お部屋探しのコツや知識まとめブログ|イエプラコラム
お部屋探し用語や探し方のコツ・街の住みやすさなどを初心者にもわかりやすいように解説します。

賃貸の専任媒介って何?一般媒介とは何が違う?お部屋探しや契約に影響する?

賃貸物件における一般媒介と専任媒介のイメージイラスト

賃貸の専任媒介とは?一般媒介と違う?
媒介契約は何種類ある?

お部屋探しで「専任媒介」「一般媒介」などの用語を聞いたことがあると思います。少しでも自分に得な契約ができるなら、狙って探したいですよね。

ですが、媒介契約の種類が重要なのは主に大家さんと不動産屋の間の話です。物件によっては借りる側にも影響が出ますが、こだわりすぎると良いお部屋を見逃してしまうことも…。

そこで当記事では、賃貸の媒介契約の仕組みや、知っておいて損はない媒介契約の種類がお部屋探しに影響するケースを解説しています。ぜひ参考にしてください!

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監修 豊田 明
不動産屋「家AGENT」の営業マン
宅地建物取引士

賃貸の仲介会社「家AGENT」の現役の営業マン。宅地建物取引士の資格を取得している。営業マンとしての経験と専門知識を活かして、お部屋探しや入居審査についての不安や疑問を解決しています。

賃貸の「専任媒介」とは何?

そもそも「媒介契約」とは

契約内容
一般媒介契約 複数の不動産屋に仲介を依頼できる
専任媒介契約 仲介を依頼できる不動産屋は1社のみ
(自分で取引相手を見つけても良い)
専属専任媒介契約 仲介を依頼できる不動産屋は1社のみ
(自分で取引相手を見つけてはいけない)

媒介契約とは、不動産屋にお部屋の仲介を依頼する契約のことです。仲介とは売買や賃貸などの目的ごとに成約までサポートすることです。

「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類の違いは、主に土地や建物の売却をしたいときに重要です。

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媒介契約の種類によって、仲介を依頼できる不動産屋の範囲や、不動産屋が業務の経過報告をする日数などに違いがあります。

専任媒介の取り決めがあるのは売買・交換のみ

依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(以下「専任媒介契約」という。)の有効期間は、三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。

引用:e-Gov法令検索 宅地建物取引業法 第三十四条2項3号

宅建業法の「専任媒介契約」の定義を見ると「売買または交換」のみが対象です。賃貸では法律上の取り決めがないため、不動産屋ごとに対応が異なります。

「媒介契約書」の作成義務があるのも、売買と交換のみです。賃貸の媒介契約は口頭で成立しますが、取引の安全のため国土交通省は「標準賃貸借媒介契約約款」を用意しています。

賃貸の「媒介契約書」を作成する場合、物件の情報や不動産屋が任される業務内容、報酬の額などが記載されます。

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賃貸のお部屋探しでは不動産屋と媒介契約書を作成せず手続きを進めることが多いです。報酬額や物件情報は、申し込みより前に詳しく説明されます。

賃貸の専任媒介とは主に「代理」のこと

賃貸の媒介契約は、内容的に「一般媒介」と「専任媒介(代理)」の2つに分けられます。一般媒介では、大家さんは複数の不動産屋に募集の依頼ができます。

専任媒介の不動産屋は、大家さんの業務を代理で対応する立場です。物件の募集情報や図面には「専任媒介」「代理」などと記載されます。

大家さん側の不動産屋は「元付」の業者、入居者側の不動産屋は「客付」の業者と呼ばれます。元付業者はお部屋の「管理会社」を兼ねていることが多いです。

▶不動産屋と管理会社の違いの解説はこちら

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賃貸における専任媒介(代理)と一般媒介の違い

専任媒介の不動産屋は取引に必ず関わる

賃貸の専任媒介契約の図解

図のように、専任媒介で元付の「不動産屋A」がいる場合、不動産屋Aまたは客付の不動産屋Bなどから申し込めます。

大家さんとの窓口が1つなので、不動産屋Aが営業している時間なら正確な空室状況が確認できます。

数は少ないですが、不動産屋Aでしか申し込めない物件もあります。また、不動産屋Aの評判が悪かったり過去に揉めていて心配でも、不動産屋Aは取引関係から外せません。

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ネットの募集情報に掲載されている不動産屋の情報は客付の不動産屋が多いです。元付の不動産屋は、不動産業者の専用サイトなどで確認しないと正確にはわかりません。

一般媒介なら大家さんとの窓口が複数ある

賃貸の一般媒介契約の図解

「一般媒介契約」は、最終的に大家さんとの窓口になる不動産屋が複数あるのが特徴です。大家さんは1社の募集活動だけに頼らずに、幅広く入居希望者を探せます。

元付業者に代理の権限は無く、大家さん本人が申し込みの確認をします。

不動産屋Aで申し込んだ時点で、既に不動産屋Bなどから申し込みが入っていて困ることが多いのはネックです。

借りる側にとってはあまり関係ない

どの不動産屋も紹介できる物件はほとんど同じ

違う不動産屋で同じ物件が紹介できることが多いことの図解

賃貸の募集の8割は、不動産業者専用のサイトREINS(レインズ)や、ATBB(アットビービー)で共有されています。

媒介契約の種類がお部屋探しの妨げになることは稀です。共有されている情報の中には、一般媒介の他に専任媒介の情報も含まれています。

住みたい物件が決まっていなければ客付の不動産屋で探すのがおすすめです。大家さんからの依頼を受けていないぶん中立な立場で、色んな管理会社の物件を紹介してくれます。

大家さんと不動産屋の契約パターン4選

  1. 媒介(仲介)
  2. 代理(専任媒介)
  3. 貸主
  4. サブリース

大家さんと不動産屋(元付業者)の契約パターンは、ネットの募集情報や図面で取引態様(とりひきたいよう)を見れば確かめられます。

表記の方法が実態と違うケースもありますが、主な4パターンと特徴を解説していきます。

①媒介(仲介)

媒介・仲介の借主と貸主の関係図

取引態様が「媒介」または「仲介」なら、一般媒介で複数の元付業者が募集の依頼を受けている可能性が高いです。

客付の不動産屋が募集情報を掲載している場合も、媒介または仲介と表記されます。

空室期間が長い一般媒介の物件は、家賃などの交渉が比較的通りやすいです。一般媒介は、大家さんが入居者を早く決めたいときに取られる手段だからです。

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表記が「媒介」または「仲介」の募集は数がもっとも多いです。一般媒介が多いですが、中には専任媒介の募集も含まれています。詳しい情報を知りたい場合は問い合わせが必要です。

②代理(専任媒介)

代理・専任媒介の借主と貸主の関係図

「代理」や「専任媒介」の場合、大家さんとの窓口の不動産屋は1社です。募集元の不動産屋が、物件の管理と仲介どちらもおこなっているパターンが多いです。

元付業者と大家さんの関係が深く、審査などの手続きや交渉に融通が利くケースもあります。

物件によっては元付業者を窓口にしないと契約できません。「IT重説」に対応していないと、遠方からの引っ越しが大変な場合があります。

▶IT重説についての解説はこちら

不動産屋への報酬は「仲介手数料」

一般媒介と専任媒介どちらでも、不動産屋を間に挟んだ場合は仲介手数料(媒介報酬)がかかります。

相場は、法律で定められた上限の「家賃1ヶ月分+消費税」です。ルール上、不動産屋は大家さんと入居者どちらにも請求できますが、入居者が負担する募集がほとんどです。

大家さんは仲介手数料とは別に「広告料」を払っていることが多いです。元付が管理もおこなう場合、家賃収入の5%程度の「管理手数料」も払っています。

▶賃貸の仲介手数料を値切るコツはこちら

③貸主

取引態様が貸主の場合の借主と貸主の関係図

「貸主」と表記されている募集は、不動産屋自身が大家さんの「自社物件」です。間に不動産屋を挟まなければ仲介手数料がかかりません。

直接申し込める募集の数が少なく、気に入るお部屋は見つかりにくいです。

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希望に合う物件を幅広く探したいときは、自社物件を持たない客付の不動産屋にお部屋探しを頼んだほうが良いです。自社物件がある会社では当然、自社物件からおすすめされます。

④サブリース

サブリース契約での借主と貸主の関係図

サブリースとは「転貸」のことです。物件の所有者から不動産屋が借り上げて、入居希望者に又貸しする方法です。

所有者は空室があっても不動産屋から一定の家賃収入を受け取れます。そのぶんサブリースの手数料は大きく、不動産屋には家賃の10~20%の手数料を払っています。

代理と同じような関係ですが、サブリースの場合、入居希望者にとって不動産屋は「貸主」です。取引態様にも「貸主」と記載されます。

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取引態様が「貸主」でも、不動産屋を通して契約すれば仲介手数料はかかります。サブリースを基本とする管理会社では、入居者の案内などの業務はおこなっていないケースが多いです。

賃貸の媒介契約に関するよくあるQ&A

賃貸に専任媒介契約はある?

賃貸では「代理」が専任媒介契約にあたります。

国土交通省の「住宅の標準賃貸借代理契約書」を見るとイメージが湧くと思います。大家さんは募集活動を複数の業者には依頼できません。

「専属専任媒介契約」は賃貸では見られません。大家さんにとって、自分で入居者を探す「自己発見取引」を禁止されるメリットがないためです。

なお、売買や交換の媒介契約とは異なり、賃貸では媒介契約書の作成義務はありません。

▲よくある質問に戻る

賃貸の「専任物件」「専任賃貸」とは何?

専任媒介(代理)の物件のことです。

大家さんと不動産屋の関係を知りたいときは、物件情報の「取引態様」を見ると良いです。

広告ルールを定めた「不動産の表示に関する公正競争規約」で、賃貸の取引態様に使う用語は「貸主」「代理」または「媒介(仲介)」と定められています。

▲よくある質問に戻る

専任媒介の物件は他社でも借りられる?

他社が仲介に入れる物件は多いです。

特に事情が無ければ、専任媒介の物件でも他の不動産屋から申し込みが可能です。

特定の不動産屋からしか契約できない物件は、住みたい物件が決まっている人を除いて問題にはなりません。

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もし気になるお部屋があったら、不動産屋に紹介可能か問い合わせてみてください。空室状況や物件の注意点、他に似た物件はないかなどアドバイスが受けられます。

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非公開物件(未公開物件)って何?

ネットで掲載されていない物件情報のことです。

不動産屋が持っている物件情報は膨大で、スーモやホームズなどの「ポータルサイト」に掲載されているのは全体の一部です。

業者間のサイト「REINS」や「ATBB」にはネットに非公開の物件もあります。

お部屋は不動産屋に探してもらったほうが、自分で探すより希望に合う物件が見つかりやすいです。

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売買と異なり、賃貸では媒介契約の種類に関わらずREINSへの登録義務がありません。業者間サイトに掲載されない非公開物件の数は少ないので、気にしすぎなくて大丈夫です。

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専任媒介の不動産屋は交渉しやすい?

物件や状況で大きく異なります。

専任媒介の不動産屋は、大家さんとの関係が深いぶん交渉が通りやすい場合があります。

反対に、関係が深いために通りづらいこともあります。大家さんにとって不利な内容にはストップがかかりやすいです。

交渉をしたいなら、間に客付の不動産屋を挟んだほうが良いです。交渉の進め方が悪くお金がないと思われると、家賃滞納を心配されて審査に落ちてしまいます。

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専任媒介の物件は仲介手数料が安い?

大家さんに全部または一部を負担してもらえるケースがあります。

仲介手数料の負担割合(貸主が50%する場合)

仲介手数料の金額は、不動産屋に問い合わせる他に、募集図面の右下の「手数料負担の割合」を見れば確かめられます。

ただし、専任媒介の物件でも、手数料は入居者(借主)が100%負担する物件のほうが多いです。

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専任媒介の賃貸物件のメリットは?

確認などが一般媒介よりスムーズです。

入居者にとっての専任媒介のメリット
  • ・空室確認がスムーズ
  • ・元付業者が物件について詳しい
  • ・物件によっては交渉しやすい
  • ・仲介手数料が安い場合がある

大家さんとの窓口が1つなので、元付業者と連絡できる時間帯ならリアルタイムで物件の詳細を確認できます。

管理もおこなっている場合、室内の設備についてや、これまでどんな人が住んでいたかなどの情報が得やすいです。

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募集のみ不動産屋がおこない、大家さん自身が管理する「自主管理」の物件もあります。物件によって違う部分が多く、専任と言うだけでは入居希望者にとって大きなメリットはありません。

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専任媒介の賃貸物件のデメリットは?

元付業者の力が強いところです。

入居者にとっての専任媒介のデメリット
  • ・元付業者でしか契約できないことがある
  • ・物件によっては交渉が難しい
  • ・中立の立場でアドバイスをもらうのが難しい

専任媒介の元付業者は大家さんの代理人です。中立の立場からのアドバイスをもらうのは難しいです。

設備の交換や、外壁にビス留めがあるネット回線の引き込みなど、相談ごとを入居前に話しづらいこともあります。

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不動産屋を間に挟んでおけば、揉めやすい内容を整理しながら手続きを進められます。交渉も入居を断られない引き際を見極めながら相談できます。

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賃貸の媒介契約の有効期限は?

一般的に「3ヶ月」です。

大家さんから依頼を受けた元付の不動産屋は、遅くとも3ヶ月以内に入居者を決められるように募集活動をします。

入居者を自社で見つけられると、手数料のぶん売上が増えます。しかし、自社だけで探すのは大変なので、他の不動産屋から申し込みを受け付けているイメージです。

稀に、客付の不動産屋から紹介を受けても「埋まっている」と回答して申し込みを断ったり、それをきっかけに入居希望者に直接アプローチする悪質な業者もいます。

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不動産屋を挟まずにお部屋の契約は可能?

大家さんと直接やりとりできる募集もあります。

大家さんが直接募集する「ウチコミ!」などのサイトで対象のお部屋が探せます。ただ、貸主との直接契約は入居者の保護が弱いので要注意です。

宅建業法が適用されず、契約前の「重要事項説明」がない場合があります。設備の不具合や入居者にとって不利な契約内容を見落とす可能性があります。

入居後のトラブルを避けるため、経験豊富な不動産屋にアドバイスを受けながら探したほうが良いです。

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