40代の住宅ローンは何歳で組むべき?頭金の目安や無理なく返済するコツは?

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40代の住宅ローンはどう組む?のアイキャッチ

「40代でも無理のない住宅ローンは借りられる?」「頭金はいくら必要?」といった疑問を解決します!

40代でローンを借りるメリットやデメリットなど、住宅ローンに関する知識を幅広く説明します。無理のないローンを組む5つのコツや、返済シミュレーションもご紹介します。

他の年齢についての解説は、以下のリンク先を参照してください。

年齢ごとの住宅ローン記事
20~29歳 30~39歳 50~59歳

この記事は、ファイナンシャルプランナーで、宅地建物取引士の岩井さんに監修してもらいました!

監修 岩井 勇太
チャット不動産イエプラ メディア事業部
ファイナンシャル・プランナー
宅地建物取引士

日本FP協会認定のFP。不動産やライフプランに関する専門知識と経験を活かして、最適な物件選びから、長期的にみて損しない住宅購入までをサポートしています。一人暮らしやファミリー世帯など、幅広い世帯からリピートをいただいています。

40代の住宅ローンは返済に工夫が必要

40代の住宅ローンは返済に工夫が必要です。定年までの期間が20年程度で、老後の返済が厳しくなりやすい、病気になると返済できないなどリスクが多いからです。

最長の35年ローンが組めても、現役のうちに「繰り上げ返済」をするべきです。

元気なうちにローンを完済すれば、老後の住まいが確保できて安心できます。定年後にローンが残ると、老後破産の原因になりやすいです。

岩井
岩井
何歳で住宅ローンを借りるべきかは、物件の種類や貯金の額でも変わります。大切なのは、40代でローンを組むメリットとデメリットを把握して、自分に合ったローンを組むことです。無理のない返済計画を立てるコツは、後ほど詳しく解説します。

40代でマイホームを購入する人は多い

40代は20~30代より年収が高く貯金に余裕があり、マイホームを購入する人は多いです。

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」によると、40代の住宅ローン利用者は全体の20%程度です。

住宅ローン利用者の年齢別の割合を示したグラフ

出典:住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査より作成

直近5回分のデータで30代の次に割合が高く、家を買う人は多いとわかります。

同統計によると、40代で家を買う主な理由は「子どもや家族のため(31.8%)」と「老後の安心のため(28.8%)」でした。

40代は返済に時間をかけられる最後のチャンスなので、家族や老後の安心のためにも無理をせず、ゆとりのある計画を立てましょう。

40代の平均年収は500~600万円

40代の平均年収は令和2年分の「民間給与実態統計調査統計」によると500~600万円です。平均年収で4,000~5,000万円のローンが組めます。

ただし、現状の収入を基準にして限度額に近いローンを組むと、返済が大変になるので要注意です。60歳前後は役職定年や再雇用によって収入が減る可能性があるためです。

統計でも50代まで年収が上がった後に、60代からは下がる傾向があります。教育費や老後に必要な貯金まで考えて、借りられる金額よりも抑えたローンを組むべきです。

年齢・性別ごとの平均年収の推移をまとめたグラフ

出典:国税庁 令和2年分 民間給与実態統計調査

高収入でも、返済期間を考えると住宅ローンの負担は大きいです。返済期間が短いほど毎月の返済額は増えるからです。

退職金やボーナスなど、確実ではない収入には頼りすぎず、生活費にゆとりを作りましょう。住居費で無理をすると、暮らしの質が下がってしまいます。

40代は老後まで考えて物件を選ぶべき

40代は老後まで考えて物件を選ぶべきです。老後に何度も引っ越すのは大変ですし、子どもの独立後はお部屋の数が多いと持て余す可能性があります。

家族構成や理想の住まいは家庭ごとに異なるので、必要性と予算次第で買う物件の種類を選びましょう。

国土交通省の統計によると、40代で家を買う人は、新築から中古まで幅広い住まいの選択をしています。

住宅ローン利用者の年齢別の割合を示したグラフ

出典:国土交通省 令和2年度住宅市場動向調査報告書より作成

40代のお部屋探しは、人生設計の大きな変化が20~30代より少なく、必要なお部屋の数や予算を決めやすいです。

新築や広い物件を選ぶと、価格は一気に上がります。生活レベルは一度上がると下げるのが難しいため、必要以上の予算を組んでいないかは慎重に考えるべきです。

老後の理想の住まいについては、次の記事でも詳しく解説しています。

▶老後の理想の住まいの解説はこちら

40代前半と後半で返済計画が変わる

40代は前半と後半で返済計画が変わります。設定できる返済期間に差が出るためです。

金融機関ごとに年齢のルールがあり、借入開始年齢は65~70歳、完済年齢は75~80歳の金融機関が多いです。例を表にまとめたのでご紹介します。

借入時の年齢 完済時の年齢
三菱UFJ銀行 70歳の誕生日まで 80歳の誕生日まで
三井住友銀行 70歳の誕生日まで 80歳の誕生日まで
りそな銀行 70歳未満 80歳未満
みずほ銀行 71歳未満 81歳未満
群馬銀行 65歳未満 81歳未満
イオン銀行 71歳未満 80歳未満
中央労働金庫 66歳未満 76歳未満
フラット35
(ARUHI)
70歳未満 80歳未満

出典:2022年1月時点 公式ホームページと商品説明書より作成

あくまで上限のルールなので、審査によっては希望の返済期間にできないケースがあります。どの年齢でも、客観的に考えて返済が現実的なローンを組む必要があります。

40代前半と後半に分けて、ローンを組むうえで意識したいポイントを解説していきます。

45歳未満なら35年ローンが組みやすい

45歳未満なら35年ローンが組みやすいです。定年後にどのように返済していくか示せれば、完済年齢の上限まで返済期間が延ばせます。

返済期間が最長まで延ばせれば、毎月の返済額が抑えられます。家計に余裕を作って計画的な貯金がしやすいです。

定年付近の収入の低下を考えて、借入額を抑えたり、余裕があるときに「繰り上げ返済」する工夫は必要です。

45歳以降は年齢がネックになりやすい

45歳以降は返済計画を立てるうえで、年齢がネックになりやすいです。年齢のルールだけでなく、ローン審査でも返済の計画性を心配されます。

審査の結果、返済期間が延ばせないと、毎月の返済額は大きくなります。無理のないローンを組むためには、予算自体を抑えたり「頭金」の割合を増やす必要があります。

頭金とは、借入額を減らすため自己資金(貯金など)から払う部分のことです。ローンを無理のない金額まで抑えられれば、返済期間の短さはカバーできます。

頭金なしでも住宅ローンは組める

頭金なしでも住宅ローンは組めます。選ぶ物件にもよりますが、基本的に物件価格の100%まで「フルローン」が借りられます。

頭金の他に自己資金で払う部分には「諸費用」と「手付金」があります。諸費用は物件価格と別にかかる手数料などで、ローンにも含められます。相場は販売価格の10%ほどです。

手付金とは、売買契約を結んだ証として前払いするお金です。相場は物件価格の5~10%で、20万円、50万円など定額の場合もあります。

住宅購入に必要な費用の図解

手付金は最終的に代金に充てられます。諸費用と頭金を足して、物件価格の30%は自己資金を用意できると理想的です。

まとまった出費を避けたいなら、手付金の金額まで自己資金は抑えられます。頭金を払わない場合は、そのぶん購入価格を抑えるなど工夫が必要です。

岩井
岩井
頭金を払いすぎたり、退職金をすべて返済に回す極端な計画を組むのはおすすめしません。毎月の返済に無理がなく、収入の増減や予想外の出費に耐える余裕がある借入額に抑えましょう。

40代でローンを組むメリットとデメリット

40代でローンを組むメリットとデメリットを詳しく解説します。

メリットがデメリットを上回るかどうか、比較しながら確かめてみてください。

40代は将来の出費を予想しやすい

40代でローンを組む最大のメリットは、将来の出費が予想しやすい点です。ライフスタイルが確立されていて、教育費や生活費の見通しが立てられます。

収入は20~30代より高く、購入時点の支払い能力の心配が少ないです。返済期間が短くなるぶん、金利(利息)の負担は減らせます。

家計に応じた最適な返済計画が立てられれば、住宅購入で失敗しづらい年齢と言えます。

40代でローンを組むメリット
  • ・購入後に必要なお金をイメージしやすい
  • ・20~30代より収入が多く支払い能力がある
  • ・貯金があり頭金が多く払える
  • ・団信で家族が安心して暮らせる
  • ・返済期間を短くできて金利負担が減らせる
  • ・老後の住まいが確保できて安心

団信(団体信用生命保険)に加入してローンを組めば、家族が安心して暮らせます。

万が一、返済の途中で亡くなったり重度障害になった場合でも、団信に入っているとローンの残りは消滅します。

多くの金融機関で団信加入は必須で、健康状態をチェックされます。持病があると金融機関の選択肢が減る場合があります。

岩井
岩井
40代は今後の健康状態が気になる年齢ですが、団信の審査は心配しすぎる必要はありません。健康状態の審査がゆるやかな「ワイド団信」や、団信の加入が任意のローンもあります。

40代は定年後に返済が残りやすい

40代で住宅ローンを組むと、定年後に返済が残りやすいです。定年までに返済しようとすると、毎月の返済額が高くなり生活費が圧迫されてしまいます。

生活レベルが20~30代より上がっているため、予算の上げすぎに要注意です。借りられる金額が大きいため、実際の支払い能力を超えやすいです。

金融機関は家計まではチェックしないため、手元に残すお金と借入額のバランスは家庭ごとに慎重に考えましょう。

40代でローンを組むデメリット
  • ・ゆとりのある返済計画が立てづらい
  • ・定年後に返済が続くと大変
  • ・計画的な貯金や繰り上げ返済が必要

40歳を超えてからローンを組むと、定年後もローンが残りやすいです。定年が60歳だったり、50代で役職定年がある会社なら、収入の減少まで考える必要があります。

老後のゆとりを作るためには、計画的な貯金や繰り上げ返済が必須です。

岩井
岩井
物件選びやローン選びで工夫すれば、デメリットは減らせます。不安な部分があれば、不動産屋にも相談してみてください。予算に収まる最適な方法の提案が受けられます。

40代で無理のないローンを組む5つのコツ

40代で無理のないローンを組む5つのコツを、以下にまとめました。

  • ①物件よりも先に予算を決める
  • ②借入額を無理のない範囲に抑える
  • ③返済期間は1年でも長くするべき
  • ④毎月の返済額は一定にしておく
  • ⑤窓口でローンのアドバイスを受ける

1つずつ詳しく説明します。

①物件よりも先に予算を決める

物件よりも先に予算を決めるべきです。物件を先に決めてしまうと、予算オーバーや借りすぎの原因になります。

40代で予算を考えるときは、収入を少なめに考えたほうが良いです。退職金やボーナスが景気の影響で減ったり、想定外の出費が増えたりしても耐えられる余裕が必要です。

購入の予算の決め方

  • 予算=無理のないローン+自己資金

一般的に、無理なく返済できる住宅ローンは、年収の5~6倍程度が目安と言われています。

無理のないローンについては、以下リンク先で年収ごとに詳しく解説しています。

年収ごとの住宅ローン記事
年収350万円 年収400万円
年収500万円 年収600万円
年収700万円 年収800万円
年収900万円 年収1,000万円

返済期間にもよりますが、収入が高いほど借りすぎに気を付けましょう。

頭金の平均額は購入資金の20~30%

統計では購入資金の20~30%は自己資金で、頭金を払う人が多いとわかります。

購入資金 自己資金 割合
注文住宅
(土地+建築)
5,359万円 1,654万円 30.9%
新築戸建て
(建売)
3,757万円 775万円 20.6%
新築マンション 4,393万円 1,124万円 25.6%
中古戸建て 2,696万円 876万円 32.5%
中古マンション 2,213万円 818万円 37.0%

出典:国土交通省 令和2年度住宅市場動向調査報告書より作成

頭金を払うメリットは大きく、借り入れを抑えられる他、金利の優遇が受けられる場合があります。

まとまった出費なので、頭金の金額は手元に残しておくお金まで考えて決めましょう。少なくとも半年分の生活費は確保しておくべきです。

▶マイホーム購入の頭金の解説はこちら

②借入額を無理のない範囲に抑える

借入額を無理のない範囲に抑えるために「返済負担率25%まで」を目安にローンを組みましょう。

返済負担率(返済比率)とは、税込年収から返済に回す割合のことです。一般的に、返済負担率25%を超えると生活費が圧迫されます。

統計でも、金利タイプに関わらず15~25%の範囲内でローンを組む人が多いです。

返済負担率の統計表

出典:住宅金融支援機構 2021年4月 住宅ローン利用者の実態調査

実際は税金や社会保険料を引いた「手取り年収の25%まで」で考えると、さらに余裕が作れます。ローン審査の心配も減らせます。

借りたい金額が決まっていれば、住宅金融普及協会のシミュレーターでも返済負担率が確かめられます。

③返済期間は1年でも長くするべき

返済期間は1年でも長くするべきです。定年後の収入の変化は大きいため、返済期間を長くして毎月の返済額を抑えたほうが良いです。

同じ金額のローンでも、返済期間の違いで毎月の負担は大きく変わります。借入額ごとに返済期間25~35年で比較してみました。

25年 30年 35年
2,000万円 約8.2万円 約7.1万円 約6.3万円
2,500万円 約10.2万円 約8.8万円 約7.8万円
3,000万円 約12.2万円 約10.6万円 約9.4万円
3,500万円 約14.2万円 約12.3万円 約11.0万円
4,000万円 約16.3万円 約14.1万円 約12.5万円
4,500万円 約18.3万円 約15.8万円 約14.1万円
5,000万円 約20.3万円 約17.6万円 約15.6万円

※フラット35、ボーナス払いなし、金利1.61%、元利均等返済方式

毎月の返済が最優先なので、住居費は少しでも抑えるべきです。返済期間は1年単位で延ばせるので、計画的に貯金が続けられる借入額まで調整しましょう。

月々の数万円の違いは、返済中のまとまった出費に耐えるためにも重要です。月3万円の貯金でも、60歳までの20年で700万円以上の余裕が作れます。

ローンを一度組むと、返済期間を後から延ばすのは大変です。最初から大変なローンを組むよりは、繰り上げ返済でマイペースに期間を短縮していくのが合理的です。

繰り上げ返済は「期間短縮型」を選ぶ

繰り上げ返済は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あり、返済を早めたいときは期間短縮型を選ぶべきです。違いを簡潔にまとめました。

特徴
期間短縮型 ・返済期間を減らして完済を早められる
・毎月の返済額は変わらない
返済額軽減型 ・毎月の返済額を減らせる
・完済までの年数は変わらない

40代の住宅ローンは、頭金を払ったり返済期間を延ばして、最初から毎月の返済額を抑えたほうが良いです。

節約のしすぎは生活の質を下げるので、家計に余裕が作れるローンを組みましょう。

ちなみに、完済が近づいてから一気に繰り上げ返済するより、5~10年単位で定期的に残債務を見直すほうが金利負担を抑えられます。

岩井
岩井
一括の繰り上げ返済は、5万円ほど手数料がかかるケースがあります。一部繰り上げ返済は、ネット手続きなら無料の金融機関がほとんどです。

④毎月の返済額を一定にする

毎月の返済額は1年を通して一定にしたほうが良いです。返済額が違う月があると計画が立てづらいからです。

年2回支払いを増額する「ボーナス払い」は設定せず、毎月の返済額が一定にできる「元利均等返済方式」を選ぶのがおすすめです。

もう1つの支払い方法の「元金均等返済方式」や、毎月の無理のない返済額については、次の記事でも詳しく解説しています。

▶住宅ローンの月々の返済額の解説はこちら

⑤窓口でローンのアドバイスを受ける

住宅ローンを組むときは、窓口でアドバイスを受けましょう。借りたい金融機関が決まっているなら、金融機関の窓口やコールセンターで、借り入れの相談ができます。

家計の専門家のFPや不動産屋にも相談してみてください。ローン審査の不安の解決策や、融通が利きやすい「提携ローン」の提案が受けられます。

無理のない計画を立てるためには、客観的な視点が必要です。FPや不動産屋に、無料で相談ができるサービスも活用するべきです。

40代でローンを組む際の5つの注意点

40代でローンを組む際の5つの注意点をまとめました。無理のない借入額なら解決できる内容ですが、押さえておきましょう。

  • ①世帯収入で組むローンは低めに考える
  • ②住宅ローン審査に対策が必要
  • ③金利のタイプはよく考えて決める
  • ④返済額は家賃と同じ扱いにしない
  • ⑤出費は長期的にシミュレーションする

①世帯収入で組むローンは低めに考える

世帯収入で組むローンは低めに考えるべきです。夫婦それぞれがローンを組む「ペアローン」や、パートナーの収入を足す「収入合算」は、借りすぎてしまう傾向があります。

子どもが自立していたり、完済まで共働き予定の場合に限ったほうが良いです。返済中に片方の収入が減ると一気に大変になるので、慎重なシミュレーションが必要です。

単独のローンで予算を決めたほうが、破綻するリスクは減らせます。世帯収入で組むローンの注意点は、次の記事で詳しく解説しています。

▶世帯収入を基準に組むローンの解説はこちら

②住宅ローン審査に対策が必要

住宅ローン審査に対策が必要です。年齢がネックになり、30代と比べて希望の条件でローンが組めないケースが増えるためです。

金融機関の種類によって審査の傾向に差があります。特徴を簡潔に表にまとめてみました。

審査 金利
都市銀行
(メガバンク)
厳しいが便利 安い
ネット銀行 厳しい 安い
地方銀行
信用金庫
融通が利く傾向 高め
フラット35 基準が明確 固定金利のみ

地方銀行や信用金庫は、他の金融機関に比べて融通が利きやすいです。審査の基準に詳しいFPや、不動産屋にもローンを紹介してみてもらってください。

審査では総返済負担率をチェックされる

ローン審査では「総返済負担率」をチェックされます。他に借り入れがあるほど、借りられる金額は減ります。

総返済負担率の上限は35~40%の金融機関が多いです。車のローンや教育ローンなど、返済中の支払いがあるなら、住居費を抑える必要があります。

チェックされる借り入れの例

  • ・車のローン(カーローン)
  • ・教育ローン、教育ローン
  • ・クレジットカードでの買い物
  • ・奨学金の返済
  • ・楽器や家電の分割払い
  • ・消費者金融での借り入れ
  • ・携帯電話本体の分割払い

金融機関はカードの支払い情報などの「信用情報」をチェックできます。過去に滞納歴や事故情報があると、どの金融機関でもローンが組めない可能性が高いです。

心当たりがある場合は、不動産屋に早めに相談してみてください。住宅ローンの審査に落ちる理由や対策については、次の記事でも解説しています。

▶住宅ローン審査に落ちる理由と対策はこちら

③金利のタイプはよく考えて決める

金利のタイプで負担が大きく変わるため、よく考えて決めるべきです。返済中は金利タイプの変更が難しい場合があります。

主に以下の4種類で、どの金利がお得かは考え方によって変わります。

全期間固定金利型 完済するまで金利が変わらない
変動金利型 定期的に金利が見直される
固定金利期間選択型 一定期間毎に固定か変動か選べる
ミックス型 固定金利と変動金利で分けて借りる

2022年4月時点での金利相場は、変動金利で約0.3~0.5%、固定金利で約1.0~1.6%です。固定金利は上昇傾向で、金融機関の割引や優遇がないとやや高いです。

固定金利型は、ローンを組んだ後は金利が変わらないメリットがあります。計画が立てやすいですが、金利の負担は大きいです。

変動金利型は、固定金利より低い金利で借りられます。返済中も金利が上昇するリスクがあるので、繰り上げ返済したり貯金しておく工夫が必要です。

期間選択型とミックス型は、固定金利と変動金利のリスクを分散するイメージです。

▶住宅ローンの種類や金利の解説はこちら

住宅ローン控除で税金の負担が軽減できる

住宅ローン控除(減税)」が受けられる物件を選べば、ローンの残りの最大0.7%を10~13年間も減税できます。

実質的に、金利の負担を軽減するのと同じようにトータルの出費を抑えられます。

住宅ローン控除を受けるための条件
  • ・床面積が登記簿上の面積40~50㎡以上
  • ・所得が一定(1,000万円~)以下
  • ・取得後6ヶ月以内に入居して住み続ける
  • ・家の半分以上が居住スペース
  • ・耐震基準を満たす(1982年以降の建築)
  • ・10年以上の住宅ローンを組む など

広さや耐震性の条件を満たせば、不動産取得税や登記費用も抑えられます。

税金は定期的に見直しがあるので、購入の際は最新の情報をチェックしましょう。住宅ローン控除については、次の記事でも詳しく解説しています。

▶住宅ローン控除の詳しい解説はこちら

④返済額は家賃と同じ扱いにしない

返済額は家賃と同じように考えてはいけません。持ち家には、賃貸にはない固定費がかかるためです。

持ち家の固定費は主に税金と維持費で、他にも必要に応じた費用があります。

物件によって金額に差があるため、探す段階で不動産屋によく確認しましょう。以下で入居中に発生する主な費用をまとめました。

共通してかかる固定費
固定資産税 物件評価額の1.4%程度/毎年
都市計画税 物件評価額の0.3%程度/毎年
町内会費 数百~千円程度/毎月
室内の修繕費 実費(不具合が生じた場合)
マンションでかかる固定費
管理費+修繕積立金 合計3万円程度/毎月
駐車場(使う場合) 1~5万円/毎月
駐輪場代(使う場合) 数百~千円程度/毎月
戸建てでかかる固定費
外装の修繕費 50~100万円/約15年

不動産の所有者には、固定資産税と都市計画税(固都税)がかかります。軽減措置があり、年間で10~15万円が目安です。月に直すと「0.8~1.3万円」です。

マンションでは毎月、修繕積立金と管理費がかかります。住環境や資産価値を保つための費用です。

2020年度の東日本不動産流通機構の統計によると、管理費と修繕積立金の合計は、平均「約2.4万円」です。

家賃の上限は、手取り収入の3分の1が目安と言われています。毎月の返済額は、家賃より月あたり3~4万円抑えて考えましょう。

持ち家の固定費に関する記事

▶修繕積立金と管理費の解説はこちら
▶固都税の解説はこちら

⑤出費は長期的にシミュレーションする

借入額を決めるときは、将来の出費まで長期的にシミュレーションしておきましょう。

子どもの教育費や結婚資金の援助、親の介護費用など、まとまった出費までふまえた返済計画を立てるべきです。

建物のメンテナンス費用もかかるので、貯金ができる計画を立てたほうが良いです。手すりの設置や段差を減らすような、バリアフリーリフォームが必要な場合もあります。

資金計画を長期的に確かめたいときは、金融広報中央委員会の「知るぽると」のライフプランシミュレーションなどが便利です。

岩井
岩井
金融機関のシミュレーターでも、返済計画をチェックできます。ただ、住居費の他にかかる費用まで確かめるのが難しいです。専門知識があるプロのアドバイスも受けて、無理のない計画を立てましょう。

40代におすすめのローンの組み方5選

40代におすすめのローンの組み方を5つご紹介します。返済に無理がなく、金利や特典がお得なローンが組めると理想的です。

  • ①変動金利でローンを組む
  • ②減税を受けてから繰り上げ返済する
  • ③金利や特典を比較してローンを選ぶ
  • ④資産価値が高い物件を選ぶ
  • ⑤親子で住宅ローンを組む

①変動金利でローンを組む

変動金利でローンを組めば、低金利が続く間は金利負担が抑えられます。返済期間が短いときは、金利負担が抑えられるメリットをより活かせます。

2000年頃から2022年現在まで、政府の金融政策で低金利が続いています。政策が続く限り、極端な金利上昇は起きないと言われています。

令和2年度の国土交通省の統計でも、変動金利で借りる人がもっとも多いです。5年分の統計をグラフにまとめてみました。

金利タイプの統計グラフ

出典:令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書

現在の金利相場だと、変動金利でローンを組んだほうが借入額は増やせますし、毎月の返済額を抑えられます。

ちなみに、固定金利と変動金利の相場は、決まり方が異なります。金融機関のホームページを見たり、ローンに詳しい不動産屋に質問して、最新の相場を確かめましょう。

②減税を受けてから繰り上げ返済する

住宅ローン控除で減税できる期間が終わるまでは、繰り上げ返済せず、無理のない返済を続けるべきです。

借入額にもよりますが、ローンの残りが多いほうが控除の効果が大きいためです。減税が受けられる10~13年間は、余ったお金を計画的に貯めておいたほうが良いです。

貯めたお金は、減税される期間が終わったら、シミュレーターで効果を確かめてから繰り上げ返済に回しましょう。

繰り上げ返済の効果は、金融機関の公式サイトや、住宅金融支援機構の「返済方法変更シミュレーション」が目安にできます。

岩井
岩井
頭金を払って借り入れを減らすときは、住宅ローン控除の金額まで考えましょう。借り入れを減らしすぎても、充分な恩恵を受けられないからです。

③金利や特典を比較してローンを選ぶ

金融機関によって金利や特典が異なります。「住宅ローン比較窓口」などの比較サイトで、もっとも優遇が受けられる金融機関を探してみてください。

金利の安さだけでなく、手数料や団信の手厚さも比較するべきです。病気やけがで返済が難しくなった場合の保障が大きく異なります。

返済期間が短いときは、最長のローンより金利の負担が減るぶん、金利を0.2~0.3%上乗せして保障を手厚くするのも手です。

④資産価値が高い物件を選ぶ

資産価値が高い物件を選ぶと、老後資金の不足に備えられます。ローン返済が難しくなったとしても、売却してやり直しができます。

駅の近く、買い物環境が整っているなど立地が良い物件や、治安が良いエリアは人気があるので価値が下がりにくいです。

売却して賃貸として住み続ける「リースバック」や、自宅を担保にお金を借りる「リバースモーゲージ」といった方法もとれます。

オーバーローンの間は売却が難しい

売ってもローンを返しきれない「オーバーローン」の間は売却が難しいです。残債務より高く売れるまでは、計画的に返済を続ける必要があります。

オーバーローン状態を解消する時系列の図解

頭金が多いほど、オーバーローンが解消できる日を近づけられます。いつでも売れる状態なら、住み替えがしやすいです。

老後に何度も引っ越すのは大変ですが、子どもが独立したら夫婦で暮らしやすい物件に住み替えるのもひとつの手段です。

⑤親子で住宅ローンを組む

子どもの了解があれば「親子リレーローン」で返済にゆとりが作れます。返済期間を長くして、将来的に親から子に住宅ローンを引き継ぐ方法です。

二世帯住宅を買うときや、同居するとき限定など、条件がある場合があります。フラット35では同居していなくても親子リレー返済が使えます。

親子それぞれがローンを組む「ペアローン」もありますが、借入額を増やしたいときに考える手段です。夫婦のペアローンと同様、注意点が多いです。

岩井
岩井
返済にゆとりが作れる方法は多いので、20~30年後をイメージした物件選びが重要です。設備などのグレードが高い物件が欲しいときは、予算に無理がないか慎重にシミュレーションを重ねましょう。

40代の住宅ローン返済シミュレーション

40代前半と後半の、住宅ローンの返済シミュレーションをご紹介します。「フラット35のシミュレーター」を参考にしています。

購入時期での違いを確かめるため、物件は同じ条件にします。

シミュレーションの前提条件
  • ・購入物件 3,550万円
  • ・手付金 50万円
  • ・諸費用 250万円
  • ・フラット35 全期間固定金利
  • ・ボーナス払いなし
  • ・元利均等返済方式

シミュレーションは、全期間固定金利で考えたほうが良いです。変動金利の上昇するリスクをふまえたシミュレーションは難しいからです。

また、高めの固定金利で考えておけば、実際の返済に余裕が作れます。

40代前半の返済シミュレーション

40代前半の返済シミュレーションは、手付金と諸費用は現金で払う前提で計算しました。

40代前半のシミュレーション

  • 借入時年齢:41歳
  • 年収:600万円
  • 自己資金:300万円
  • 金利:1.610%(頭金なし)
  • 35年ローン:3,500万円
  • 毎月の返済額:約10.9万円
  • 60歳時の残高:約1,845万円
  • 完済時年齢:76歳
  • 金利負担:約1,080万円
  • 総返済額:約4,580万円

繰り上げ返済せずにローンを払い続けた場合、定年後に10年以上ローンが続くため、負担が大きいです。返済方法変更シミュレーションも試してみました。

20年後の61歳時点で、期間短縮型で500万円繰り上げ返済すると4年9ヶ月短縮できる結果が出ました。

65歳時点でさらに200万円繰り上げ返済すると、定年後の返済期間は5年未満で済みます。計画的な貯金と繰り上げ返済で、収入に余裕があるうちに完済できそうです。

老後資金まで考えると月4~5万円は貯金が必要です。頭金を払えるなら、最初から借入額を減らしたほうが返済にゆとりが作れます。

頭金を最初に払うシミュレーション

前述のシミュレーションと異なり、最初に頭金を500万円払う形で試算してみます。

フラット35は、頭金を10%払うと金利が安く借りられます。

40代前半のシミュレーション

  • 借入時年齢:41歳
  • 年収:600万円
  • 自己資金:800万円
  • 金利:1.350%(頭金10%以上)
  • 35年ローン:3,000万円
  • 毎月の返済額:約8.9万円
  • 60歳時の残高:約1,547万円
  • 完済時年齢:76歳
  • 金利負担:約765万円
  • 総返済額:約3,765万円

頭金を500万円払ったおかげで、毎月の返済額が約2万円安いです。トータルの金利負担は、35年ローンのまま比較すると約315万円抑えられています。

定年付近で完済するためには、繰り上げ返済が必要です。毎月の返済額を抑えているぶん貯金がしやすく、余裕があるタイミングを探りやすいプランと言えます。

毎月の住居費に余裕があると、マイペースに返済していけます。繰り上げ返済する余裕が作れなくても、毎月の返済は続けられます。

最初から返済額が高いと大変なので、家計を見直して、生活費と住居費の最適なバランスを見つけましょう。

40代後半の返済シミュレーション

40代後半の返済シミュレーションは、返済期間が30年までしか延ばせない前提で計算しました。

5年間貯金して、頭金は販売価格の約20%(700万円)を払える想定にします。

40代後半のシミュレーション

  • 借入時年齢:48歳
  • 年収:700万円
  • 自己資金:1,000万円
  • 金利:1.350%(頭金10%以上)
  • 30年ローン:2,800万円
  • 毎月の返済額:約9.4万円
  • 60歳時の残高:約1,813万円
  • 完済時年齢:78歳
  • 金利負担:約606万円
  • 総返済額:約3,406万円

自己資金から20%程度払って、現実的な借入額まで調整できました。40代前半で頭金なしで買うよりゆるやかな返済計画です。

自己資金が少ない場合は、予算を抑える工夫が必要です。家計に見合うローンで買える理想の住まいを手に入れましょう。

シミュレーションに無理がないかは、FPや不動産屋にも相談するべきです。予算自体を抑える方法や、予算内で理想に近づける方法の提案が受けられます。

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