「不動産のおとり広告を見分けるコツは?」
「おとり物件は何故なくならないの?」
検索サイトを見ていて、家賃が安い新築や好立地の築浅物件が見つかると、他の人に取られる前に申し込みたくなりますよね!
しかし、気に入った物件は実は契約できない「おとり広告」かもしれません。釣られて店舗に行くと、希望とかけ離れた物件を紹介されて時間が無駄になってしまうことも…。
そこで当記事では、おとり広告が存在する理由や、騙されないために見分けるコツを徹底解説しています。ぜひ参考にしてください。
不動産屋「家AGENT」
池袋店 店長
「家AGENT」池袋店の店長で、賃貸業界歴10年以上です。管理職になる前の年間接客件数は380~400件と経験豊富です。お部屋探しに関して、設備や費用などの悩みも的確にアドバイスしています。
不動産のおとり広告とは?
実際には契約できない物件情報のこと
- 取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引ができない不動産についての表示
- 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示
- 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示
おとり広告とは、実際は借りられない物件の募集広告のことです。顧客を集めるための悪質な集客方法で「おとり物件」や「釣り物件」とも呼ばれます。
好条件なおとり広告に釣られて不動産屋に行くと「タッチの差で埋まりました」と言われ、結局は他の物件を紹介されてしまいます。
景品表示法第5条第3号の規定に基づく告示である「不動産のおとり広告に関する表示」(昭和55年公正取引委員会告示第14号)には、上記の様に記載されています。
おとり広告に該当するのは「実際は存在しない物件」「物件は存在しているがすでに入居者がいるなどで取引できない」「物件は存在しているが取引する意思がない」ケースです。
不動産のおとり広告は罰則がある禁止行為
おとり広告は宅地建物取引業法32条で禁止されており、ルールを守っていない不動産屋には罰金や業務停止などの重い罰則が科されます。
景品表示法に基づき広告ルールを定めた「不動産の表示に関する公正競争規約」21条でも禁止されています。しかし、実態が掴みづらいためおとり広告の根絶には至っていません。
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不動産のおとり広告がなくならない理由
- ・集客に有効
- ・不動産屋の物件情報の更新が遅い
- ・物件サイトの更新がリアルタイムではない
- ・複数の不動産屋が広告を出している
集客に有効
好条件な物件はおとり広告に使われることが多いです。顧客からの問い合わせや来店を増やすきっかけになるからです。
パッと見だけではおとり広告かどうかわかりにくいため、悪質な集客方法とわかっていても使っている不動産屋は存在します。
不動産屋の物件情報の更新が遅い
インターネットの物件広告は、募集元の不動産屋が手作業で掲載したり外したりしています。サイトによっては不動産屋側の更新からサイトの反映までに時間差があります。
入居者が決まった広告は、掲載終了にするまで「不動産屋の悪意がないおとり広告」としてネット上に残るというわけです。
特に1~3月の繁忙期は遅れが生じたり、広告を外すのを忘れたりすることが多いです。
物件サイトの更新がリアルタイムではない
おとり広告がなくならない理由として、SUUMOやホームズなどの物件サイトがリアルタイム更新でないことが挙げられます。
例えばスーモの情報更新は1日に4回で、深夜帯には最大で10時間のタイムラグが存在します。すでに申し込みがあっても、空いている物件として掲載され続けてしまうのです。
複数の不動産屋が広告を出している
多くの物件は、上記の図のように複数の不動産屋が広告を出しています。入居者を早く決めるために広く募集するケースが多いからです。
不動産屋が複数関わるため、A不動産で空室と言われても、B不動産から他の人の申し込みが入る可能性があります。タイミングによってはおとり広告と似た状況になります。
悪質なおとり広告を避けても、1番手で申し込むまでは物件を取られる可能性があります。物件情報は常に動いているので、できるかぎり早めに動きましょう。
おとり広告に騙されないためには?
- ・内見は現地集合する
- ・広告元とは別の不動産屋に問い合わせる
- ・おとり広告が少ないサイトで探す
- ・業者専用のデータベースで調べてもらう
内見は現地集合する
不動産屋に問い合わせて内見するときは、現地集合を徹底しましょう。「内見前に来店する必要がある」など理由をつけて断られたときは、おとり広告の可能性が高いです。
悪意のあるおとり広告は、現地集合の内見は断られます。架空の物件や住む人が決まっている物件は内見ができないからです。
不動産屋に「問い合わせた物件以外には興味がない」と、あらかじめ伝えておくのも有効なので試してみてください。
広告元とは別の不動産屋に問い合わせる
多くの物件情報は、どの不動産屋からでも申し込みができます。ほとんどの物件情報は不動産業者の専用サイトで共有されているからです。
広告を出していない不動産屋でも空室状況は確かめられます。「埋まっています」と言われたときはおとり広告です。
「うちでは紹介できません」と言われたときは理由を聞いてみましょう。数は少ないですが、特定の不動産屋を通さないと申し込めない物件もあります。
おとり広告が少ないサイトで探す
- ・ウチコミ
- ・ジモティ
- ・不動産広場
- ・イエプラ
ウチコミやジモティでは大家さん本人が入居者を募集しており、申し込みできないおとり広告がありません。
不動産広場は大家さんと直接やり取りしている「元付け業者」のみが物件を掲載しており、おとり広告が非常に少ないです。
業者専用のデータベースで調べてもらう
ATBBやレインズなど業者専用のデータベースはおとり広告がありません。大家さんや管理会社しか登録できないからです。
気軽に調べてもらうなら、当サイトが運営しているネット上の不動産屋「イエプラ」がおすすめです。来店不要でチャットやLINEで物件名やURLを送るだけで、現在も募集されているかどうかを確認できます。
他のサイトで募集されている物件もまとめて確認いたします。忙しくて不動産屋に行く時間がない人もぜひ利用してみてください!
不動産のおとり広告を見分ける方法
- ・条件が良すぎないか相場を確認する
- ・住所や物件名が詳しく載っているか
- ・情報登録日から時間が経っていないか
- ・定期借家やシェアハウスで募集されていないか
- ・不動産屋と大家さんの関係性に注目する
条件が良すぎないか相場を確認する
家賃や初期費用が極端に安い物件や、築年数が浅くて住みやすそうな物件情報には要注意です。多くの人が良いと思う物件はおとり広告に使われやすいからです。
エリアごとに家賃には相場があり、似た物件が極端に安くなることはありません。地域の家賃相場をスーモやホームズで事前に調べておきましょう。
例えば、希望の条件を満たす物件が家賃10万円ほどで複数ヒットするエリアに、似た条件で家賃6~7万円の物件があるときはおとり広告の可能性があります。
住所や物件名が詳しく載っているか
- ・物件名が書いていない
- ・住所の記載が不十分
- ・物件の写真が極端に少ない
- ・同じ写真を使いまわしている
- ・設備などの詳しい情報が載っていない
- ・「詳細は要問合せ」と濁してある など
おとり広告は、物件名や住所が不十分で特定が難しいケースが多いです。大家さんや管理会社に、無断でおとり広告に使っているのをバレないようにするためです。
行ける距離なら現地を見てみるのも手です。おとり広告だと「空室なし」の看板があったり、物件情報が「即入居可」なのに人が住んでいたりします。
情報が薄いときは、空室か確認するときに理由を質問してみてください。例えば写真が少ない物件には管理会社の変更や、内装工事中などの事情がある場合があります。
情報登録日から時間が経っていないか
好条件の物件は、通常は掲載開始から2~3週間で埋まってしまいます。2週間経っている広告は古いと思ったほうが良いです。
いつ見ても載っている物件や、情報の更新が1ヶ月近く前の物件はおとり広告かもしれません。
定期借家やシェアハウスで募集されていないか
物件情報を見るときは、更新ができる一般的な「普通借家」かを確かめましょう。定期借家やシェアハウスだと家賃が安く、おとり広告に使われている場合があります。
定期借家とは更新がない賃貸契約のことで、契約期間が終わると原則は出ていく必要があります。シェアハウスは、居室以外が共同使用の物件のことです。
広告に載せていない契約条件は来店後に説明して、結局は別の物件を紹介されるパターンもあります。家賃や初期費用が安いときは特に気を付けてください。
不動産屋と大家さんの関係性に注目する
不動産屋と大家さんの関係性(取引態様) | |
---|---|
貸主 | 大家さん本人 |
代理・専任媒介 | 大家さんと関わりが深い代理人 |
仲介元付 | 大家さんから入居者募集を任された人 |
仲介先物 | 仲介元付に物件情報の掲載を任された人 |
物件情報の「取引態様」を見れば、不動産屋と大家さんの関係性がわかります。
おとり広告を確実に避けたいなら「貸主」や「代理」の物件を選びましょう。大家さんや管理会社が直接募集する場合、おとり広告を使う意味がないからです。
おとり広告を使わない良い不動産屋の特徴
- ・来店や契約を急かしてこない
- ・広告に禁止ワードを使っていない
- ・過去に行政処分を受けていない
来店や契約を急かしてこない
来店や契約を急かしてこない不動産屋は、おとり広告を使わない優良な不動産屋である可能性が高いです。自分たちの利益よりも、顧客の立場を優先しているからです。
悪い不動産屋は自分たちの利益を優先し、早く契約させようとしてきます。メリットばかり説明してきて、デメリットを教えてくれない不動産屋も要注意です。
広告に禁止ワードを使っていない
- ・完全、完璧、絶対、万全
- ・日本一、業界一、初、当社だけ、抜群
- ・特選、厳選
- ・最高、最高級、極、特急、超
- ・最安値、破格、激安、格安
- ・完売
広告内で使用禁止ワードを使っていない会社は良い不動産屋です。禁止用語を使う広告は「誇大広告」と呼ばれ、実際より著しく優れているかのように誤認させる可能性があるからです。
誇大広告に該当する用語は、不動産公正取引協議会の「特定用語の使用基準」で定められています。
全く欠けるところがないように思わせるような用語や、他社より優位に見せる表現は使用できません。「募集内容が大げさ」「怪しい」と思った不動産屋は避けてください。
過去に行政処分を受けていない
国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」を見れば、不動産屋が過去に受けた行政処分を確認できます。
内容にもよりますが、業務停止などの記録があるときは店舗に行くか慎重に検討しましょう。ネットの評判も見ておくと安心です。
不動産のおとり広告を見つけたらどうする?
- ・別の不動産屋で物件を探す
- ・賃貸サイトの運営元に通報する
- ・悪質なときは公的機関に通報する
別の不動産屋で物件を探す
おとり広告に引っかかってしまった場合、気持ちを切り替えて別の不動産屋に行きましょう。
引き止められたり手間賃を請求されても応じる必要はありません。物件の紹介やお部屋の案内だけでは手数料は発生しないルールになっています。
賃貸サイトの運営元に通報する
「ポータルサイト広告適正化部会」の構成会社が運営する大手検索サイトでおとり広告を見つけたときは、問い合わせフォームから通報できます。
サイト側が悪質なおとり広告を把握した場合、おとり広告を使っていた不動産屋は1ヶ月以上の掲載停止などのペナルティがあります。
悪質なときは公的機関に通報する
- ・各都道府県の不動産部門
- ・消費者庁
どうしても許せないときは、各都道府県の不動産部門に報告してください。おとり広告が悪質だと認められると、業務停止などの重い処分が入ります。
東京都の場合、不動産相談のページで窓口が確認できます。おとり広告を通報したいときは「指導相談担当」に電話します。
不動産のおとり広告に関するQ&A
不動産の売買でもおとり広告はある?
購入や売却に関する情報にもおとり広告は存在します。
売却の場合、架空の買い手の情報で売主を集める業者がいます。すぐ売れると思って任せたのに売れず、時間が経つと買取保証サービスなどで安く買い取られてしまいます。
おとり広告と釣り広告の違いとは?
名称が違うだけで、意味は同じです。
おとり広告が増える時期はある?
繁忙期は「悪意がないおとり広告」が増えます。
1~3月や9~10月は引っ越す人が多く、不動産業界の繁忙期です。広告のメンテナンスに手が回らずに、掲載終了が遅れたり広告を外すのを忘れているケースが増えます。
おとり広告はどれくらいあるの?
2022年9月に「首都圏不動産公正取引協議会が発表した調査結果」によると、大手賃貸サイトに掲載されている物件の約9%がおとり広告でした。
2022年1月の調査では約12%がおとり広告だったので減少傾向です。検索サイト側は改善を重ねていますが、ゼロにはなるまでは対策が必要です。
おとり広告がないサイトはある?
ジモティやウチコミなど、大家さん・管理会社が直接募集しているサイトはおとり広告が少ないです。
当サイト運営の「イエプラ」なら、わざわざお店に行かなくてもLINEで希望を伝えてお部屋を探せます!
さらに、イエプラは仲介手数料が基本0円です。およそ家賃1ヶ月分の初期費用をまるっと節約できます。
家賃によっては10万円以上も安くなるので、浮いたお金で新生活の家具家電を揃えられます。費用を抑えて引っ越したい人は、ぜひ利用してみてください。