登記費用とは?不動産登記の登録免許税はいくら?相場や計算方法を徹底解説!

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登記費用がいくらなのか知りたい男性のアイキャッチ

「登記費用とは?」「相場はいくら?」という疑問を解決します!不動産登記に関する知識から相場や計算方法まで、わかりやすく徹底解説します。

登記費用を抑えられる軽減措置についても紹介します。実際に計算シミュレーションをして、イメージしやすくまとめています。

この記事はファイナンシャルプランナーの岩井さんに監修してもらいました。ぜひ参考にしてください。

監修 岩井 勇太
チャット不動産イエプラ メディア事業部
ファイナンシャル・プランナー
宅地建物取引士

日本FP協会認定のFP。不動産やライフプランに関する専門知識と経験を活かして、最適な物件選びから、長期的にみて損しない住宅購入までをサポートしています。一人暮らしやファミリー世帯など、幅広い世帯からリピートをいただいています。

登記費用とは

登記費用とは、法務局に情報を登録するために必要な費用のことです。費用の主な内訳は以下の3つです。

内容
登録免許税 登記や許認可の際に納める国税
専門家への報酬 司法書士、土地家屋調査士の報酬
登記の必要経費 専門家の交通費、書類の取得費など

一般的に、登記は不動産屋が紹介する専門家が手続きします。依頼するときは、登記にかかる費用をまとめて支払います。

登記費用の計算式
  • 専門家への報酬(必要経費などを含む)
    +登録免許税=登記費用の額

家を買うときの登記費用は合計30万円程度が目安ですが、実際はケースバイケースです。

岩井
岩井
不動産(建物や土地)の価値や、税金の軽減措置の有無で差が出るからです。また、専門家の報酬が事務所によって異なります。

法務局は登記情報などを管理する役所

法務局は法務省の地方組織のひとつで、建物や土地、会社情報などの登記事務や、戸籍や国籍などの人権に関する事務を担当しています。

登記には登録したい情報によって種類があり、それぞれ手続きや費用が異なります。

登記の種類

  • ・不動産登記
  • ・商業登記
  • ・法人登記
  • ・動産譲渡登記
  • ・債権譲渡登記
  • ・成年後見登記

住宅購入で関係するのは「不動産登記」です。以降で、登記についての解説と、費用について説明します。

不動産登記とは

不動産登記とは、建物や土地の物理的な状況や、権利に関する情報を「登記簿」に記録することです。

取引を安全かつ、スムーズに進めるための制度です。不動産がどこに存在するのか、所有者が誰かなどを登録して、情報は一般公開されています。

インターネットからも情報が取得できるので、家を買う前に所有者を確かめたり、権利関係をチェックしたりできます。

登記簿は、かつてはバインダーにまとめて紙で保管されていました。現在はコンピューター化されています。情報の取得には一定の手数料がかかります。

登記簿は「建物」と「土地」に分かれている

登記簿は建物と土地それぞれ分かれています。家を買うときは、所有者の変更や住宅ローンの担保設定のために、手続きが必要です。

登記記録は「表題部」と「権利部」に分かれていて、権利部はさらに「甲区」と「乙区」に分かれます。

甲区には所有権に関する内容、乙区には所有権以外の権利に関する内容が登記されます。

登記する内容
表題部 不動産の物理的な状況
権利部 甲区 所有権に関する事項
乙区 所有権以外の権利に関する事項

表題部の登記は登録免許税が不要で、所有権を取得した日(新築は完成日)から1ヶ月以内に、登記が義務付けられています。

期限を超えると、不動産登記法第百六十四条により、過料が10万円かかるので要注意です。

権利部の登記には、登録免許税がかかります。登記の義務はありませんが、自分の権利を守るためにも、必ず登記しましょう。

登記しておかないと困るケース

不動産に関する権利は、登記をしないと第三者に対抗できないと民法百七十七条に定められています。

「所有権移転登記」を済ませないと、あとから購入した人に所有権が移る可能性があります。

2021年7月に「A・B間の売買」があり、2021年8月に「A・C間の売買」があった二重譲渡のケースで図解していきます。

二重譲渡の図解

このようにBが先に購入していても、Cが登記を済ませていればCの勝ちです。

CがAB間の売買を知っていて「嫌がらせ目的で購入」したときなどは、登記がなくても対抗はできます。

ただし、その他にもトラブルが起きやすいので、購入後は必ず所有権の登記まで済ませましょう。

依頼する専門家は主に司法書士

登記する内容によって、専門家が異なります。家を買うときに関わるのは、主に「司法書士」です。

司法書士は法律の専門家で、権利部の「権利の登記」を依頼できます。

表題部の登記(表題登記)は、測量の専門家の「土地家屋調査士」に依頼します。更地に建物を建てるときなどは依頼が必要です。

不動産登記は主に3種類

家を買うときの主な登記は「所有権移転登記」「抵当権設定登記」「所有権保存登記」の3つです。以下で内容を解説します。

解説
所有権保存登記 最初に所有権を登録すること(新築や注文住宅など)
所有権移転登記 建物や土地の所有者が変わったことを登録する(売買や相続など)
抵当権設定登記 借り入れの担保として建物や土地に「抵当権」を設定すること

「所有権保存登記」と「所有権移転登記」は、最初に登記するか、登記されている内容を変更するかの違いです。

住宅ローンを組むときは、不動産を担保にするため「抵当権設定登記」が必要です。

抵当権とは

抵当権とは、担保から優先的に返済(弁済)を受ける権利のことです。ローンを組んで不動産を買うときは、銀行のために設定します。

不動産が担保、金融機関が抵当権者、買主が抵当権設定者です。買主がローンを返済できないときは、金融機関は家を売り(競売)に出して、お金を回収します。

競売の流れ図

家を買うときだけでなく、ローン完済後の手続きもあります。ローン完済後は「抵当権抹消登記」で抵当権を外せます。

ちなみに、売主の抵当権が残っている不動産を買うときは、引き渡しまでに抵当権を抹消してもらう必要があります。

契約する前に、いつ抹消するか説明があるのが通常ですが、必ず確認してください。

登記費用は内容によって変わる

登記費用の目安を考えるときは、必要な登記の種類、依頼する専門家への報酬、登録免許税を把握する必要があります。

専門家の報酬には上限も下限もありませんが、相場や統計は目安にできます。登録免許税は、計算方法があるので予測できます。

岩井
岩井
報酬は専門家によって違うので、目安として考えてください。今はネットが普及しているので、極端に高い報酬を請求されるケースは少ないです。

司法書士への報酬の目安表

「司法書士」の報酬について、日本司法書士会連合会の報酬アンケート結果より、関東の売買に関する報酬を紹介します。

全国の1,193名の司法書士が回答した統計で、全体の平均価格と安値10%、高値10%の平均です。建物と土地の売買を想定しています。

全体平均 安値10% 高値10%
所有権保存登記 24,707円 14,557円 41,938円
所有権移転登記 51,909円 31,105円 83,795円
抵当権設定登記 39,267円 28,003円 62,417円

出典:司法書士の報酬アンケート結果(2018年1月 実施)

例えば、ローンを組んで中古物件を購入すると「所有権移転登記」と「抵当権設定登記」で、約5.9~14.6万円が目安です。

土地家屋調査士への報酬の目安

土地家屋調査士に表題登記を依頼するのは、主に新築の一戸建てです。マンションの表題登記は基本的に、施工会社がおこなうからです。

令和元年度土地家屋調査士報酬ガイドでは、建築面積約100㎡の家で、全国平均は約8.3万円でした。

相続による土地の分割や、隣地との境界を調査してもらうと30~40万円かかるケースもあります。

登記の必要経費も負担する

一般的に、登記の必要経費も負担します。報酬の他に、必要書類の取得費や専門家の交通費、通信費なども、登記費用に加算されます。

事務所によっては必要経費を報酬に含めてくれたり、登記の種類ごとに定額で引き受けてもらえたりもします。

登録免許税の計算方法

登録免許税は課税標準×税率で計算できます。課税標準は、所有権の登記では「固定資産税評価額」、抵当権設定登記は「債権金額」です。

以下で、登録免許税の計算式をまとめました。税率は0.4~2%ですが、軽減措置とあわせて後ほど解説します。

計算式
所有権保存登記 固定資産税評価額×税率
所有権移転登記 固定資産税評価額×税率
抵当権設定登記 債権金額×税率

固定資産税評価額とは、販売価格ではなく役所の「固定資産課税台帳」に載る金額です。

新築など、まだ固定資産課税台帳に載っていないときは、国が定める固定資産評価基準に基づいて計算されます。

固定資産税評価額を知る方法

購入前に固定資産税評価額を知りたいときは、不動産屋や建築会社に質問すれば目安を教えてもらえます。

所有者や関係者は、固定資産評価証明書や役所の台帳を見て確認できます。下記リンクの固定資産税の記事で、より詳しく解説しています。

▶固定資産税についての詳しい解説はこちら

登記費用を安く抑える2つの方法

登記費用は幅があるので、少しでも安く抑える方法を2つ紹介します。

  • ①軽減措置が受けられる建物を選ぶ
  • ②安く引き受けてくれる専門家を探す

①軽減措置が受けられる建物を選ぶ

税率の軽減が受けられる建物を選べば「登録免許税」の部分が抑えられます。

登録免許税には住宅の軽減措置があり、一定の要件(条件)を満たすと税率が下がります。

ちなみに、軽減を受けるためには「住宅用家屋証明書」が必要です。役所で取得する書類で、通常は司法書士が代理で取得してくれます。

軽減措置を受けるための要件(建物)
  • ・自分が住む家
  • ・登記簿上の床面積が50㎡以上
     (マンションは専有面積が50㎡以上)
  • ・令和6年3月31日までの取得
  • ・新築または取得後1年以内に登記
  • ・昭和57年(1982年)以降の建築

令和4年3月31日までの取得に限られていましたが、令和4年度の法改正で2年間延長されています。

要件を満たすと、建物の登録免許税について、軽減された税率になります。

本来の税率 軽減後の税率
所有権保存登記 0.4% 0.15%
所有権移転登記 2.0% 0.3%
抵当権設定登記 0.4% 0.1%

例えば、借り入れ3,000万円で建物の「抵当権設定登記」をするときは、軽減措置が受けられないと3,000万円×0.4%で「12万円」です。

軽減措置が受けられると3,000万円×0.1%で「3万円」なので、9万円安くできます。

ちなみに「土地の所有権移転登記」は、令和5年3月31日までなら、税率が2%から1.5%に軽減されています。軽減措置を組み合わせると、差は大きいです。

岩井
岩井
住宅の軽減措置は、他にも住宅ローン控除、不動産取得税などがあります。なるべく税金の軽減が多く受けられる物件を紹介してもらいましょう。

その他の建物の軽減措置

他には「認定長期優良住宅」か「新築の認定低炭素住宅」の軽減措置があります。令和6年3月31日までの、所有権の登記に関する登録免許税が軽減されます。

どちらも耐震性やエネルギー効率などの基準を満たして、都道府県や区、市から認定を受ける必要があります。

内容 軽減措置
認定長期優良住宅 世代をまたいでも長く住めるような質の良い家のこと 所有権の保存、移転登記が税率0.1%(戸建ての移転登記は0.2%)
認定低
炭素住宅
二酸化炭素の排出量を抑制できる省エネな家のこと 所有権の保存、移転登記が税率0.1%

建築コストはかかりますが、所得税、不動産取得税、固定資産税などの優遇もあるので、予算次第で検討してみてください。

②安く引き受けてくれる専門家を探す

登記の手続きは、不動産屋が紹介する専門家に依頼するのが一般的です。もし登記費用が高いときは、安く引き受けてくれる専門家を自分で探すのも手です。

専門家の変更を交渉するときは「一括見積もりサービス」を使うのがおすすめです。

根拠のない交渉だと断られるので、比較できる見積もりを用意しておくと話しやすいです。

サイトの内容
不動産登記相談サポート 司法書士の一括見積もり
アイミツ 司法書士の一括見積もり
土地家屋調査士.JP 土地家屋調査士の一括見積もり

専門家を指定されたときは、変更が難しい場合もあります。話が進んでからトラブルが起きないように、早めに相談しましょう。

登記費用の計算シミュレーション

登記費用を実際に計算してみます。シミュレーションの前提条件は、次の設定です。

前提条件
  • ・販売価格3,500万円の中古マンション
    (うち建物2,600万円、土地900万円)
  • ・住宅ローン3,000万円
  • ・建物の固定資産税評価額1,500万円
  • ・土地の固定資産税評価額600万円
  • ・認定長期優良住宅ではない

必要な登記は建物と土地の「所有権移転登記」と、住宅ローンの「抵当権設定登記」で、依頼する専門家は司法書士です。

登録免許税の計算

まずは、建物の軽減措置を受けられる前提で、登録免許税を計算してみます。

登録免許税の計算
  • ・建物 1,500万円×0.3%=4.5万円
    ・土地 600万円×1.5%=9.0万円
    ・抵当権 3,000万円×0.1%=3.0万円
    合計 16.5万円

設定の条件だと、登録免許税は16.5万円でした。仮に、建物の軽減措置が受けられないと、負担が「25.5万円」も増えます。

物件選びの際は専有面積の広さや、築年数まで確認したほうが良いです。

見積もりの例

登録免許税の計算ができたので、大まかな見積もりを作成してみました。司法書士の報酬は、全体の平均を参考にしています。

報酬額 税金・実費
所有権移転登記 50,000円 135,000円
抵当権設定登記 40,000円 30,000円
住宅用家屋証明書 10,000円 1,300円
立会・日当 10,000円 0円
他書類、雑費 0円 5,700円
各合計 約110,000円 約172,000円

シミュレーションでは報酬11.0万円、税金などが17.2万円で、総額は約28.2万円でした。

実際は報酬額に消費税がかかります。見積もりを確かめるときは、報酬が高すぎないか、登録免許税に軽減措置が反映しているかをチェックしましょう。

初期費用は登記費用の他にもある

家を買うときは、登記費用の他にもさまざまな費用がかかります。

住宅ローンを組んで買うのが一般的で、ローンに含めず現金で支払う「自己資金」の内訳には「頭金」「諸費用」「手付金」があります。

登記費用は「諸費用」の中のひとつです。自己資金が少なくて心配な人は「手付金」以外ならローンに含める手段もあります。

家を買うために必要な費用の図解

手付金とは、売買契約の際に代金の一部を払う慣習のことで、相場は販売代金の5~10%程度です。

まとまった現金が出ていくのが心配なときは、手付金分のみ現金で支払って、その他の費用はローンに含めるのも手です。

お得に家を買うためには、費用を抑える方法と、支払い方法どちらも工夫が必要です。

諸費用の内訳を紹介

諸費用にどのような項目があるか紹介します。金融機関によっては、借り入れに含められない項目もあります。

予算が少なくて心配なときは、物件探しの段階から仲介の担当者に相談しましょう。少しでも負担が軽くなる方法を考えてくれます。

内容
登記代行手数料 司法書士への報酬など
登録免許税 所有権と抵当権の登記にかかる税金
印紙税 売買・ローンの契約書にかかる税金
団体信用生命保険料 死亡など万が一に備えた保険料(金利に上乗せして支払う方法が多い)
火災保険料 建物・家財の保険料
事務手数料 金融機関に支払う手数料
仲介手数料 不動産屋への報酬
固定資産税清算金 売主が1年分払う税金の日割り清算
ローン保証料 保証会社に支払う手数料
リフォーム費用など 内装工事費用・オプション設備費用

登記費用の他にも項目は多いので、トータルで考えることが大切です。諸費用の合計が販売価格の10%以下なら、交渉は売主を困らせない程度にしましょう。

登記は必要経費と考えたほうがスムーズ

登記は本来、自分で手続きできます。ただし、事実上ほとんどの人は、必要経費と考えて専門家に依頼しています。

法務局での手続きが手間なのと、取引の関係者に心配がられるからです。特に「抵当権設定登記」を自分でするのは、金融機関から断られる可能性が高いです。

高すぎて納得できないときに限って、別の専門家に依頼するか、自分でする手続きを増やして値引き交渉してみましょう。

抵当権抹消登記は自分でやったほうがお得

ローンを完済したあとの「抵当権抹消登記」については、自分でやったほうが司法書士の依頼料がかからずお得です。

登録免許税は1つの不動産につき千円なので、建物と土地なら費用は2千円で済みます。

完済後は金融機関から、手続きの書類が届きます。法務局HPで取得できる「抵当権抹消登記申請書」を書いて、必要書類とあわせて法務局に持っていくか、郵送で申請できます。

司法書士に依頼すると、数万円かかるケースもあります。日本司法書士会連合会の報酬アンケート結果より、関東の抵当権抹消登記に関する報酬を紹介します。

全体平均 安値10% 高値10%
抵当権抹消登記 15,613円 9,536円 26,001円

出典:司法書士の報酬アンケート結果(2018年1月 実施)

自分でやったほうが良い部分と、プロに任せたほうが良い部分の見極めも大切です。


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