「強制退去になる理由とは?」
「契約違反するとすぐ追い出される?」
マンションやアパートで契約違反をしても、即日家を追い出されることはほとんどありません。強制退去までは段階的に手続きが進められます。
しかし、管理会社の電話や催告を無視するのは危険です。「信頼関係が破壊された」という理由で、すぐ強制退去させられるケースも…。
そこで当記事では、賃貸を強制退去させられる理由を5つ解説します。強制退去までの流れや、退去費用についてもまとめています。
不動産屋「家AGENT」の営業マン
宅地建物取引士
賃貸の仲介会社「家AGENT」の現役の営業マン。宅地建物取引士の資格を取得している。営業マンとしての経験と専門知識を活かして、お部屋探しや退去費用についての不安や疑問を解決しています。
強制退去になるのは賃貸契約や規約に違反した場合
入居しているマンションやアパートを強制退去させられるのは、賃貸契約上の取り決めや、入居規約にかなり悪質に違反した場合です。
家賃滞納を繰り返したり、ペット不可の物件で隠れて犬や猫を飼ったりすると、契約違反になり、退去を勧告される危険が高いです。
また、契約違反でなくても、騒音や悪臭問題などの住民トラブルを繰り返すなど「入居規約」に違反している場合も、強制退去に発展する場合があります。
「賃貸物件」とひとくくりに表現しても、ゴミ出しのルールや夜間の騒音についての取り決め、使用できる暖房器具などの規約は、ケース・バイ・ケースです。
以前に住んでいた物件で問題にならなかったことでも、新しく入居したお部屋では違反行為になる可能性があります。賃貸契約を結ぶ際は、契約書や入居規約をきちんと把握しましょう。
「入居規約」については、賃貸契約書に列記していることもあれば、別紙でまとめられている場合もあります。不明な点は、不動産屋のスタッフに確認しましょう。
強制退去を求められる可能性が高い5つのケース
強制退去を求められる可能性が高い5つのケースをご紹介します。
②騒音トラブルを繰り返している
③ペットを無断で飼っている
④契約者以外の人にお部屋を又貸ししている
⑤銀公の取引停止処分を受けた
ほかにも、ベランダにゴミを溜めていて悪臭が問題になっていたり、駐車場を無断で専有するなど迷惑行為がある場合も、強制退去になる可能性があります。
以下では、それぞれのケースについて、詳しく解説します。実際に、以下のケースで退去問題にまで発展した人の体験談も合わせてご紹介するので、参考にしてください。
①家賃を数ヶ月滞納している
強制退去になるケースのなかでもっとも多いのは数ヶ月にわたる家賃の滞納です。
うっかり振り込みを忘れたり、残高不足で引き落としできなかったなど、家賃の支払いが1~2日遅れただけでは、強制退去にはなりません。
ただ、2~3ヶ月と家賃の滞納期間が長引き、大家さんや管理会社からの督促にも応じなかった場合は、契約違反を理由に強制退去を求められる危険性が高まります。
また、1ヶ月だけの滞納であったとしても、あまりに頻度が多くて、大家さんとの信頼関係が損なわれてしまった場合にも、強制退去を言い渡される可能性があります。
事情があって家賃の支払いが遅れている場合でも、家賃を支払う姿勢を見せるために、大家さんからの連絡には応じるべきです。
②騒音トラブルを繰り返している
友人を自宅に招いて夜遅くまで飲み会をしたり、音楽を大音量でかけていたりという騒音問題を繰り返していると、強制退去に発展する可能性があります。
どの程度の音が「騒音」にあたるかは、賃貸物件によって変わります。夜間に洗濯機や掃除機の使用がNGな場合もあります。集合住宅は共同生活なので、マナーを守って暮らすべきです。
また、楽器の音も騒音問題になりやすいです。たとえ「楽器演奏可」のマンションであっても、演奏する時間帯や、音量によっては問題になることがあります。
自宅で楽器を練習したい場合は、入居前に、どんな楽器をいつ扱う予定なのか、不動産屋に相談すべきです。
③ペットを無断で飼っている
「ペット不可」の物件であるにもかかわらず、犬や猫などを室内で飼っていると強制退去になります。
「外に連れ出さなければバレない」と考えていたとしても、鳴き声や、動物特有の匂いですぐに気づかれてしまいます。
「ペット可」の物件であっても、大型の動物は飼えなかったり、多頭飼いが禁止されている場合があります。ペットを飼う前には、必ず大家さんか管理会社に確認すべきです。
④契約者以外の人にお部屋を又貸ししている
賃貸契約者以外の人を無断で入居させることは「又貸し」という契約違反になり、強制退去の要因になります。
自室を「民泊」に利用したり、出張中に親戚が代わりに住んだりするようなケースです。また、一人暮らし用に契約した物件で、無断で恋人と同棲することも禁止されています。
⑤銀行の取引停止処分を受けた
銀行の取引停止処分を受けてしまった場合も、家賃を支払えない状態になるため、強制退去になる可能性があります。
銀行が使えなくなるのは、差し押さえをされたり、自己破産をした場合です。
お金を自由に使えなくなるだけでなく、居住場所もなくなってしまう危険があるので、大きな借金を負ったり、脱税をおこなうのは、絶対にやめましょう。
強制退去の流れ
賃貸物件の強制退去は、下図のような流れで進みます。
契約違反や規約違反などの問題が起きても、すぐに強制退去になるわけではありません。
まずは問題になっている点を改善するよう、管理会社を通じて連絡があります。滞納している家賃を支払ったり、騒音問題を改善したりすれば、問題は解決します。
もしも管理会社からの電話に出なかったり、指摘された問題を改善しなかったりすると、約1ヶ月後に契約解除についての書類(契約解除予告状)が届きます。
早ければ、家賃の滞納などから2~3ヶ月程度で契約解除になります。
契約解除後にも入居者が退去しない場合は、大家さんは少額訴訟を起こし、強制退去の手続きをします。法的手段で強制退去になった場合は、家財一式を撤去される危険もあります。
強制退去にかかった費用は入居者の負担
訴訟を通じて強制退去になった場合、かかった費用は入居者の負担になります。
はじめは大家さんが費用を出すことになりますが、退去後には、入居者に請求されます。また、滞納していた家賃がある場合は、遅延損害金と合わせて請求されます。
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