「賃貸の原状回復はどこまで必要なの?」
「退去費用の目安はいくら?」
賃貸は入居者が原状回復しなければいけない範囲が決まっています。
しかし、どこまで必要なのかわからず戸惑う人も多いですよね。退去費用が高額になるのではと怯えている人も…。
そこで当記事では、原状回復の範囲や費用の目安について解説しています。ぜひ参考にしてください。
この記事は、宅地建物取引士で現役の賃貸営業をしている豊田さんに監修して頂きました。
不動産屋「家AGENT」の営業マン
宅地建物取引士
賃貸の仲介会社「家AGENT」の現役の営業マン。宅地建物取引士の資格を取得している。営業マンとしての経験と専門知識を活かして、お部屋探しや入居審査についての不安や疑問を解決しています。
賃貸の原状回復はどこまで必要?
賃貸物件を退去する際の現状回復では、入居者の不注意で付けた傷や汚れをできるだけ修復しておく必要があります。修復できていないと、退去費用として高額な費用がかかります。
借りた当時の状態に戻す必要はない
普通に暮らしていて自然に付いた傷や汚れは、大家さんが費用を負担して修繕します。入居した当時の状態にまで戻す必要はありません。
常日頃からこまめに掃除していれば、退去前に排水溝や換気扇などを重点的に掃除するだけで済みます。
原状回復の基準はガイドラインで定められている
どんな傷や汚れの修繕費用を誰が支払うべきなのかは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によって下記のように定められています。
・入居者の過失による汚損は入居者負担
・経年劣化や自然損傷は大家さん負担
物を落としてフローリングを傷つけた、掃除を怠ったせいで汚れが取れない場合などは「入居者の過失」とみなされます。
年月が経つことでできる、壁紙の日焼けなどの自然な汚れは「自然損耗」や「経年劣化」に当てはまるので、大家さん負担です。
契約書類の特約事項が優先されるので注意
契約書類に「特約事項」が記載されていた場合は、ガイドラインの内容より特約事項のほうが優先されます。
例えば「原状回復費用として、一律3万円必要」など書かれていた場合は、明記されている金額を支払う必要があります。
ただし「部屋の修繕にかかる費用はすべて入居者が負担する」などの一方的な内容の特約は、無効だと主張できる場合があります。
ガイドラインに明記されている原状回復の範囲
原状回復のガイドラインに沿って、入居者が退去時に原状回復しなければいけない範囲と、大家さんが負担する範囲を紹介します。
入居者が原状回復しなければいけない範囲
入居者が不注意でつけた傷や、掃除せず放置したせいでこびりついた汚れは、キレイに掃除しておかなければいけません。
入居者が原状回復しなければいけないものを具体的に紹介します。
・物がこすれて壁紙についた汚れ
・煙草を吸ったせいで変色した壁紙
・落書きによる壁紙の汚損
・窓の結露を放置したことで発生したカビ
・窓の結露を放置したことで浮いた壁紙
・洋服をかけるために壁に開けた穴
・金具のない天井につけた照明器具の跡
・キャスター付のイスによるキズ、へこみ
・家具の移動によってできた傷、汚損
・布団を敷きっぱなしにして発生したカビ
・こぼした飲食物を放置してできた汚れ
・掃除せずホコリが固まってしまった換気扇
・髪の毛が絡んで流れにくい排水溝
・エアコンの水漏れによる壁や床の腐食
・ベランダの鳥のフンを放置した汚れ
・ペットがつけた傷跡
・乱暴に使ったために歪んだ鍵
原状回復できなかったものは、原状回復費用や清掃費用として敷金から引かれるか、別途費用を請求されます。
大家さん負担になるもの
長年住んでいたため自然と汚れた経年劣化部分と前入居者がつけた汚れや傷は、入居者ではなく大家さんが負担します。
原状回復の中で大家さんが負担する範囲を下記にまとめました。
・冷蔵庫やTVなどの家電による壁の電気焼け
・カレンダーや時計のために壁に開けた画鋲の穴
・壁についたカレンダーや時計の跡
・エアコン設置によるビス穴、跡
・ベッドやタンスでへこんだフローリング
・畳の表替え、裏返し
・エアコンの内部洗浄
・自然災害によるガラスの損傷
・網戸の張り替え
・専用業者を入れないと清掃できない部分の汚れ
・破損や紛失以外での鍵の取り替え
・耐用年数経過による設備品の故障
・フローリングのワックスがけ
・台所、トイレの消毒
ただし、普通に使っていて破損した設備を放置した場合は、経年劣化が原因の破損であっても、入居者が負担しなければいけません。
設備の破損を見つけた際は、すぐに大家さんか管理会社に連絡しましょう。
原状回復にかかる費用目安
原状回復にかかる、大まかな費用をまとめました。あくまで目安なので、自分のお部屋がだいたいどれくらいの退去費用になるかの参考にしてください。
壁紙の張り替え/㎡ | 750~900円 |
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ふすまの張り替え/1枚 | 3,000~4,500円 |
トイレの水垢・カビの清掃 | 5,000~8,000円 |
床材についた汚れ/1ヶ所 | 10,000円 |
サッシのカビの清掃/1ヶ所 | 10,000~20,000円 |
浴室の水垢・カビの清掃 | 10,000〜20,000円 |
キッチンの油汚れの清掃 | 15,000〜25,000円 |
床材の張り替え/1枚 | 8,000~10,000円 |
壁の下地ボードの取り替え | 25,000~60,000円 |
壁紙の張り替え(全面/6畳) | 30,000~40,000円 |
柱の修繕 | 10,000~40,000円 |
カーペットの張り替え | 40,000~60,000円 |
フローリングの張り替え | 80,000~120,000円 |
汚れや傷が目立つ場合は、原状回復費用が高くなります。
ただし、同じお部屋に長く住み続ければ、設備や建物の劣化と判断され、原状回復費用が安くなります。一般的に6~8年以上住めば、経年劣化とみなされます。
原状回復のために退去前にやるべきこと
お部屋を原状回復するために、退去前にやるべきことを4つ紹介します。少しでも退去費用を抑えるためにも、必ずやりましょう。
水回りの清掃
意外と見落としがちですが、キッチンや風呂場などの水回りを綺麗にしましょう。排水溝やゴムパッキン、蛇口周りのサビなど、細かいところを重点的に掃除してください。
また、トイレのタンクの蓋を開けられるタイプのものは、タンクの中の水垢や黄ばみも掃除しておくべきです。
水垢や黄ばみにはクエン酸が効果的です。汚れている箇所にスプレーを吹きかけて、メラミンスポンジでこすりましょう。ホームセンターや薬局で購入できます。
換気扇内の清掃
外せるタイプの換気扇は、内部もキレイに掃除しましょう。外せないタイプのものは、掃除できる部分のみ掃除しましょう。
換気扇にこびりついた油汚れなどは、キッチンマジックリンなどアルカリ性の洗剤がおすすめです。
お家に重曹がある人は、重曹でもキレイに落とせます。200ccほどの水に小さじ3杯ほどの重曹を入れれば、簡易洗剤として使えます。
清掃した後は、キッチンペーパーなどで、水分を完全にふき取ってください。
壁の小さな穴を修復する
画鋲やビスで開いた小さな穴は、木工用ボンドや補修グッズで修復しましょう。
白い壁の場合、先が細いものを使って穴の中にティッシュを埋め込み、その上から薄く木工用ボンドを埋めれば完成です。
木目調や黒い壁など木工用ボンドで修復できない場合は、ホームセンターで売っている補修グッズで穴を埋めてください。
小さな傷やへこみを修復
フローリングや壁の傷やへこみも、小さなものであれば自分で修復できます。
100円均一やホームセンターで売っている「傷消しクレヨン」で傷跡を隠しましょう。
えぐれた傷は、クレヨンを削ってライターなどで溶かし傷に埋め込みます。固まったら、水で濡らしたティッシュや雑巾で上からなじませるように拭きましょう。
壁や床のへこみは、へこんだ部分を水で濡らし布越しでアイロンを当てましょう。水分で膨張して、へこみがもとに戻ることがあります。
退去時は不動産屋に立会いをしてもらうべき
退去時には必ず不動産屋と立会いをして、自分の負担する傷や汚れの範囲をはっきりさせましょう。見積書が届いたときに確認できるよう、それぞれの箇所を写真に撮っておくべきです。
「忙しいから」という理由で退去立ち合いをしなかった場合、退去後の見積もりが高額になり、敷金だけでは賄えない恐れがあります。
原状回復費用に納得がいかない場合の対処方法
不動産屋から渡された退去費用の見積もり金額や、原状回復の範囲に納得できない場合は下記の2つを試してください。
不動産屋に確認
見積もりに疑問を感じたら、すぐに不動産屋に確認しましょう。ほとんどの不動産屋が最初は多めに退去費用を請求してくるのが現状なので、細かい項目も見てください。
不動産屋に確認するときは、ただ漠然と「納得がいかない」と伝えるのではなく、国土交通省の「原状回復のガイドライン」と照らし合わせて納得のいかない部分を指摘しましょう。
消費生活センターの窓口に相談
「不動産屋に相談したが、原状回復されていないと言われた」など、納得がいかない場合は消費生活センターや国民生活センターに電話しましょう。
「退去費用の見積もりをもらったが、原状回復した部分で相談させてほしい」と伝えてください。窓口の人は対応に慣れているので、適格なアドバイスがもらえます。
相談料は無料なので、少しでも納得できない点がある場合は相談しましょう。
最悪の場合、民事裁判を起こすことも可能ですが、手間や裁判費用が掛かるので最終手段にしてください。
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