンション 864万円
新築注文住宅 761万円
新築戸建て(建売) 681万円
中古マンション 657万円
中古戸建て 657万円

出典:令和2年度 住宅市場動向調査報告書

節約次第で、35年フルローンの場合5,000万円前後の物件が購入できます。頭金を増やすほど予算が上げられます。

3,000~4,000万円の中古を買って、自分好みにリノベーションするのも手です。内装にかけるお金を工夫すれば、新築よりも大幅に予算が抑えられます。

立地や広さ、建物の設備のグレードなどでも価格は異なります。どんな物件を買うべきかは、予算と必要性をよく考えて決めるべきです。

価値の下がりにくい家を選ぶべき

物件の種類に関わらず、資産価値が下がりにくい家を選ぶべきです。売却価値を残債務が上回る「オーバーローン」の状態が続く間は返済が大変だからです。

残債務より高く売れる状態なら住み替えがしやすいですし、返済リスクに備えられます。売却しても返済しきれないと、マイナスを補填する必要があります。

資産価値が下がりにくい家は残債務よりも高く売れる時期が早く来ます。図解をすると以下のとおりです。

オーバーローン解消までの時系列の図解

駅に近い、住環境が整っているなど立地が良い物件や、管理が行き届いている物件は、人気があるので価値が下がりにくいです。

頭金を払うと、オーバーローンの解消をさらに早められます。返済計画を組む時に意識したいポイントです。

注文住宅の予算を決めるのは難しい

完成物件と異なり、注文住宅の予算を決めるのは難しいです。

家を建てる場所の他にも、建物の材料や省エネ機能など、お金をかける部分のバランスを考えないと高額になります。

予算を抑えるコツを知っておく必要があります。また、ハウスメーカーは全国に数百社あるので、値段を比較して決めたほうが良いです。

中立な立場のプロにサポートを受けられる

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購入時は「手付金」が払えれば家は買える

「手付金」が払えれば、自己資金が少なくても家は買えます。販売価格の100%と諸費用は、ローンに含められるからです。

手付金とは、売買契約を結んだ証として支払う現金のことです。相場は購入価格の5~10%で、50万円、100万円など定額のケースもあります。

住宅購入に必要な費用のうちローンに含められる部分の図解

自己資金は貯金の金額に応じて調整できます。初期費用を減らすとローンの割合が増えるので、エリアを見直して物件の購入価格を抑えるなど工夫しましょう。

手付金は購入代金に充てられる

手付金は最終的に購入代金に充てられます。払っても損はしない費用です。住宅ローン審査に落ちたときなど、事情があり契約を進められないときは返金されます。

注意点として、払った後に買主から契約解除すると、ペナルティとして没収されます。売主の事情で契約解除したい場合は、倍額で返金されます。

契約内容によるので、売買契約の際は「ローン特約」についてよく確かめてください。

▶手付金の相場や払うときの注意点はこちら

「申込証拠金」とは

物件によっては、申し込みの際に意思表示として「申込証拠金」や「申込金」が必要な場合があります。相場は10万円前後で、手付金と似た費用です。

契約すれば手付金に充てられますし、契約前にキャンセルするなら返金されます。お金を払うときは、名目を必ず確認しましょう。

諸費用の内訳を紹介

購入価格の10%程度の「諸費用」について、内訳を紹介します。

内容
団体信用生命保険料 死亡など万が一に備えた保険料(金利に上乗せして支払う方法が多い)
火災保険料 建物・家財の保険料
事務手数料 金融機関に支払う手数料
ローン代行手数料 不動産屋へのローン紹介手数料
仲介手数料 不動産屋への報酬
登記代行手数料 司法書士への報酬など
登録免許税 所有権と抵当権の登記にかかる税金
固定資産税清算金 売主が1年分払う税金の日割り清算
ローン保証料 保証会社に支払う手数料
印紙税 売買・ローンの契約書にかかる税金
リフォーム費用など 内装工事費用・オプション設備費用

ローン保証料とは、保証会社に支払う手数料のことです。保証会社は、返済が不可能になると立て替えてくれます。その後は保証会社に返済していく流れです。

保証料や事務手数料は、金融機関によって差があります。金利を比較するときにあわせて確認しましょう。

ペアローンでは、夫婦それぞれにローン保証料や、事務手数料がかかるので要注意です。フラット35のように、保証会社が不要のローンもあります。

実際はさらにお金が必要

引っ越し代金や、家具家電の購入費も必要です。引っ越しは業者に頼むと、ファミリーで少なくとも10万円ほどかかります。家具家電は買い換えると50~100万円必要です。

災害や病気に備えた保険を手厚くすると、さらに費用がかかります。手元にいくら残すかまで考えて予算を決めましょう。

購入後は1度だけ「不動産取得税」の支払いがあります。期日内に手続きすれば減税できるので、忘れないように気を付けてください。

▶不動産取得税を詳しく解説した記事はこちら

住宅ローン控除を受けると実質的に低金利

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けると、年末のローン残債務の0.7%(上限あり)を、10~13年間も減税できます。還付金で、実質的に金利の負担を減らせます。

控除できる額より所得税が少なく引ききれないぶんは、住民税から減税できます。物件によっては減税が受けられないので要注意です。

住宅ローン控除が適用される条件
  • ・床面積が登記簿上の面積40~50㎡以上
  • ・所得が一定(1,000万円~)以下
  • ・取得後6ヶ月以内に入居して住み続ける
  • ・家の半分以上が居住スペース
  • ・耐震基準を満たす(1982年以降の建築)
  • ・10年以上の住宅ローンを組む など

減税を受けるための条件(要件)や、減税される上限額は新築と中古で異なります。「令和4年度税制改正」のパンフレットにも目を通しておきましょう。

制度は数年ごとに見直されるので、購入の際は優遇が受けられる条件とあわせて最新の情報をチェックしてください。

住宅ローン控除については以下の記事で詳しく解説しています。

▶住宅ローン控除の詳しい解説はこちら

控除を受けるためには確定申告が必要

住宅ローン控除を受けるためには、確定申告が必要です。会社員などの給与所得者は、給料の他に収入がなければ、2回目以降は年末調整で控除が受けられます。

税金の軽減措置は、期間限定のものや、自分で手続きが必要なものが多いです。

最新情報を調べるのは大変なので、不動産屋からもアドバイスを受けるべきです。ニュースや節税の情報は定期的に調べて、損しないようにアンテナを張っておきましょう。

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