「退去立会いはしないほうがいいの?」
「行かなかったときのデメリットは?」
賃貸の退去立会いに法的な義務はありません。管理会社の中には「退去立会いなし」を売りにしているところもあります。
しかし、退去立会いなしで引っ越すのはおすすめしません。高額請求されるといったトラブルに発展しやすいため、立会いは必ず参加すべきです。
そこで当記事では、退去立会いしないときに起こるトラブルについて解説します。回避するためのポイントや、退去立会いできないときの対処法もまとめました。
- 義務ではないが立会いしたほうが良い
- 立ち会っておけば高額な退去費用を請求されにくい
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不動産屋「家AGENT」
池袋店 店長
「家AGENT」池袋店の店長で、賃貸業界歴10年以上です。管理職になる前の年間接客件数は380~400件と経験豊富です。お部屋探しに関して、設備や費用などの悩みも的確にアドバイスしています。
退去立会いはしないほうがいい?
義務ではないがしたほうがいい
特別な事情がなければ、退去立会いはしたほうがいいです。法律では義務付けられていませんが、退去トラブルが起こりやすいからです。
立会いなしで退去すると、お部屋の損傷がすべて請求対象になる恐れがあります。管理会社によっては、入居前の写真を紛失したまま、退去立会いを進めることもあります。
退去立会いすれば、関係ない傷や汚れを指摘されても「入居前からあった」と主張できます。他の修繕内容に関しても、管理会社のスタッフと相談してから退去できます。
退去立会いしないと高額請求されやすい
立会いをしないと、高額な退去費用を請求されやすいです。管理会社の独断で金額を決められてしまうためです。
退去立会いを拒否したり、管理会社の連絡を無視すると不利になります。入居者負担ではない修繕があっても、知らないうちに請求される可能性が高いです。
そもそも入居者が負担する退去費用とは
- ・わざと付けた傷や汚れ(不注意も含む)
- ・引っ越し時にできた傷や汚れ
- ・メンテナンス不足で壊れた設備
- ・結露を放置してできたカビやクロスの腐食
- ・冷蔵庫下のサビ跡(吹いていれば防げたもの)
- ・キッチンの油汚れや水垢
- ・床に物を落としたときの傷やへこみ
- ・壁にあけたビス穴やネジ穴
- ・タバコのヤニによる黄ばみやニオイ
- ・ペットによる傷や汚れ、ニオイ
- ・鍵の紛失や変形
- 箇所ごとにまとめた修繕費の目安
そもそも退去費用とは、入居者が故意・過失で傷付けた損傷を直す修繕費のことです。国土交通省のガイドラインで指標が決められていて、誰がどの割合で負担するのか確認できます。
表には、入居者負担で直す損傷例をまとめました。うっかり付けてしまった傷やメンテナンス不足で壊れた設備は、入居者負担で直す必要があります。
退去立会いしないときのトラブル例
- ・入居前からあった損傷を請求対象にされる
- ・退去費用を高額請求される
- ・問題解決に時間がかかる
入居前からあった損傷を請求対象にされる
退去立会いなしで済ませると、前からあった傷や汚れを請求対象にされやすいです。いつ頃付いたものなのか、すぐ判断できないからです。
立会いしないのは、打ち合わせを拒否しているのと同じです。後で「納得いかない」と言っても、基本的には聞き入れてもらえません。
退去費用を高額請求される
立会いなしだと、退去費用を高額請求されやすいです。解説した通り、傷や汚れをすべて自分のせいにされてしまうためです。
本来払わなくていい修繕費を請求されるケースは少なくありません。立会いに行かなかった負い目から、泣き寝入りする人もいます。
問題解決に時間がかかる
退去立会いをしないと、解決するのに時間がかかります。現地に行かなかったことで、損傷があったかどうかハッキリしないからです。
退去費用を精算する頃には、次の入居者募集のために内装工事が始まります。退去当時の話をしたくても、原状が残っていないため問題解決に時間がかかります。
退去立会いのトラブルを防ぐポイント5選
- ・家族や有識者を連れて行く
- ・入居時の契約書類を持参する
- ・立会いの様子を録音、録画する
- ・請求書にすぐサインしない
- ・そもそも退去費用が定額の物件を選ぶ
家族や有識者を連れて行く
退去立会いに行く際は、家族や賃貸に詳しい知り合いを連れて行くと安心です。1人で行くより心強いですし、自分が見落とした不当請求に気付いてもらえます。
不動産屋やリフォーム業界で働いている人と一緒なら、スタッフと対等に退去費用の話が進められます。
入居時の契約書類を持参する
- ・賃貸借契約書
- ・重要事項説明書
- ・紛争防止条例に基づく説明書(都内の場合)
- ・室内チェック表
- ・入居時の写真(スマホの画像データでも可)
退去立会いでは、入居時の契約書類を持参するとトラブルを回避できます。請求書と契約書の内容が合っているか、その場で見比べられるからです。
特に、室内チェック表は立会いのときに役立ちます。入居時の様子を記録した書類で、当時あった傷や汚れを証明できます。
立会いの様子を録音・録画する
スタッフとの立会い中、録音や録画するのもアリです。トラブルが起きたときに証拠として残せます。
記録するときは、マナーとしてスタッフに許可を取りましょう。「後で言った言わないで揉めないため」など、理由を伝えれば許可が下りやすいです。
請求書にすぐサインしない
退去費用の請求書を渡されても、その場でサインはしないほうがいいです。サインすると「内容に納得した」とみなされるからです。明細の受け取り後にミスがあっても反論できません。
正確な退去費用を計算するには、立会い後3日~1週間は必要です。管理会社が大家さんやリフォーム業者と相談したり、入居者の負担割合を決めなければいけないためです。
退去立会いできないときの対処法
- ・立会い日を再調整する
- ・代理人に行ってもらう
- ・退去前の室内を撮影しておく
立会い日を再調整する
予定していた立会い日に行けなくなったら、別日に調整できるか交渉してみましょう。解約日まで余裕があれば、別な日程を組み直してもらえる可能性があります。
引っ越しシーズンだと、希望の日程に調整できないケースがあります。管理会社がスタッフの手配を優先して、日時を指定されることがあります。
代理人に行ってもらう
退去立会いに行けないときは、代理人に立会いを頼みましょう。立会いなしよりも、トラブルが起きるリスクを減らせます。
代理人を立てるときは、事前に了承をもらっておきます。さらに委任状を提出しておけば、管理会社側も安心して立会いできます。
退去前の室内を撮影しておく
誰も退去立会いに行けないときは、退去前にお部屋の中を撮影しておきます。後日請求される内容が妥当なのか、当時の写真を見ながら判断できます。
退去立会いに関するよくある質問
立会い日に用事が入っていたらキャンセルしてもいい?
できるだけキャンセルしないでください。費用トラブルが起きやすいためです。日程を調整できるか管理会社へ相談してください。
退去日と立会い日は同じ日でもいい?
解約日までに済ませれば問題ないです。まれに、解約日以降に立会いする管理会社もあります。
退去立会いは何時までにするべき?
夕方までにすべきです。お部屋の照明を外していると、夕方以降は傷を確認しづらくなります。
退去立会いしないとどうなるの?
入居前の傷を自分のせいにされる恐れがあります。費用トラブルにも繋がりやすいです。
退去立会いなしのメリットは?
立会いに行く手間が省けるだけです。デメリットが多いため、特別な事情がなければ参加したほうがいいです。
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