修繕積立金とは?管理費と何が違う?相場や値上げの見抜き方まで徹底解説!

PR
修繕積立金について知りたい女性のアイキャッチ

「修繕積立金とは?」「目安はいくら?」などの疑問を解決します!高い物件の特徴や、妥当な金額か見分ける3つの方法を紹介します。

値上がりするケースや、金額をどうやって決めているかまで、徹底解説します。修繕積立金と関わりが深い「管理費」も、わかりやすく説明します。

この記事はファイナンシャルプランナーの岩井さんに監修してもらいました。ぜひ参考にしてください。

監修 岩井 勇太
チャット不動産イエプラ メディア事業部
ファイナンシャル・プランナー
宅地建物取引士

日本FP協会認定のFP。不動産やライフプランに関する専門知識と経験を活かして、最適な物件選びから、長期的にみて損しない住宅購入までをサポートしています。一人暮らしやファミリー世帯など、幅広い世帯からリピートをいただいています。

修繕積立金の相場は1~1.5万円ほど

修繕積立金は、分譲マンションの固定費として毎月かかる費用です。平均的な相場としては、1~1.5万円程度のマンションが多いです。

床面積や築年数、共用設備のグレードなどでも金額は変わります。物件選びでは妥当な金額かどうかが大切です。

参考に、国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果の統計を紹介します。全国の地域ごとの価格では、平均で約1.1万円でした。

平均月額
北海道 14,381円
東北 11,479円
関東 12,973円
北陸・中部 10,151円
近畿 10,532円
中国・四国 9,500円
九州・沖縄 10,244円
平均 約11,323円

出典:平成30年度マンション総合調査結果 (専用使用料等は除いた統計)

また、国土交通省が作成したマンションの修繕積立金に関するガイドラインによると、㎡単価の目安は以下のとおりです。

階数 延べ床面積 ㎡単価(平均) 多い金額帯
15階未満 5,000㎡未満 218円 165~250円
5,000~10,000㎡ 202円 140~265円
10,000㎡以上 178円 135~220円
20階以上 206円 170~245円

出典:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

例えば、15階未満、延べ床面積600㎡、専有面積70㎡だと、この表から考えた修繕積立金は約1.1~1.7万円です。

統計とあわせて、相場を知りたいときや値段が適正か考えるときの、目安として使えます。

岩井
岩井
統計やガイドラインは、一つの目安として考えてください。修繕積立金が目安より明らかに高いときは、理由があるはずです。高くなる原因は、後ほど詳しく説明します。

修繕積立金とは

修繕積立金とは「大規模修繕」に備えて、所有者が全員で積み立てる費用のことです。

まず基本的な用語や、関わりが深い内容を表にまとめました。

解説
修繕積立金 大規模修繕に備えて積み立てる費用のこと。所有者が、マンションの管理組合に毎月支払う。
大規模修繕 マンションの老朽化や資産価値の低下を防ぐための、主に共用部分の計画的な工事のこと。10数年を目安に、定期的におこなう。
管理費 敷地と共用部分の日常的なメンテナンスに使う費用のこと。所有者が、マンションの管理組合に毎月支払う。
管理組合 物件の維持管理のために、所有者が構成する団体のこと。マンションのルール(規約)を定められる。所有者は必ず組合員になる。
共用部分 住人全員が使用する部分のこと。規約で、特定の部分を一部の住人だけに使わせることもできる。

大規模修繕は、管理組合の「長期修繕計画」に基づいて実施します。一般的に、修繕積立金の額は、大規模修繕の費用を予想して、逆算した金額です。

マンション管理組合については、次の記事でも詳しく解説しています。

▶マンション管理組合についての解説はこちら

大規模修繕の周期は12~16年ごとが目安

大規模修繕は、統計やガイドラインから考えると、12~16年周期なら通常のスケジュールと言えます。

国土交通省が平成30年に発表したマンション大規模修繕工事に関する実態調査の統計では、14~16年の周期で実施しているマンションが多かったです。

同統計の、大規模修繕の回数と築年数の集計を紹介します。以下で「1回目」の工事が11~15年なら、最初の大規模修繕が15年以内に実施されたとわかります。

大規模修繕工事の回数と築年数の関係

出典:マンション大規模修繕工事に関する実態調査

大規模修繕は、1回目が11~15年、2回目が26~30年、3回目が41年以上のマンションが多いです。

具体的な年数ごとの表も紹介します。年数にはばらつきがあるので、平均値と、極端な年数の影響を受けにくい中央値、全体の上位25%、下位25%の数値でまとめられています。

平均 中央値 上位25% 下位25%
1回目 16.3年 14.0年 16.0年 13.0年
2回目 29.5年 28.0年 33.0年 26.0年
3回以上 40.7年 40.0年 45.0年 37.0年

出典:マンション大規模修繕工事に関する実態調査

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、大規模修繕の実施は、12年ごとが目安とされています。

実際の統計と比べると短い周期です。大規模修繕が10~12年周期の物件は、問題ない部分まで工事を重ねて、出費しすぎていないか注意が必要です。

大規模修繕の費用と修繕積立金の関係

大規模修繕の費用は、1戸あたり約100万円が相場と言われています。工事内容によって差があるので、修繕積立金が適切かどうかは、物件ごとに考える必要があります。

例えば、14年目(168ヶ月目)の大規模修繕が、1戸あたり100万円負担の場合で考えてみます。月にすると約6千円なので、修繕積立金が毎月1万円強ならまだ余裕があります。

修繕積立金が足りないときは、所有者全員から一定額を集金するか、管理組合でローンを組んで修繕します。

分譲マンションでは、購入前に長期修繕計画をよく見ることが大切です。中には、出費が予想できるマンションもあるからです。

修繕積立金の使い道

修繕積立金は大規模修繕の際に使います。主に住人全員で使う「共用部分」の改修工事に使います。具体的には、以下のような工事です。

  • ・外壁工事(塗装、剥がれやひび割れの修繕)
  • ・手すりやフェンスなど鉄製の部分の塗装
  • ・屋根や床などの防水工事
  • ・給水、排水設備の修理
  • ・配管の修理、交換
  • ・エレベーターの修理、交換
  • ・オートロックの修理、交換
  • ・共用ポストなどの設備交換
  • ・機械式駐車場の修理、設備交換 など

出典:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

設備には耐用年数があり、大規模修繕の回数を重ねるほど、交換になる箇所が増えます。

工事費用は、リフォーム会社が物件を調査して見積もります。修理の他に、グレードアップ(改良工事)をすると費用は高くなります。

見積もりの後は、組合員の票をとって、規約で定める賛成数を超えれば、工事が決定します。

管理費とは

管理費とは、敷地と共用部分の日常的なメンテナンス費用のことです。修繕積立金とは別で、管理組合に毎月支払います。

東日本不動産流通機構の2020年度統計によると、首都圏の平均月額は管理費が約1.2万円、修繕積立金が約1.1万円でした。

管理費は、修繕積立金と比べるとやや高い傾向があります。まれに「管理費の一定割合」を、修繕積立金の額を決める根拠にしている場合があります。

管理費の使い道

管理費の使い道を、以下にまとめました。主に大規模修繕以外の、日常的なメンテナンス費用です。

  • ・管理人やコンシェルジュの人件費
  • ・公租公課(税金や町内会費など)
  • ・エレベーターなどの共用設備の点検
  • ・備品や通信費、事務費
  • ・共用部分の火災保険料や地震保険料
  • ・軽微な補修の費用
  • ・清掃費、ごみ処理費
  • ・管理会社への手数料
  • ・専門家(弁護士や建築士)への手数料
  • ・管理組合の運営費 など

出典:マンション標準管理規約 第27条

適切なメンテナンスが定期的におこなわれているか、値段に納得感があるかで、妥当かどうか判断しましょう。

特別に使う部分には専用使用料が必要

他の住人には使えない、特別に使える部分には「専用使用料」がかかります。代表的なものは、1階の専用庭やルーフバルコニーです。

専用使用料がかかるのは、特別に使える部分に対してです。通常のバルコニーはどのお部屋にもあるので、専用使用料はかかりません。

また、駐車場を使うときは、管理組合と駐車場契約を結んで、駐車使用料を支払います。

専用使用料や駐車場利用料は、管理組合の収入として、修繕積立金や管理費に充てられるのが一般的です。

修繕積立金と管理費が高額な5つのケース

修繕積立金と管理費が高額な5つのケースを紹介します。目安より高いときは、以下のような特徴がないか確かめてみてください。

  • ①家の専有面積が広い
  • ②24時間体制の警備システムなど
  • ③総戸数が少ない
  • ④機械式駐車場がある
  • ⑤高額な共用施設がある

①家の専有面積が広い

家の専有面積が広いほど、負担する金額は高くなります。一般的に、管理組合の規約で面積を基準に負担すると決まっています。

専有面積の違いでどのくらい差が出るか、表にしてみました。

東日本不動産流通機構の2020年度統計を参考に、1㎡あたり修繕積立金169円、管理費191円で計算しています。

修繕積立金 管理費
40㎡ 6,760円 7,640円
50㎡ 8,450円 9,550円
60㎡ 10,140円 11,460円
70㎡ 11,830円 13,370円
80㎡ 13,520円 15,280円
90㎡ 15,210円 17,190円
100㎡ 16,900円 19,100円

広さだけで比較しても、40㎡と100㎡では1万円以上の差が出ます。専有面積が異なる別部屋とも比較して、妥当か考えましょう。

②24時間体制の警備システムなど

24時間警備システムや監視カメラなど、共用部分のセキュリティにお金をかけている物件は、修繕積立金と管理費が高いです。

主に電気代やメンテナンス費用のため、管理費が高いです。交換が必要になると、大規模修繕で工事費が高くつきます。

ちなみに、管理人やコンシェルジュが常駐している物件は、人件費のぶん管理費が高いです。

③総戸数が少ない

総戸数が少ないほど、1戸あたりの負担する割合は増えます。国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果から戸数ごとの統計を紹介します。

修繕積立金 管理費
20戸以下 14,722円 13,260円
21~30戸 11,416円 12,106円
31~50戸 12,028円 9,847円
51~75戸 9,850円 10,386円
76~100戸 10,872円 11,490円
101~150戸 10,058円 9,451円
151~200戸 10,526円 10,989円
201~300戸 10,467円 11,662円
301~500戸 13,566円 14,022円
501戸以上 11,967円 10,767円

出典:平成30年度マンション総合調査結果 (専用使用料等は除いた統計)

統計では、20戸以下は高く、51~300戸では安定しています。あくまで平均値なので、物件により異なる部分は大きいです。

総戸数が多いと1戸あたりの負担が減ります。ただし、共用設備や物件の質が良くグレードが高い物件では、もともとの値段が高いです。

④機械式駐車場がある

機械式の駐車場は、利用者が多かったり、貸し出して収益が出たりするときは、マンションの収入になるメリットがあります。

ただし、利用者が少なく、駐車場の収支が赤字の場合は要注意です。機械式駐車場を使っていない人の修繕積立金や管理費が、駐車場の維持費に回ってしまいます。

維持費の目安は、マンションの修繕積立金に関するガイドラインによると以下のとおりです。

修繕工事費(1台当たり月額)
2段昇降式 7,085円
3段昇降式 6,040円
3段昇降横行式 8,540円
4段昇降横行式 14,165円

出典:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

実際は駐車場の稼働率や、築年数でも変わります。機械式駐車場があるときは、割高でないか慎重に確かめましょう。

⑤高額な共用施設がある

維持管理にコストがかさむ共用施設があるときは、修繕積立金と管理費も高いです。

豪華なエントランスやスポーツジム、プールなどです。グレードの高いタワーマンションや、規模の大きい物件に限られますが、平均より高くても妥当です。

もし修繕積立金と管理費が安くても、大規模修繕の費用が足りなければ値上げされます。

修繕積立金は値上がりすると考えるべき

修繕積立金は、基本的に値上がりすると考えるべきです。築年数が浅いほど安く、徐々に見直される傾向があるからです。

新築時には管理組合の積み立てが0円なので、購入者から一時金で集めます。

さらに月額まで多いのは不公平なので、新築の修繕積立金は安く設定される場合が多いです。

「修繕積立基金」「管理準備金」は新築ならではの初期費用

新築時に集める一時金は「修繕積立基金」や「管理準備金」です。修繕積立金や管理費に充てられる費用で、相場は1戸あたり20~40万円程度と言われています。

高いと1戸あたり100万円ほど必要です。ただし、住宅ローンに含められるので、まとまった出費は抑えられます。

長期修繕計画の見直しで値上がりする

大規模修繕を含めた長期修繕計画は、5年ごとに見直す管理組合が多いです。見直した結果、計画に対して修繕積立金が不足しているなら、値上がりが考えられます。

長期修繕計画の見直し時期の統計

出典:平成30年度マンション総合調査結果

見直しがないと、1回目の大規模修繕を「修繕積立基金」で実施できても、2回目の工事に不足が予想されると、値上げが必要になります。

平成30年度マンション総合調査結果の築年数ごとの統計でも、築浅より築古のほうが修繕積立金は高い傾向があります。参考に、管理費もあわせた表を紹介します。

修繕積立金 管理費
昭和50~54年 12,052円 9,420円
~昭和59年 11,077円 11,220円
~平成元年 11,400円 10,836円
~平成6年 11,413円 10,169円
~平成11年 12,024円 10,845円
~平成16年 11,227円 11,060円
~平成21年 11,865円 12,170円
~平成26年 9,244円 10,940円
平成27年以降 6,654円 13,547円

出典:平成30年度マンション総合調査結果 (専用使用料等は除いた統計)

集計時に築10年ほどの、平成21年頃のデータから、築10年目には値上がりする可能性が高いと考えられます。

統計では、築10年以降は安定する傾向があります。新築が安い傾向はふまえて、物件ごとに見極める必要があります。

ちなみに、管理費も値上がりする可能性はあります。時間が経つほど、経年劣化を防ぐためのメンテナンス費用が必要だからです。

積み立て方法による違いもある

修繕積立金は「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2種類、積み立て方法があります。

「均等積立方式」は、大規模修繕の金額を予想して、毎月同じ金額で集める方法です。値上げがない可能性は高いですが、最初から負担が大きいです。

「段階増額積立方式」は、最初は安く、大規模修繕までに値上げを重ねて、必要な金額を集める方法です。

統計では大半のマンションが、値上げが前提の「段階増額積立方式」です。以下の図は、築年数ごとに分けた積み立て方法の割合です。

修繕積立金の積立方式の推移(昭和50年~平成27年以降まで)

出典:平成30年度マンション総合調査結果

築年数が新しいほど「段階増額積立方式」が増え、平成16年以降は50%を超えます。やはり値上げはあると考えたほうが良いです。

家を買う前には、修繕積立金の積み立て方法も確認しましょう。値上げがあることを知らずにいると、無理なローンを組んでしまうおそれがあります。

修繕積立金が適切か見分ける3つの方法

修繕積立金が適切か見分ける方法を、3つ紹介します。実際に自分の目で確かめることが大切です。

  • ①管理状況をチェックする
  • ②管理組合の書類を見せてもらう
  • ③書類を見るだけでなく質問する

①管理状況をチェックする

マンションの資産価値を保つうえで、管理状況は重要なポイントです。マンションは手入れをしないと劣化が早いからです。

建物が傷めば、大規模修繕の工事費は高くなります。適切に手入れできているマンションは、築年数が経っていても寿命が長いです。

コンクリート造マンションの寿命は、メンテナンス次第で100年以上もつと言われています。

ただし、適切なメンテナンスができていないと、築20~30年程度でも高額な修繕が必要になったり、取り壊しが計画されたりします。

実際に見に行けば管理状況を確かめられる

仲介業者と内見に行けば、建物の状態が確かめられます。共用部は見た目から判断できる部分もあるので、参考にしてください。

チェックポイント
ゴミ捨て場 物が散らかっていないか、ごみ出しルールが守られているか
廊下・階段 物が散らかっていないか、照明は切れていないか
外壁や排水 外壁のひび割れや落書きの有無、排水(雨どいなど)はきれいか
植栽など 雑草は伸びていないか、手入れされているか、清掃されているか
掲示板・共用ポスト 掲示板は更新されているか、散らかっていないか
駐輪場・駐車場 物が散らかっていないか、マナーは守られているか

壁がひび割れていたり、照明が切れていたりすると、管理状況は心配です。共用部に私物が散らかっていたら、入居マナーが良くない可能性が高いです。

数は少ないですが、管理会社を使わない「自主管理マンション」にも注意です。

自分で修繕や掃除など、管理業務をおこなう必要があるので、購入は慎重に考えたほうが良いです。

平成30年度マンション総合調査結果の統計だと、自主管理マンションは全体の約6.8%でした。約74%の管理組合が、管理会社にすべての管理業務を依頼しています。

②管理組合の書類を見せてもらう

管理状況を見るときは、建物の状況だけでなく、管理組合の収支状況まで確認が必要です。内見までに、以下の書類が見たいと不動産屋に相談してみてください。

  • ・重要事項調査報告書
  • ・管理規約と使用細則
  • ・長期修繕計画
  • ・総会議案書と議事録

重要事項調査報告書には、修繕積立金や管理費の金額や収支、変更予定など細かく記載されています。

滞納の有無も記載されているので、要チェックです。売主が管理費や修繕積立金を滞納していると、購入時に買主が払う必要があります。

管理規約と使用細則で、入居中のルールが確認できます。長期修繕計画にも目を通して、毎月の負担を長期的な目線で考えましょう。

議事録などは、購入前は見れないケースがあります。可能な限り、家を買う前に資料を見せてもらいましょう。

③書類を見るだけでなく質問する

書類の量は膨大ですし、読み込んでも不明点が多いのが普通です。不明点はまとめて、仲介の担当者に質問したほうが良いです。

親切な業者なら、メリットだけでなく、デメリットまでわかりやすく説明してくれます。

特に、管理組合の収支状況や管理会社の評判は、一般公開されている情報だけでは判断基準として弱いです。

家は人生でもっとも高い買い物です。判断を間違えないように、積極的に質問しましょう。

岩井
岩井
管理状況は、メンテナンスだけではなく、収支状況も確認しましょう。重要な部分は仲介業者から説明しますが、疑問は積極的に伝えてください。

修繕積立金のシミュレーション

修繕積立金が妥当か考えるために、実際に計算してみます。過去に募集されていた物件情報を参考に、以下の条件を設定しました。

募集情報の内容
  • ・都内、販売価格3,400万円のマンション
  • ・修繕積立金は約1.2万円
  • ・専有床面積52㎡
  • ・築20年、総戸数23戸、7階建て
  • ・車なし、機械式駐車場なし

修繕積立金1.2万円が適正なのか、まずマンションの修繕積立金に関するガイドラインに沿って計算してみます。

ガイドラインの計算式をまとめると、以下のとおりです。

修繕積立金の目安の計算式
  • ㎡単価目安表の額×購入する物件の専有床面積
    +機械式駐車場がある場合の金額
    =修繕積立金の目安
ガイドラインの㎡単価目安表
階数 延べ床面積 ㎡単価(平均) 多い金額帯
15階未満 5,000㎡未満 218円 165~250円
5,000~10,000㎡ 202円 140~265円
10,000㎡以上 178円 135~220円
20階以上 206円 170~245円

出典:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

機械式駐車場がある場合の金額
修繕工事費(1台当たり月額)
2段昇降式 7,085円
3段昇降式 6,040円
3段昇降横行式 8,540円
4段昇降横行式 14,165円

出典:マンションの修繕積立金に関するガイドライン

今回は機械式駐車場がないので、シミュレーションを当てはめると以下の計算になります。㎡単価の目安は最小値、最大値の幅で計算すると、比較しやすいです。

修繕積立金の目安の計算式
  • (165~250円)×52㎡
    +機械式駐車場なしのため0円
    =8,580~13,000円

募集情報の「修繕積立金1.2万円」は、ガイドラインの目安幅に収まっているので、特に値段設定からは問題を感じません。

管理組合の書類を見せてもらい、長期修繕計画に特別な内容や滞納がなく、物件の管理状況が良好なら、妥当だと言えます。

岩井
岩井
大規模修繕に備えられているか、値段設定に納得感があるかが大切です。家自体が気に入っているときこそ、よく確認しましょう。

持ち家の固定費は他にもある

持ち家の固定費は、修繕積立金と管理費の他に、税金があります。固定資産税と都市計画税で、あわせて固都税とも呼ばれます。

家を買うときは、入居後のローン返済+固定費をふまえて、予算を組む必要があります。以下で、賃貸の固定費と比べて図解してみました。

入居中の固定費の比較(賃貸と持ち家)

持ち家の固定費を、以下で表にまとめました。目安として、月あたり3~4万円はみておきましょう。

相場
固定資産税 物件評価額の1.4%程度/毎年
都市計画税 物件評価額の0.3%程度/毎年
管理費+修繕積立金
(分譲マンションのみ)
合計3万円程度/毎月
室内の修繕費
(不具合が生じた場合)
実費(箇所による)
駐車場代(使う場合) 1~5万円/毎月
駐輪場代(使う場合) 数百~千円程度/毎月
町内会費 数百~千円程度/毎月

ちなみに、固定資産税と都市計画税も物件によって差があります。詳しく解説した記事があるので、参考にしてください。

▶固定資産税と都市計画税を徹底解説した記事はこちら

購入時にかかる諸費用とは

家を買うときは、物件の代金だけでなく、販売価格10%程度の「諸費用」が必要です。

ローンに含められる項目も多いので、初期費用の負担は軽くできるケースが多いです。どのような項目があるかは、把握しておきましょう。

内容
修繕積立基金
(管理準備金)
新築のとき管理組合に支払う費用
団体信用生命保険料 死亡など万が一に備えた保険料(金利に上乗せして支払う方法が多い)
火災保険料 建物・家財の保険料
事務手数料 金融機関に支払う手数料
仲介手数料 不動産屋への報酬
登記代行手数料 司法書士への報酬など
登録免許税 所有権と抵当権の登記にかかる税金
固定資産税清算金 売主が1年分払う税金の日割り清算
ローン保証料 保証会社に支払う手数料
印紙税 売買・ローンの契約書にかかる税金
リフォーム費用など 内装工事費用・オプション設備費用

新築では修繕積立基金、中古ではリフォームなどの費用が必要です。ローンを借りる金融機関によっても、必要な項目は異なります。

住宅ローンに含められない項目があるときは、金利が高めの「諸費用ローン」や「リフォームローン」などで分割払いできます。

ただし、リフォーム費用は、住宅購入の窓口と内装業者が別だと、住宅ローンに含められないケースが多いです。


【必見】自分にあった住宅ローンを比較検討したい方

初めて自宅を購入する場合、「いったいどのくらい住宅ローンを借りればいいんだろう?」「ローンを組むのに損をしてしまうのではないか不安!」と悩みますよね。

そんな方におすすめなのがモゲレコという無料の住宅ローン比較サービスです。

モゲレコを使えば、たった5分の入力で、主要銀行の住宅ローンを一括比較できます。審査に通る確率までひと目で分かるのでおすすめです。

また、「金利タイプが選べないので教えてほしい」「団信の種類を教えてほしい」など、細かい質問をプロのアドバイザーにすることもできます!住宅ローンの下調べに活用しましょう。

利用手順
1.モゲレコの公式サイトにアクセス
2.メールで会員登録&5分で情報入力
3.住宅ローンプランが比較できる
4.【必要に応じて】アドバイザーに質問できる