「新築マンションを買うときの注意点は?」「失敗しない買い方を知りたい」などの疑問にお答えします。
新築ならではの注意点や、中古マンションとの違いをわかりやすくまとめました。失敗を防ぐポイントを徹底解説します!
この記事は、ファイナンシャルプランナーで、宅地建物取引士の岩井勇太さんに監修してもらいました。
チャット不動産イエプラ メディア事業部
ファイナンシャル・プランナー
宅地建物取引士
日本FP協会認定のFP。不動産やライフプランに関する専門知識と経験を活かして、最適な物件選びから、長期的にみて損しない住宅購入までをサポートしています。一人暮らしやファミリー世帯など、幅広い世帯からリピートをいただいています。
目次
新築マンション購入の注意点は3つ
新築マンション購入の注意点は、大きく分けて「費用」「建物」「立地」の3つです。
購入前に確認することで、失敗する確率を減らせます。以下で表にまとめました。
新築マンション購入の注意点 | ||
---|---|---|
費用 |
・物件は価格に見合っているか ・諸費用を含めた予算は充分か ・住宅ローンの借入額は適正か |
|
建物 |
・購入前に物件現地の室内が見れるか ・モデルルームと物件の設備の差 ・購入者の年齢層や家族構成 |
|
立地 |
・災害のリスクは高くないか ・資産価値が保てる立地か ・近所の開発計画 |
購入前の確認が不十分だと、費用面で損したり入居してから後悔します。時間や労力の無駄を減らすためにも、注意点を押さえて、物件選びの失敗を防ぎましょう。
この記事では、表にまとめた注意点をわかりやすく解説していきます。
新築マンションを購入した人の感想や、新築にない中古の魅力も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
新築マンション購入者のリアルな口コミ
2021年9~10月に、当サイト「スマイノ」が実施したアンケートで「新築マンションを購入した人の感想」を記入していただきました。
結果、満足している人だけではなく、確認不足で後悔している人もいます。掲載の許可がもらえた範囲で3つ紹介します。
回答者の皆様を含む多くの人は、モデルルームだけを内見(内覧)して、購入する判断をしています。
新築マンションは、完成前から販売を始める「青田売り」が多いからです。
過去に騒音に悩まされた経験がある人や、日当たりや眺望を重視する人は、実際に住むお部屋を確認してから購入するべきです。
岩井
新築は売る側の利益が妥当か判断すべき
新築の費用面で気を付けるポイントは、売る側の利益が多く含まれる点です。また、売主が個人の中古なら不要な「建物の消費税」も含まれています。
新築は「住むと20%価値が下がる」と言われています。価格全体の約20%は、広告費などの販売経費だからです。
中古は、購入費用と価値が一致しやすいです。新築時より価値が下がっていますし、販売経費は価格全体の10%程度だからです。
新築の平均㎡単価は中古の倍近く
2021年9月の全宅連の統計によると、首都圏の中古マンション平均㎡単価は59.2万円です。新築マンションは117.8万円で、中古マンションの倍近く高いです。
2021年3~9月の、不動産経済研究所と東日本不動産流通機構の統計を、以下で表にまとめてみました。この統計では新築が平均2,000万円以上高いです。
出典:不動産経済研究所(新築価格) 東日本不動産流通機構(中古価格)
新築を買うときは、中古の倍近く高くても住む価値があるかどうか、慎重に見極める必要があります。
購入価格の他にも諸費用がかかる
購入価格の他に、関係者への手数料などの「諸費用」がかかります。新築マンションの諸費用は、販売価格の3~5%が目安です。
諸費用は、選ぶローンや、物件の価格によって差があります。多いと7~10%かかるケースもあります。
以下で、初期費用の大まかな例を紹介します。住宅ローン4,000万円、販売価格5,000万円のマンションを想定しています。
金額の目安 | |
---|---|
ローンの借入費用 | 約70~100万円 |
保険料(5年分) | 約20~40万円 |
登記に関する費用 | 約30万円 |
印紙税 | 約3万円 |
修繕積立基金・管理準備金 | 約30~50万円 |
合計 | 約100~250万円 |
初期費用を抑えたいなら、住宅ローンに含める方法があります。
マンション購入の初期費用や諸費用については、次の記事でも詳しく解説しています。
新築は値引きが難しい
新築マンションは、値引きが難しいです。人気があるので、値引きがなくても、購入希望者は現れるからです。
ライバルがいなければ、値引き交渉できる場合があります。しかし、相場は20~100万円ほどで、大幅な値引きは難しいです。
中古マンションはそもそも安く、新築マンションより値引きが通る余地があります。
新築は建設中が多いので内見できない
新築では、モデルルームや資料だけを見て契約するケースが多いです。完成前から販売開始する「青田売り」のほうが、売れ残りにくいからです。
希望通りのお部屋で決めたいときは、多くの場合、完成前に契約を結ぶ必要があります。
完成物件の室内なら見れますが、より慎重に判断するべきです。周辺環境などに問題があり、売れ残っている可能性があるからです。
モデルルーム内見時の注意点
モデルルームでは、購入予定のお部屋の雰囲気が確かめられます。ただし、実際に住むお部屋を見れないときは、以下の注意が必要です。
- ・展示されている設備がない可能性がある
- ・間取りが違う可能性がある
- ・大勢の人がいて落ち着いて内見できない
- ・内見用の家具のせいで冷静に判断できない
- ・住んだ後のイメージがしづらい
販売業者は、契約を結ぶため、モデルルームの見栄えに力を入れています。
現地や資料しか判断材料がないときは、販売業者に不明点を確認しましょう。
実際に購入した後、予想していた設備がなかったり、間取りや広さが異なったりする場合があるからです。
岩井
購入前に他の住人が確認できない
新築マンションでは、購入する前に他の住人を確認できません。建物が完成した後に入居するタイミングが、全員ほぼ同じだからです。
どんな人が住むのかは、予想するしかありません。隣人トラブルを確実に防ぎたいなら、すでに住人がいる中古物件のほうが無難です。
新築では、販売業者がターゲットにしている層や、街の雰囲気などを意識しましょう。繁華街の近くと閑静な住宅街では、住む人のタイプが異なります。
建物の不具合が発見しづらい
新築物件のため、実際のお部屋に隠れた不具合があっても、内見では見つけられません。配管や通気管の施工不良などです。
入居して一定期間は、不具合を見つけたら、販売業者に「契約不適合責任」を問えます。ただし、手抜き工事などを見破るのは難しいです。
完成から年数が経過した中古なら、建築時点でのトラブルの多くは表面化しています。メンテナンスの履歴も確認できるぶん安心です。
立地は災害リスクや資産価値で見極める
立地は、災害リスクや資産価値を見極めて厳選するべきです。販売価格に与える影響が大きいからです。
安心して長く住めて、利便性が高い家は資産価値が下がりにくいです。買いたい人や、借りたい人が見つかりやすいためです。
街の評判や口コミの他、自治体のホームページや過去の取引事例を見て、総合的に判断しましょう。
災害リスクはハザードマップで確認
災害リスクは、自治体のハザードマップを参考に確かめましょう。近年は自然災害が増えているので、購入前に確認しておくべきです。
水害リスクがあるエリアなら、階数を高くしたり、川から離れた立地を選んだり、避難場所までのルートを確認してみてください。
好立地だと資産価値が下がりにくい
好立地のマンションは、資産価値が下がりにくいです。駅の近くや、買い物環境が整っている立地は、利便性が高く人気があるからです。
人気の街ランキングの上位になるような街や、商業施設や新駅など、開発予定が注目されているエリアもおすすめです。
新築で立地が良いと、販売価格は高いです。予算オーバーなら、立地を妥協したり、中古を選んだりすれば、コストが抑えられます。
将来の価値まで考えるべき
新築も住めば中古になるので、将来の価値まで考えるべきです。例えば、好立地でも築年数が経つほど、価値は下がっていきます。
東日本不動産流通機構の統計によると、築30年で、販売価格は半額以下まで下がります。
出典:東日本不動産流通機構 REINS TOPIC(2021年4~6月)
また、自治体のホームページなどで、周辺の開発予定も確かめましょう。公共工事などで周辺環境が変わると、立地の評価に影響が出るからです。
「○○区+都市計画」などでネット検索すると、都市計画図が見れる場合が多いです。
将来の環境の変化は、可能な限り調べるべきです。日当たりに影響が出る建物や、騒音が出る施設の建設予定がないかなど、販売業者には積極的に質問しましょう。
新築と中古を比較して探すべき
新築マンションを検討する際は、広さや設備が似た条件の中古マンションを、あわせて探すべきです。価格差を、冷静に見直せるからです。
中古でも工夫次第で、新築よりコストを抑えて理想を叶えられます。どちらにも、メリットとデメリットがあるので、以下で解説します。
新築のメリットとデメリット
新築の最大のメリットは、誰も住んだことがないお部屋に住めるところです。「買うなら新品」というこだわりがある人に向いています。
販売価格は高いので、予算には余裕が必要です。主なメリットとデメリットを、表にまとめました。
新築マンション | |
---|---|
メリット |
・誰も住んだことがないお部屋に住める ・外観がきれいで見栄えが良い ・最新の設備が整っていている ・仲介手数料が不要な場合が多い ・住宅ローンの審査が有利 ・税の優遇措置が手厚い |
デメリット |
・値段が高く妥当か判断しづらい ・管理体制が事前に確認できない ・物件数が少なく立地が選びづらい ・入居前の内見が充分にできない ・資産価値の下がる幅が大きい ・オプション工事に追加費用がかかる |
設備や建具がすべて新品で、外観も新しく見栄えが良いです。仲介手数料が不要なケースが多いのもメリットです。
しかし、販売価格は中古より高額です。税金の優遇などが手厚くても、トータルでかかる費用は大きいです。
設備が新品でも、キッチン周りのグレードを上げたり、洗面台やお風呂に機能を追加したりすると、広告の値段より高額になってしまう場合があります。
岩井
中古のメリットとデメリット
中古の最大のメリットは、価格の安さです。内装は工事で自分好みにできますし、新築より物件数が多いので選択肢が増えます。
デメリットの多くは、物件選びとリノベーションで解決できます。ただし、安さだけで決めると失敗しやすいです。見極めるためには知識が必要です。
中古マンション | |
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メリット |
・相場があるので値段が妥当 ・物件数が多く立地が選べる ・実際に住むお部屋を内見できる ・自分好みにリノベーションできる ・管理状況が確かめられる ・資産価値の下がる幅が小さい |
デメリット |
・物件によっては外観の見栄えがよくない ・仲介手数料がかかる ・旧耐震基準の物件もある ・税金の優遇が新築より少ない ・共用部分は工事で変えられない |
新築より安く買えるぶん、内装にお金をかけられます。骨組み以外を大がかりに工事して、間取りや設備を自分の好みにできます。
中古の諸費用の項目は多いですが、物件自体が安いぶん、トータルの出費は抑えられます。
みんなで使う共用部分については、工事で変更できません。どこまで理想に近づけられるかは、漏れなく確認が必要です。
岩井
中古は事前に確認できる情報が多い
中古は、実際に住むお部屋が内見できますし、事前に確認できる情報が多いです。マンション管理組合の書類が確認できるからです。
管理組合とは、マンションの維持管理のために、入居者で構成する団体のことです。マンションの管理は、住みやすさや資産価値を保つために重要なポイントです。
中古マンションで確認できることを、以下にまとめました。
- ・建物の管理体制
- ・各設備の状態や使い方
- ・室内での音の聴こえ方
- ・日当たり、眺望、風通し
- ・他の入居者の雰囲気
- ・管理組合の収支
- ・漏水などのトラブル履歴 など
実際にお部屋に入って、外の音の聴こえ方や、日当たりが確かめられます。入居後の騒音トラブルや、イメージと違い後悔するリスクが減らせます。
また、現地の駐輪場やゴミ捨て場を見て、住人マナーや管理体制が確かめられます。
外壁に落書きがあったり、共用部分が散らかっていたりする場合は、管理体制に問題がある可能性が高いです。
持ち家の固定費が妥当か確かめられる
持ち家の固定費とは、主に税金や維持費です。中古は資料が豊富なので、固定費の金額が妥当かを確かめられます。
特に、維持管理に必要な修繕積立金と管理費は、金額が高かったり、不足していたりすると建物の老朽化が早まるので要注意です。
修繕積立金は、約10年周期で建物を手入れする「大規模修繕」に備えて積み立てる費用です。長期的な計画に基づいて、徐々に値上がりしていくのが一般的です。
新築でも将来の修繕費が必要
新築は、初期費用で「修繕積立基金」や「管理準備金」がかかります。まだ管理組合の積み立てがないからです。
不動産を所有するとかかる税金は、固定資産税と都市計画税(固都税)です。中古は売主が毎年払っているので、金額が確かめられます。
新築の固定費は、中古より安いケースが多いです。ただし、初期費用でかかる部分や、値上がりまで考える必要があります。以下の記事でも解説しています。
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