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賃貸の退去費用を徹底解説!費用の相場や安くする方法を公開!

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賃貸の退去費用はいくら必要?
そもそもどんな費用なの?

新しいお部屋に引っ越しする際、退去費用を減らすために大掃除しますよね!自分なりに綺麗にできれば、敷金が戻ってくると期待します。

しかし、配管などのクリーニング費用がかかったり、敷金なしのお部屋の場合は預け金が無いので全額請求されます。まとまったお金がなく、困る人も多いです。

そこで当記事では、間取り別やお部屋の広さごとの退去費用相場を紹介します!原状回復とクリーニング費用の違いもあるので、ぜひ参考にしてください。

監修 豊田 明
不動産屋「家AGENT」の営業マン
宅地建物取引士

賃貸の仲介会社「家AGENT」の現役の営業マン。宅地建物取引士の資格を取得している。営業マンとしての経験と専門知識を活かして、お部屋探しや入居審査についての不安や疑問を解決しています。

賃貸の退去費用の相場はいくら?

賃貸物件を出ていくときに払う「退去費用」の相場は、広さや住んだ年数(居住年数)によって異なります。

統計データや過去の実例を参考に3種類の相場を紹介していきます。

退去費用の相場
  1. 間取り別の総額
  2. 広さによる目安
  3. 居住年数ごとの総額

①間取り別の総額

無人契約機検索サイト「アトムくん」がおこなったアンケート調査によると、間取り別の退去費用の平均額は以下のとおりです。

退去費用の平均額
ワンルーム、1K、1DK、1LDK 49,980円
2K、2DK、2LDK 79,924円
3DK、3LDK、4K、4DK、4LDK 90,139円

出典:https://b2b-ch.infomart.co.jp/news/detail.page?IMNEWS4=1868174

退去費用はお部屋の数が多いほど高い傾向があります。二人暮らし以上の場合は、高額になりやすいので要注意です。

②広さによる目安

広さによる目安を過去の事例をもとに紹介します。退去費用を間取りごとの平均的な平米数で割った表です。

㎡数 ㎡あたりの目安
ワンルーム、1K 20~25㎡ 2,000~2,500円
1DK、1LDK 30~35㎡ 1,500~1,700円
2DK、2LDK 40~50㎡ 1,600~2,000円
3DK、3LDK以上 60~80㎡ 1,200~1,500円

間取りごとに㎡あたりの単価をかけると、平均的な金額の目安が出せます。

ただし、広さが同じでも間取りや部屋数などで金額は前後します。あくまで大まかな目安としてください。

③居住年数ごとの総額

退去費用が居住年数で変化するのは、お部屋の傷み具合や内装の価値が、時間の経過で変わるためです。

統計より、住んだ期間を3年まで、4~6年、7年以上で分けた平均額を紹介します。

退去費用の平均額
~3年 49,431円
4~6年 61,694円
7年以上 87,090円

出典:https://www.fnn.jp/articles/-/25377

統計では、居住期間が長いほど退去費用が高くなっています。早めに退去した人のお部屋が、傷んでいなかったからだと考えられます。

実際は6~8年など、長く住むほど退去費用は安くなりやすいです。時間の経過で内装の価値が下がるためです。後ほど詳しく解説します。

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賃貸の退去費用とは

賃貸の退去費用とは、内装工事と清掃にかかるお金のうち、入居者が払う部分のことです。

主な内訳は、次の人が住める状態に直す「原状回復」と「室内クリーニング」の2つです。住むときに預けた敷金で清算します。

退去費用が敷金に収まるなら、残金が返金されます。敷金を超えたときは、差額を払います。「敷金なし」なら退去費用を全て払います。

敷金から退去費用が精算される図

原状回復費用は基本的に大家さん(貸主)が負担しますが、入居者(借主)が払う内容は負担する必要があります。

入居者負担の費用は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で、ルールが詳しく示されています。

東京都の物件は「賃貸住宅紛争防止条例」で、不動産屋に説明まで義務付けられています。

ただし、原則は契約書の内容が優先されます。お部屋によってはガイドラインと異なる費用が発生します。

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お部屋を大切に使っていれば、敷金を超える請求は起きにくい仕組みです。しかし、高額請求のトラブルが実際に起きています。退去に備えて、借りる前から対策しておくべきです。

原状回復費用とは

原状回復費用とは、住んでいたお部屋を借りる前の状態に戻すための費用です。

元に戻すと言っても、同じ状態までは求められていません。民法第621条で、入居者にとって現実的なルールが定められています。

民法第621条の内容はこちら

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。

ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

引用:民法第621条

ふつうに使っていて傷んだ部分や、時間の経過で変化した部分を直す費用は、大家さんが負担します。家賃で払っている部分だと考えられるためです。

入居者のお金で直すのは、故意・過失(わざと、うっかり)が原因で故障したり汚れた部分です。責任がない費用まではかかりません。

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ふつうに使っていて傷んだ部分は「通常使用による損耗」と言います。時間が経過して傷んだり変化した部分は、経年劣化(経年変化)と言います。両方とも原則、修理費用を払う必要はありません。

入居者負担の内容はガイドラインに例がある

国土交通省のガイドラインでは、入居者と大家さんどちらが負担するべき費用か、箇所ごとに例がまとめられています。以下で紹介します。

入居者の負担 大家さんの負担
・引っ越し作業でついた傷
・冷蔵庫下のサビ
・タバコの焦げ跡など
・フローリングのワックス
・家具の設置によるへこみ
・床や畳の日焼け、色落ち
・台所の油汚れ
・結露によるカビ
・水漏れによる腐食
・タバコなどのヤニ、臭い
・くぎ穴、ネジ穴
・落書きなど
・電気ヤケによる黒ずみ
・画鋲やピンなどの穴
・設備設置による穴、跡
・クロスの日焼け

・ペットのつけた傷や臭い
・落書きなど
・使える網戸の張り替え
・地震などで割れたガラス
・網入りガラスの熱割れ
設備
建具
・キッチンの油汚れ、すす
・水回りの水垢、カビ
・設備の破損、故障
・エアコンの内部洗浄
・設備の寿命による故障
・グレードアップ全般

出典:国土交通省のガイドライン

表はあくまで例で、状況によって入居者と大家さんどちらが費用を負担するか変わります。

例えば、時間が経ち色落ちした床は大家さんの負担で直しますが、雨の吹込みを放置したのが原因の色落ちは入居者の負担になります。

故意・過失と扱われやすい内容は、できるだけ多く知っておきましょう。意識して暮らせば、退去費用を抑えられます。

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故意・過失を判断するのは、退去する際に立会う管理会社や内装業者のスタッフです。自分の原因ではなくても、傷んだ部分の説明ができないと、大家さんが負担して直す部分の修繕費まで請求されるおそれがあります。

室内のクリーニング費用とは

室内のクリーニング費用とは、専門業者による清掃費用のことです。ふつうの掃除より入念な作業が入ります。

お部屋の状態や業者によって作業内容と費用は変わります。

室内クリーニングの内容
  • ・壁紙や床の清掃、消毒
  • ・床のワックスがけ
  • ・カーペットのシャンプー洗い
  • ・エアコンの内部清掃
  • ・水回りの清掃、消毒
  • ・換気扇の清掃
  • ・台所やトイレの清掃、消毒
  • ・浴室のカビ取りなど

室内のクリーニング費用は、ガイドラインでは大家さんの負担が望ましいとされています。

しかし、契約で入居者負担としてあるケースが多いです。敷金から定額を差し引く他に、契約時に初期費用として払うお部屋もあります。

退去費用は室内クリーニング費用の金額まで抑えられる

退去費用は、安いと「室内クリーニング費用」のみで済みます。故意・過失がなければ、退去時に払うのは契約で入居者の負担と決められた費用のみです。

間取り別のクリーニング費用の相場を紹介します。広さによっても変わるので、あくまで目安と考えてください。

クリーニング費用
ワンルーム、1K 30,000~40,000円
1DK、1LDK 30,000~50,000円
2DK、2LDK 40,000~80,000円
3DK、3LDK 50,000~90,000円
4DK、4LDK 70,000~100,000円

室内のクリーニングは、大家さんや管理会社が指定した清掃業者がおこないます。自分で安い業者を探して節約するのは難しいです。

どうしても自分自身で業者を選びたい場合は、大家さんや管理会社に相談しましょう。

敷金は平均いくら戻ってくる?

リクルート住まいカンパニーの「引越しに関する実態把握調査」によると、戻ってくる敷金の平均金額は53,882円でした。年齢ごとの集計を紹介します。

戻ってきた金額
10代 76,462円
20代 33,732円
30代 52,719円
40代 63,328円
50代 62,150円
60代 83,576円

出典:https://hikkoshi.suumo.jp/oyakudachi/742.html

敷金の相場は家賃の1~2ヶ月分で、退去費用がクリーニング費用のみなら返金があるケースが多いです。

令和2年4月に民法が改正されて、以前は定義があいまいだった敷金と返金義務について明確になりました。ルール上、返金されやすくなっています。

もちろんお部屋の使い方や契約書の内容によるので、契約する前の確認が重要です。

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クリーニング費用の金額は契約時に確かめられます。敷金を超えない金額なら、お部屋を大切に使えば、退去時に返金してもらえる可能性は高いです。

お部屋の状態が悪いと高額を請求される

以下の写真のように、お部屋の使い方が悪いほど高額を請求されます。故意・過失と扱われるためです。

退去費用が高くなる原因の例

入居者の負担になってしまうのは、放置が原因でひどくなった汚れです。軽く掃除してとれる汚れの請求はされません。

床の傷やへこみは、家具を置いていただけなら大家さんの負担です。ぶつけたり、キャスター付きのイスが原因だと入居者の負担です。

他に必ず故意過失と扱われる内容には、たばこによる汚れや、ペットを飼ったのが原因の汚れがあります。

追加で請求があると高額になりやすい

お金の心配をするカップル

追加で請求があると退去費用は高額になりやすいです。故障や汚れに故意・過失があると評価されているためです。

間取り別の統計によると、概ね家賃の1~1.5ヶ月分は請求されている傾向があります。

追加請求の平均額
ワンルーム 69,000円
1K 76,982円
1LDK 126,656円
2DK 117,254円
2LDK 147,651円
3DK 146,009円
3LDK 168,636円

出典:https://hikkoshi.suumo.jp/oyakudachi/742.html

不動産屋には、予算に余裕をもって収まるお部屋を紹介してもらうべきです。新居の初期費用が予算ギリギリだと、退去費用が払えなくなるリスクがあります。

敷金が0円の物件を借りるときも、退去時の請求が高額になります。初期費用を抑えるときは、礼金など払いきりの費用から節約できると良いです。

▶賃貸の初期費用を抑えるコツはこちら

箇所ごとの相場

入居者の負担で原状回復する際の、箇所ごとの目安単価を紹介します。交換や修理にかかる金額は、広さ(㎡)や枚数をもとに計算されます。

目安単価
クロスの張替え(㎡) 1,000~1,500円
フローリングの張替え(㎡) 10,000~20,000円
カーペットの張り替え(㎡) 8,000~15,000円
フロアタイルの張替え(㎡) 4,000~6,000円
クッションフロアの張替え(㎡) 2,000~4,000円
網戸の張替え(枚) 3,000~4,000円
鏡(枚) 8,000~10,000円
便座(座る部分) 10,000~13,000円

交換が必要な範囲が多いほど退去費用は高額になります。たばこやペット飼育が原因で、1室のクロス張り替えが必要な場合などです。

例えば、6畳のお部屋で壁と天井のクロスを全て張り替えると、40㎡ほど張り替えるため40,000~60,000円かかります。

原状回復工事は最小の単位でおこなわれます。部分的に直せる傷なのに大幅に直して、全額を請求されるような心配はありません。

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管理会社によってルールや金額は異なるので、入居前の確認が必須です。床材などのグレードが高いお部屋は、表よりも単価が高額な場合があります。

原状回復費用が高額になりやすい箇所

原状回復費用が高額になりやすい箇所の修繕費用をまとめました。退去費用を抑えたい人は、以下の内容には特に気を付けましょう。

修繕費用の目安
壁の下地ボードの取り替え 25,000~60,000円
壁紙の全面張り替え(6畳) 40,000~60,000円
フローリングの全面張り替え(6畳) 80,000~120,000円
柱の修繕 10,000~40,000円
油汚れの除去(キッチン) 15,000~20,000円
水垢やカビの除去(浴室) 10,000~20,000円
汚れの除去(トイレ) 8,000~10,000円

故意・過失がある部分の清掃は、室内クリーニング費用とは別にかかる場合があります。特殊な薬品を使ったり、綺麗にするのが大変だからです。

部分的な補修や掃除では直せずに、交換が必要になると高額になりやすいです。大事に使っていれば故意・過失の交換は起きません。

退去費用が定額のお部屋を選ぶと良い

退去費用を抑えたい、初期費用が安くても原状回復が不安という人は、退去費用が定額で最初から決まっているお部屋を選ぶと良いです。

ネット上の不動産屋「イエプラ」は来店不要でチャットやLINEでやりとりできます。「退去で揉めるのが心配」などのメッセージを送れば、ピッタリのお部屋を探してくれます。

不動産業者専用データベースの「REINS」や「ATBB」の情報からネットにない非公開物件も提案してもらえます。

お部屋に関する質問は、スタッフが管理会社や大家さんに直接確認してくれます。自分で探すよりもラクに理想のお部屋が見つかります!

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退去費用を安く抑える7つのコツ

退去費用をできるだけ安く抑える7つのコツを紹介します。ポイントを押さえておけば退去費用は抑えられます。可能な限り全て実践してみてください。

  1. 最初からあった傷や汚れを記録しておく
  2. 室内でたばこを吸わない
  3. 日常的に掃除する
  4. できるだけ床や壁に傷をつけない
  5. 設備が壊れたらすぐ報告する
  6. 退去立会いの前に自分で掃除する
  7. 管理会社に値下げ交渉する

住み始めたときから意識するべきです。効果が大きい順に解説していきます。

①最初からあった傷や汚れを記録しておく

最初からあった傷や汚れを記録して管理会社に報告しましょう。自分に原因がない箇所の修理費用まで請求されるのを防げます。

ガイドラインの「原状回復確認リスト」などに不具合を全て記入して、間取り図で場所を示したり、写真を撮って管理会社に報告します。

お部屋の鍵と一緒に、管理会社の書式で「入居時チェックリスト」などを渡されたときはその書類を使います。

原状回復確認リスト
出典:国土交通省のガイドライン

住み始めてから1~2週間など、提出期限が決められている場合が多いです。期日を過ぎると、最初からあった傷などと扱ってもらえないので要注意です。

入居時は荷物を入れる前に、お部屋を全体的に確かめるべきです。引っ越しで傷をつけると、故意・過失と扱われるためです。

②室内でたばこを吸わない

室内でたばこを吸わないほうが良いです。ヤニ汚れや臭いがあると、退去費用が高額になったときに反論が難しいです。

喫煙者には厳しい世の中になってきています。ベランダで吸うとしても、近隣から苦情が来る可能性があります。

こまめに換気や掃除をして、換気扇の下で吸うなど工夫が必要です。ヤニ汚れや臭いが残ってしまうなら、退去費用は高額になります。

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室内は臭いがほとんどない電子タバコのみ吸うなど、対策はできます。友人が喫煙者の場合は、お部屋が汚れないように気をつかってもらいましょう。

③日常的に掃除する

掃除や換気をする人のイラスト

日常的に掃除すると退去費用を抑えられます。故意・過失と扱われるのは「汚れを放置して悪化した」と評価される内容がほとんどです。

特に、カビや錆びに気を付けるべきです。すぐ掃除すれば綺麗にできた内容と評価されやすいためです。

日常的な掃除で気を付ける箇所
  • ・窓付近の結露は水滴をこまめに拭く
  • ・掃除をするときは換気もする
  • ・お風呂は浴槽の他に壁や床も洗う
  • ・ヘアピンなどを水回りに放置しない
  • ・キッチンは料理をするたびに掃除する
  • ・業者に依頼する前に管理会社に相談する

窓や付近に水滴がたまる「結露」は、こまめに拭き掃除すればカビが発生しにくいです。湿気がたまらないように換気も必要です。

洗面台などにヘアピンなど金属製のものを放置していると、錆びが残る場合があります。時間が経つと、とれなくなるので要注意です。

油汚れはすぐ掃除すれば残りにくいです。エアコンや換気扇など、掃除が難しい部分の掃除を業者に依頼したいときは、まず管理会社に相談しましょう。

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入居中のハウスクリーニングを業者に依頼したいときは、まず管理会社に相談したほうが良いです。自分で探すより安い業者を手配してもらえる場合があります。

④できるだけ床や壁に傷をつけない

キャスターで床がへこんだイラスト

できるだけ床や壁に傷をつけないように意識して生活しましょう。床や壁の傷は故意・過失と扱われやすいです。

特にフローリングの床は傷がつきやすく、修理費用が高いので要注意です。椅子を引いたり、重いものを落とすとすぐに傷がつきます。

カーペットを敷いたり、椅子の足に保護カバーを付ければ傷を防げます。また、壁にフックを付けたり貼りたいなら、跡が残りにくいものを選んでください。

簡単な補修なら自分で直すのも手

簡単な補修なら、市販のグッズをで直すのも手です。「キズ消しクレヨン」で目立たないようにしたり、クッションフロアーのへこみにドライヤーをあてて直すなどです。

注意点として、下手に直すと逆に退去費用が高くなる場合があります。以下の記事でも詳しく解説しています。

▶床をどこまで自分で直すかの解説はこちら

⑤設備が壊れたらすぐ報告する

エアコンや給湯器、換気扇などの高額な設備は大切に扱いましょう。壊れたらすぐ管理会社に報告してください。

故意過失がない故障でも、報告する義務があります。放置していると、退去のとき修理費用を請求される可能性が高いです。

ふつうに使っていて壊れた設備は、大家さんの負担で直してもらえます。

外から物が飛んできたり、空き巣にあったときの故障など、内容によっては保険が使えます。火災保険の補償内容も、契約前に確認しておくべきです。

⑥退去立会いの前に自分で掃除する

退去立会いの前には、お部屋を綺麗に掃除しておきましょう。見た目が汚いと退去費用を高く請求される確率が上がります。

水回りや冷蔵庫、洗濯機の下など、普段は掃除しない部分を重点的に掃除すると良いです。

特に掃除するべきポイント
  • ・入居中に家具で隠れていた部分
  • ・壁紙の汚れ
  • ・キッチン、お風呂場、トイレ
  • ・洗面台や鏡の水垢、黄ばみ
  • ・タイルやサッシの黒ずみやカビ
  • ・窓枠やベランダ

掃除するタイミングは、家具や段ボールを全て運び出した後がおすすめです。

新居に荷物を入れて、前のお部屋を掃除してから立会い日を迎えられると理想的です。不動産屋にアドバイスを受けながら日程を調整してください。

⑦管理会社に値下げ交渉する

退去費用が高いと感じたら、管理会社に値下げ交渉してみてください。多めに見積もられている場合があるからです。

交渉次第で数万円の値引きがある可能性も低くはありません。ただ漠然と「納得がいかない」と伝えるのではなく、根拠を説明すると交渉が通りやすいです。

ガイドラインや契約書の内容、入居時のチェックリストと照らし合わせて、妥当な金額なのか聞けば対応してくれます。

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退去費用を抑えるためには、お部屋を大事に使うのがもっとも効果的な方法です。退去立会いに専門家が同伴して高額請求から守ってくれるサービスもありますが、2~3万円の手数料がかかります。

退去費用は6年以上住むと安くなる

退去費用は6年以上住むと安くなります。時間とともに内装の価値が下がっていき、6年で価値がなくなる箇所が多いためです。

壁紙や床材、設備などには「耐用年数」が決まっていて、年数が経つほど価値が下がります。以下は箇所ごとの耐用年数です。

耐用年数 設備
5年 流し台
6年 壁紙、カーペット、エアコン、インターホンなど
8年 書棚、たんす、戸棚などの金属製ではない家具
15年 便器、洗面台の給排水設備、金属製の家具など

出典:国土交通省のガイドライン

実際は耐用年数とあわせて、住んだ年数もふまえて見積もられます。新築以外は、箇所ごとに交換の時期がさまざまだからです。

新品への交換が必要でも、次の入居者のための「グレードアップ」と評価される部分が多く、高額請求はされにくいです。

グレードアップとは、入居時より高価な素材に交換することです。大家さんが次の入居者を募集するための修理として、元々の価値を超える部分までは請求されません。

入居者の負担でも高額請求されない事例

入居者の負担でも高額請求されない事例として、住み始めたときに新品のクロス(壁紙)が、修繕自体に3万円かかるケースを紹介します。

ガイドラインでは、クロスは「6年で残存価値が1円」とされています。

グラフで図解すると以下のイメージです。修理に必ず3万円かかるとしても、入居者負担は3年目(A)なら最大で1.5万円、6年目(B)以降なら1円です。

経過年数と負担割合の変化のグラフ

注意点として、故意・過失があると、実際にかかった費用(実費)を全て請求される場合があります。

本来は直すつもりがなかった箇所まで、修理が発生したとも考えられるためです。

ガイドラインや契約書で「経過年数を考慮しない」とされている箇所も、実費をもとに請求されます。重要な建具や柱、鍵を紛失した場合の交換費用などです。

負担する費用は住む前に確認すべき

入居者が負担する費用は住む前に確認しておくべきです。借りる時点から退去費用がイメージできていれば、退去時のトラブルを防げます。

契約書の「特約」を見落とさないようにしましょう。特約とは、一般的な契約内容とは別の、特別なルールのことです。

何でも設定できるわけではなく、合理的な内容で、入居者が説明を受けて金額に納得しているなどの条件があります。

特約が認められる条件はこちら

①特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること

②借主が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること

借主が特約による義務負担の意思表示をしていること

引用:国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(p7)

悪質な特約は稀なので、心配しすぎる必要はありません。申し込む前にも説明されます。以下の5つの特約は、よくあるので押さえておくべきです。

注意すべき特約
  1. 室内クリーニング費用について
  2. 日常的な消耗品の負担
  3. 敷引きや償却
  4. ペット飼育について
  5. 和室の原状回復について

それぞれの特約の内容と注意点について詳しく解説します。

①室内クリーニング費用について

室内クリーニング費用は、特約で入居者負担とされているお部屋が多いです。金額の目安を、必ず確認しておきましょう。

特約は、契約前に宅建士から説明がある「重要事項説明書」の後半などにまとめてあります。契約書では、同じ内容かを確かめてください。

室内クリーニング費用の特約の記載例
本契約では、特約として以下の費用は賃借人の負担でおこないます。
「本物件クリーニング:38,000円(別途消費税)」
「エアコンクリーニング:12,000円(別途消費税)」

ガイドラインに沿うなら、金額が明記されている特約が望ましいです。しかし、清掃業者の料金は時期によっても変わるため、金額の記載がない契約書もあります。

金額が書いていない場合、退去時に高額請求のリスクがあります。契約書に追記してもらうか、目安を質問して記録しておくと良いです。

エアコンクリーニングは、室内クリーニングと別に必要な場合が多いです。含まれるケースもあるので、清掃の範囲まで確認してください。

②日常的な消耗品の負担

お部屋の日常的な消耗品とされる部分は、大家さんに許可をとらなくても、自分の費用で交換して良い特約を結ぶのが一般的です。

特約で入居者負担とされる例
  • ・電球や蛍光灯の交換
  • ・給水、排水のパッキン
  • ・設備の電池交換
  • ・網戸の穴の修理
  • ・お風呂場や洗面台のゴム栓
  • ・その他の費用が軽微な修繕

「費用が軽微」の考え方は人それぞれですが、数千円かかる場合でも、入居者負担と言われる可能性があります。

契約書やガイドラインを見て心配な費用があれば、不動産屋に相談してみてください。

③敷引きや償却

敷引きや償却といった「敷金が返金されない特約」があります。敷金がいくら余ったとしても戻ってきません。

わかりやすく言うと、敷金と室内クリーニング費用が同額の契約内容です。退去費用が敷金を超えるなら、超えた部分は請求されます。

入居者にとってメリットは特にないので、必ず納得したうえで契約を結びましょう。敷金ではなく「保証金」がある物件でも、償却の特約が多いです。

管理会社によっては敷引きと呼ばない

管理会社によっては、敷引きや償却と同じでも費用の名前(名目)が異なる場合があります。

「入居契約料」や「定額清算金」など、独自の呼び名で、原状回復に充てる初期費用を請求されます。故意・過失のある部分は別で清算するケースが多いです。

一般的な敷金などとは別の名目の場合、何に使われるのか必ず確かめてください。退去するときのクリーニング費用に充てるとは限らないためです。

豊田さんのアイコン 豊田
大切なのは、退去費用に備えていくら預けるのかを把握しておくことです。退去時に入居者負担の費用がかかっても、契約時に預けたお金が使えるなら退去費用を抑えられます。

④ペット飼育について

爪を研ぐ猫

ペット飼育する場合、敷金を通常より1ヶ月足したり、償却とする特約が多いです。退去費用が高額になりやすく、入居時点から多めに請求されます。

ペット飼育の特約の記載例
借主は、本物件でペット類(犬・猫など)の飼育をする場合、ペットによる傷、汚れ、臭い等の復旧費用を負担するものとする。

退去時に敷金が戻ってくる可能性は低いです。差額の請求は、初期費用で多く払っているぶん現実的な金額にはできます。

ペットを飼うときは、必要書類や入居ルール、退去費用など、気を付けるポイントが多いです。次の記事も参考にしてみてください。

▶ペット可物件の探し方はこちら

⑤和室の原状回復について

和室があるお部屋では、畳や襖(ふすま)などの交換費用に関する特約が設定されます。

消耗品と扱われる部分が多く、高額になりやすいです。箇所ごとの目安単価は、以下のとおりです。

目安単価
畳の裏返し/1畳 3,000~6,000円
畳の表替え/1畳 4,000~9,000円
畳一式の交換/1畳 10,000~20,000円
ふすまの張替え(枚) 2,000~4,000円
障子の張替え/1枚 2,000~4,000円

畳は部分的な交換が基本です。表面をひっくり返す「裏返し」か、表面だけ張り替える「表替え」なら比較的安いです。

水が染みたまま放置してカビが生えたときなど、畳ごと交換が必要な場合、高額になりやすいです。

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退去費用のバックレは不可能

退去費用をバックレる前のイメージイラスト

退去費用を請求された後に、払わずバックレることはできません。納得ができないときでも、結論が出るまでは話し合う必要があります。

実際にどんなトラブルが起きているかや、高額請求されたときの対処法をご紹介します。

自分で防げないトラブルが起きるリスクがある

退去時には、自分で防げないトラブルが起きるリスクがあります。運が悪いと管理会社や大家さんと揉めてしまいます。

消費者トラブルの窓口の「国民生活センター」に寄せられた相談内容によると、以下のような内容があります。

請求された費用の種類
  • ・わずかな傷なのに全体的な修理費用
  • ・許可をとった光回線工事の原状回復
  • ・高額なハウスクリーニング費用
  • ・入居時についていた傷の修理費用
  • ・管理会社が入居時確認書を紛失した など

許可をとった工事に「許可はしていない」と言われないためにメールで証拠を残したり、入居時チェックリストは控えを持っておくなど対策が必要です。

退去費用で揉めそうな内容は、とにかく記録を残しておきましょう。入居中に管理会社や大家さんが変わる可能性もあります。

豊田さんのアイコン 豊田
大家さんが変わったときは、敷金は新たな大家さんに引き継がれます。敷金の預り証はなくさないようにしてください。契約書と一体化している書式もあります。

退去費用の見積もりは納得してからサインすべき

退去立会いのときに、仮の見積もりを渡される場合があります。金額に納得がいかないときは、サインをせずに新住所に見積もりを送ってもらいましょう。

「退去の手続きが終わらない」と言われたら、専門家に相談しますと伝えれば、大抵は折れてもらえます。

退去の立会いは、あくまで傷や汚れを一緒に確認する作業です。完了後に鍵を返却するため、費用が発生するかもしれない箇所を質問して、写真を撮っておくと良いです。

高額請求をされたときの相談先

高額請求をされたときの相談先を紹介します。都道府県の不動産関係の部署や以下の窓口で、退去費用のトラブルを無料相談できます。

連絡先
法テラス 電話番号:0570-078374
受付:平日9~21時/土9~17時
消費者ホットライン 電話番号:188
受付:日中(地域ごとに異なる)
国民生活センター 電話番号:03-3446-1623
受付:平日10~12時/13~16時
日本消費者協会 電話番号:03-5282-5319
受付:水・金10~12時/13~16時半
不動産適正取引推進機構 電話番号:0570-021-030
受付:平日10~16時
日本賃貸住宅管理協会 WEBフォームまたはFAXか郵便
受付:平日10~17時

電話が繋がる窓口に連絡して、適切な相談先を案内してもらうと良いです。内容によっては、相談が有料の窓口を案内されます。

相談先が分かったら、管理会社の担当者にも、どこに相談するのかを共有しておきましょう。悪質な高額請求なら、金額を見直してもらえるはずです。

もちろん、本当に入居者が負担するべき金額を請求されている可能性はあります。内容によるので、まず相談してみるべきです。

退去費用を払わないとどうなる?

退去費用を払わないと最悪の場合、裁判に発展します。手間や時間、お金が余計にかかるので、裁判になる前に解決するべきです。

払わないまま放置していると、まず管理会社や大家さんから催促の連絡が来ます。

無視を続けると、連帯保証人や緊急連絡先にも催促がいきます。親が心配して代わりに払ってしまうと、取り返すのが難しくなるので要注意です。

大切なのは、借りるときから退去費用で揉めないお部屋を選ぶことです。お部屋探しに不安があれば、経験豊富なプロの不動産屋に相談してみてください。

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