暮らしを快適にするための情報メディア

【2021年】太陽光発電のメリット・デメリットは?やめたほうがいい?実情を解説!

太陽光発電のメリット・デメリット

「太陽光発電設置のメリットやデメリットは?」

「今導入するのは損する?やめたほうがいい?」

太陽光発電を設置すると電気代が安くなり、お得になります。しかし、設置費用は高額のため、損しないか不安になりますよね。そこでこの記事では、太陽光発電のメリットやデメリットを紹介します。

他にも、元が取れるかどうか、太陽光発電の将来性なども解説しますので、太陽光発電を設置するかどうかの参考にしてください。

太陽光発電を設置して損する?やめたほうがいい?

シミュレーション次第

太陽光発電を設置する前のシミュレーションで損得が決まります。設置費用が、10年間の売電収入と節約額の差額の合計金額で上回れば設置して得すると言えます。

太陽光発電を設置する場所によってシミュレーションは大きく変わってくるので、検討している方はLIXILのサイトなどでシミュレーションをしてみましょう。

設置費用をなるべく抑えることがポイント

太陽光発電の導入コストが高ければ高いほど、損する可能性が高くなります。

設置費用を売電や節約額の利益で上回ることがポイントなので、初期コストはなるべく安く抑えるようにしましょう。

とはいえ、長年使っていくため、安いからOKではありません。

まずは、専門業者の合い見積もりをとって、家や生活にあっているかつ安いパネルを選んでもらうことが大切です。

太陽光発電の11のデメリット

  1. 設置費用が高額
  2. メンテナンスが必要
  3. 引越し時の移設に高額な費用がかかる
  4. 屋根に負担がかかる
  5. 天候によって発電量が変わる
  6. 出力制御の影響を受ける
  7. 売電価格が下がってきている
  8. 反射光によるトラブルが起きる可能性がある
  9. シミュレーションと実際の発電量が異なる
  10. 悪質な業者に騙される可能性がある
  11. 施工不良のリスクがある

設置費用が高額

設置費用が高額であることが太陽光発電のデメリットです。厚生労働省調達価格等算定委員会の資料(※)によれば、2021年度の太陽光発電の設置費用は、27.5万円/1kWが目安とされています。この設置単価に基づいて計算すると、容量5kWの住宅用太陽光発電なら設置に135.7万円かかる計算です。

ただし、太陽光発電の容量や太陽光パネルの種類、メーカー、販売業者や施工業者によって、実際にかかる費用は変動します。住居の新築と同時に太陽光発電も設置する場合は、住宅ローンに組み込むことで長期的な支払いが可能です。既存住宅に太陽光発電を設置するリフォームの場合は、大手銀行や地方銀行のリフォームローンやソーラーローンを利用して費用を賄うこともできます。

令和3年度以降の調達価格等に関する意見 令和3年1月27日(水)

メンテナンスが必要

「太陽光発電はメンテナンスフリー」といわれることもありますが、発電効率を維持してロスを防ぐためには定期的なメンテナンスが欠かせません。

くわえて、2017年4月1日に施行された改正FIT法(※)により、太陽光発電を設置している事業者や事業所に対し、施設の定期的なメンテナンスが義務化されました。

所有者に求められること

・施設の定期的な点検
・点検結果のレポート作成、保管、経済産業省から要請された場合の提出

メンテナンス費用の相場

・1回2.8万円程度
・3~4年に1回の点検を推奨

改正FITの適用対象は事業用の中規模・大規模太陽光発電に限りません。住宅用太陽光発電にも同様の保守点検・維持管理義務が課せられています。

※参考:令和3年度以降の調達価格等に関する意見│調達価格等算定委員会(P.47)

引越し時の移設に高額な費用がかかる

太陽光発電の設置後に引っ越す場合、太陽光発電の移設に高額な費用がかかります。移設費用の金額はケースバイケースですが安くても数十万円以上、場合によっては100万円以上かかることもあるようです。

移設自体は可能とはいえ、移設するだけのメリットは少ないでしょう。また、太陽光発電を移設するとメーカー保証が切れてしまう点もデメリットです。

一般的に、太陽光発電を設置してから初期費用を回収するまでに10年前後かかるといわれています。設置後のメンテナンス費用などランニングコストもかかるため、全費用の回収には10数年かかるケースもあります。設置後の10数年間にわたって引っ越す可能性がどのくらいあるかも、導入する前に検討するべきです。

ただし、引っ越し後も住居をそのまま所有できるなら、太陽光発電を継続できます。あるいは、太陽光発電付き物件として売却・貸し出しを検討するのもよいでしょう。

屋根に負担がかかる

太陽光発電を設置すると屋根に負担がかかり、雨漏りや屋根の劣化のリスクが生じます。

太陽光パネルを取り付ける際は、屋根材に穴を開けてボルトやナットで固定しますが、穴周辺の劣化により雨漏りする場合があります。

屋根工事や太陽光発電の設置に熟練した施工業者なら穴の雨対策もしっかりと行いますが、実際には屋根の知識が乏しい設置業者も存在しているのです。設置を依頼するときは、ボルト穴などの雨漏り対策を万全にしてもらうように注意してください。

また、太陽光パネルは数百キログラムもあるため、屋根上に何も置いていない家に比べれば屋根材が劣化するリスクは大きくなります。くわえて、屋根が重くなれば大規模地震が発生した場合に家が倒壊するリスクが高まる点も考慮しましょう。ただし、家を新築する場合に太陽光発電を設置する場合は、重量を考慮に入れた構造計算も可能です。

天候によって発電量が変わる

太陽光発電は天候によって発電量が変わる点もデメリットです。雨や積雪が多いエリアや日照量が少ないエリアでは、晴れ・曇りが多く日照量の多いエリアよりも発電量が少なくなります。

また、日照量が多ければ発電量が増えるというわけでもなく、太陽光パネルの表面が高温になる場合にも発電量が低下します。太陽光パネルの公称最大出力は、最も効率的に発電する「パネル表面温度25℃」を基準とした数値です。太陽光パネルの表面温度が25℃から1℃高くなれば、出力は0.4~0.5%低下するといわれています。

ちなみに、太陽光パネルの表面温度は気温とは別です。太陽光パネルはできるだけ直射日光が当たる場所・角度に設置されることにくわえて、屋根からの照り返しも受けます。そのため、太陽光パネル表面温度が外気温よりもかなり高温になる場合もあるのです。

出力制御の影響を受ける

出力制御の影響を受ける場合があることも太陽光発電のデメリットです。

出力制御とは、電力会社の調整により、余剰電力があっても出力が制限される(売電できない)ことを意味します。出力制御を行う理由は電力の需要・供給バランスを一定に保つ必要性と、送電線の容量です。2021年4月1日以降は、日本全国において無制限・無補償で出力制御に応じることが義務化されました。

ただし、太陽光発電に出力制御が要請される順位は高くありません。火力発電の出力制限や揚水への電力活用、他地域への送電、バイオマス発電の出力制限を実施しても電力供給が過剰となる事態になって初めて、太陽光発電に出力制御が課されます。たとえば、2020年3月の九州電力におおて出力制御の前日指令が出た日数は19日間でしたが、太陽光発電に対して実際に出力制御が実施されたのは14日間でした。

くわえて、太陽光発電が出力制御の対象となっても規模の大きな設備から制御されるため、住宅用太陽光発電が出力制御の影響を受けることは少ないでしょう。

売電価格が下がってきている

年度 売電価格
2012年 34~42円(※)
2013年 31~38円(※)
2014年 30~37円(※)
2015年 27~35円(※)
2016年 25~33円(※)
2017年 25~30円(※)
2018年 25~28円(※)
2019年 24~26円(※)
2020年 21円
2021年 19円
2022年 17円(見込み)

※住宅用太陽光発電(10kW未満)売電価格の推移
※2012年~2019年は出力制御対応機器設置義務の有無、ダブル発電の有無により売電価格が異なる

FIT制度下でも太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの売電価格は年々下がり続けており、10年で約50%も安くなりました。住宅用太陽光発電(10kW未満)のFIT売電価格は、FIT制度が始まった2012年が34円だったことに対し、2020年が21円、2021円が19円、2022円は17円になる見込みです。

また、FIT期間満了後に売電を続ける場合の価格は、FITの売電価格よりさらに下がります。売電先の電力会社にもよりますが、7~10円未満が相場です。

以前よりも太陽光発電の設置費用が安くなったことがFIT売電価格の下落した理由とされています。とはいえ、FIT制度が始まった時期と比較すると、太陽光発電の売電で大きな収入を得るメリットを得にくくなっているのは事実です。

反射光によるトラブルが起きる可能性がある

太陽光発電の設置場所や設置の向きなどによっては、太陽光が太陽光パネルに反射して隣家などに入ると「まぶしい」「暑い」と感じる人が出るなど、近隣トラブルにつながる可能性があります。反射光が道路に当たる場合は、車・自転車などの運転手や通行人の目を直撃して交通事故の原因になる場合もあるでしょう。

反射光トラブルは、北側の屋根に太陽光パネルを設置した場合に頻発します。なぜなら、南側の屋根にある太陽光パネルは上に向かって反射しますが、北側の屋根の場合は下に向かって反射するからです。

場合によっては北東側や北西側の屋根に太陽光発電を設置した場合も注意が必要です。たとえば、隣家の窓が屋根よりも上にある場合や、住居の屋根でなくカーポートの屋根に太陽光発電を設置した場合、太陽光パネルからの反射が隣家に向くかもしれません。角度が急な屋根に太陽光パネルを設置する場合は、設置の向きに関わらず反射光害が発生する場合があります。

反射光によるトラブルを防止するための対策

太陽光発電の反射光トラブルを防止するには、反射光がどこに向くか、どこまで届くかを、事前にシミュレーションしなければなりません。また、稼働を開始してから1年間は、反射光害が発生していないか自分の目で確認するようにしましょう。

反射光害への対策として、反射を減らす特殊加工をした太陽光パネルを購入する、隣家の窓に遮光フィルムを付けるといった方法は可能ですが、その分コストは高くなります。

シミュレーションと実際の発電量が異なる

設置前に業者が行うシミュレーションと、設置後の実際の発電量が異なる場合があります。

まず、業者がシミュレーションに設定した通りの好条件がずっと続くわけではないため、実際の発電量はシミュレーションよりも少なくなります。太陽光発電は天気や日照量、太陽光パネル表面の温度などにより発電量が変動するため、年間の天気の変化を100%予測してシミュレーションに反映させることは不可能です。

経験不足な業者や悪質な業者の場合、シミュレーションに用いるデータが不適切な場合もあります。なかには、契約させるためにわざと良い結果を出す条件でシミュレーションしている場合もあるかもしれません。また、太陽光発電機器の経年劣化によるロスに関して、販売業者の説明が不足していた場合も、数年後の発電量が予想外に低いと感じる結果を招きます。

実際の発電量は、業者のシミュレーションよりも少ない発電量で見積もっておきましょう。

悪質な業者に騙される可能性がある

太陽光発電の販売業者には悪質な業者も存在するため、業者選びを間違えると騙される可能性があります。「キャンペーン価格」「設置工事費無料」などお得な情報で消費者心理につけこんで、結果的に高額な契約をさせるケースが多数、報告されています。

悪質な業者に騙されないためには、複数の業者から見積もりを取って比較し、不自然な金額や疑問点があれば契約する前にすべて解決するようにしましょう。太陽光発電のメーカー・機種ごとに太陽光パネルのkW単価の相場を調べる方法も有効です。

太陽光発電の設置費用は、設置場所ごとに異なる屋根面積や施工方法によって変動するのが普通です。にもかかわらず、最初からセット価格を提示してくる業者は警戒したほうがよいでしょう。

施工不良のリスクがある

太陽光発電には設置時に施工不良が発生するリスクがあります。施工経験や知識が豊富な施工業者を選ぶことが重要です。

施工不良は、人手不足や価格競争による人件費削減、手抜き工事などが原因で発生します。相場と比較して安すぎる販売業者の場合、下請けとなる施工業者への支払いを安く抑えて利益を確保しているかもしれません。すると、経験豊富な施工業者の調達が難しくなり、経験値の低いアルバイトや新人に施工されてしまうおそれが出てきます。

太陽光発電の設置に関して法的に統一された基準はなく、設置方法は太陽光パネルのメーカーによっても異なります。そのため、各メーカーでは独自の研修を修了した施工者に施工IDを発行しています。太陽光発電の設置には電気工事士の免許はもちろん、施工IDも必要です。施工IDを持つスタッフがいない・足りない施工業者の場合は、相場よりも安く請け負っている可能性もあります。

太陽光発電の6のメリット

  • 電気代を削減できる
  • 停電時・災害時に電気が使える
  • 環境にやさしい電気が使える
  • パネルの断熱効果がある
  • オール電化との相性がいい
  • 寿命が長い

電気代を削減できる

太陽光発電を設置すれば電気代を削減できるメリットがあります。日中に太陽光発電で作った電気を家庭で使えば、その分、電力会社から購入する電気の量を減らせるためです。自家消費で使い切れなかった電気を売電すれば収入を得ることもできます。

くわえて、蓄電池を導入すれば日中に太陽光で発電した電気を貯めておくことができ、発電しない夜間でも使用可能です。そうすれば、電力会社からの買電量をさらに減らせ、電気代をもっと安くできます。特にFIT期間満了後は、売電するよりも自家消費を増やすほうがお得です。

停電時・災害時に電気が使える

大規模地震や台風などの災害時に停電した場合でも、太陽光発電で発電できる状態なら電気を使えることが、太陽光発電を設置するメリットです。

また、あらかじめ蓄電池を導入して電気を貯めておけば、停電中の夜間や雨の日など、発電ができないときでも電気を使えます。蓄電池の出力量には限りがあるため「通常通り」とまではいかないものの、冷蔵庫やスマートフォンの充電など必要不可欠な用途の電源を確保できるので、停電時でも安心です。

災害・停電への備えとして太陽光発電の設置を検討する場合は、蓄電池の設置も同時に考えるとよいでしょう。

環境にやさしい電気が使える

環境にやさしい電気が使えるようになることも、自宅に太陽光発電を設置するメリットです。

太陽光発電は、石油や石炭を燃やして発電する火力発電とは異なり、発電時に二酸化炭素や硫黄酸化物を排出しません。太陽光発電の電気を使って日常生活を送るだけで、地球温暖化や大気汚染などの問題に貢献することができます。

また、太陽光発電は今後の主流となる省エネ住宅「ZEH(ゼッチ)(※)」にも欠かせない設備です。自宅をZEHにすることで光熱費を抑えられたり、環境省や経済産業省の補助金(※)を受けられたりします。これから自宅を新築する方は、ZEHにすることも考慮した上で太陽光発電の設置を検討するとよいでしょう。

※ZEH:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略。ZEHとして認証されるためには、断熱・省エネ・創エネの3要素を満たし、かつ、ZEHビルダー・ZEHプランナーに認定された業者を利用してZEHを立てる必要がある。
※補助金:補助金のスケジュールと建築スケジュールが一致した場合。各年度の予算額を超える場合は抽選。

パネルの断熱効果がある

太陽光パネルには断熱効果があるため、夏は設置した真下の部屋の室内温度が上昇するのを防いでくれます。太陽光パネルが屋根への直射日光を遮ることも、室内温度を涼しく保てる理由です。太陽光発電を設置した人の体験談によれば、設置前よりも2~5℃くらい涼しくなるといわれています。

また、太陽光パネルには放射冷却を抑える効果もあります。そのため、冬は太陽光パネル直下の部屋の暖かい空気を逃しにくく、室温を暖かく保ちやすいことも、太陽光発電を自宅に設置するメリットです。

オール電化との相性がいい

オール電化との相性がいいことも自宅に太陽光発電を設置するメリットです。

オール電化住宅では、日中が高く夜間が安い、オール電化向けの電気料金プランを契約します。電気代が高くなる昼間の時間帯に太陽光で発電した電気を使うことによって、電力会社から購入する電気の量が減るため、電気代の削減が可能です。さらに、エコキュートと太陽光発電を併用すると湯を沸かす量を減らせるので、もっと電気代を抑えられます。

また、太陽光発電にくわえて蓄電池も導入すれば、日中に発電した電気を貯めておいて夜間に使えます。さらに、電力会社のオール電化向けプランで夜間の安い電気を蓄電池に貯めておき、電気代が高い日中に使うことも可能です。

寿命が長い

設備の寿命が長いことも太陽発電のメリットです。そのため、導入時の初期費用はかかるものの、長く使えます。

一般的に、太陽光パネルの寿命は20~30年、パワーコンディショナーの寿命は15年程度といわれています。太陽光パネルは長く使用することによって徐々に発電効率が下がっていきますが、メーカーごとに出力保証もあります。出力保証とは、たとえば、太陽光パネルの最大出力の下限値に対し80~90%の出力を一定期間、保証するものです。

出力保証の内容・期間はメーカーや種類によって異なるため、太陽光発電を設置する際はチェックしておきましょう。

太陽光発電は元が取れる?

住宅用太陽光発電は、一般的に約7~8年で元が取れるといわれています。ただし、売電収入だけで初期費用やランニングコストをすべて回収できるわけではありません。太陽光発電の導入によって削減できた分の電気代も収入として計算します。

太陽光発電の費用回収期間を求める計算式
(設置費用+メンテナンス費用)÷(売電収入+電気代削減額)=回収期間

売電収入は売電量、FIT制度適用期間か卒FITか、卒FITの場合は買い取ってくれる電力会社などによって変動します。また、電気代削減額も電気の使い方や電力会社との契約プランによって異なるので、実際の回収期間はケースバイケースです。

発電した電気の使い道

太陽光で発電した電気の使い道には、余剰売電、全量売電、自家消費があります。

余剰売電

自家消費しきれなかった「余った分の電気」を売電する方式です。10kW未満の住宅用太陽光発電には余剰売電のみが認められています。

全量売電

太陽光で発電したすべての電気を売電する方式です。10kW以上500kW未満の太陽光発電なら、売電方式を余剰売電と全量売電から選択できます。ただし、FIT制度における売電価格は太陽光発電の容量によって異なります。2021年度の売電価格は10kW未満が19円、10kW以上500kW未満が12円+税と、容量が大きいほうが低価格です。

自家消費

広義は発電した電気を自宅で消費すること、狭義では発電した電気をすべて自宅で消費することを意味します。

「太陽光発電の12のデメリット」でも触れたように、FIT制度の売電価格は年々下がっており、各電力会社の卒FIT向けプランの売電価格も10円を下回るものがほとんどです。今後は蓄電池の普及が進むとともに、自家消費が太陽光発電活用の主流となっていくでしょう。

FIT(固定価格買取)制度は10年間

住宅用太陽光発電(10kW未満)のFIT(固定価格買取)制度が適用される期間は10年間です。

FIT制度とは一定期間、一定の価格で電力会社に再生可能エネルギーで発電された電気を買い取ってもらえる制度で、2012年から実施されました。10kW未満の住宅用太陽光発電の場合、FIT制度が適用される10年間は一定の価格で電力会社に買い取ってもらえることが保証されています。ちなみに、10kWを超える中規模・大規模の太陽光発電の場合、FIT期間は20年間です。

FITにおける買取価格は毎年、調達価格等算定委員会の「調達価格等に関する意見」に基づいて経済産業省が決定します。2021年度の買取価格は19円/kWです。

卒FIT後の選択肢

卒FITとは、FIT制度(固定価格買取制度)による10年間の買取期間が終了することです。卒FIT後は売電単価が安くなるため、発電した電気をどうするか、改めて考えるべき時期となります。

  • 同じ電力会社に売電する
  • 売電先を変更する
  • 完全自家消費する

同じ電力会社に売電する

同じ電力会社に売電するのは最も手間がかからない選択肢です。ただし、FIT期間満了後の対応や買取金額は電力会社によって異なります。

たとえば、九州電力では特別な手続きをしなくても7円/kWhで売電を継続可能です。一方、東京電力パワーグリッドは卒FIT後の買取に対応しておらず、他社との売電契約を推奨しています。

FIT期間が終了する数カ月前に電力会社から通知が届くため、あらためて卒FIT後の売電先を検討してみるとよいでしょう。

売電先を変更する

売電先を、FIT期間中に契約していた電力会社から他社に変更することも可能です。一般送配電事業者や新電力には卒FIT後の電力を買い取るプラン各種があります。

ミツウロコでんき 基本買取プラン:8.0円/kWh、売電契約のみ
ミツウロコでんきセット買取プラン:9.0 円/kWh、ミツウロコでんきの利用と売電契約
※沖縄を除く全国エリアに対応
ENEOSでんき 九州エリア:8.0円/kWh
北海道・東北・東京エリア:11円/kWh
買取価格はエリアによって異なりますが、いずれも、各エリアの大手電力会社の買取価格より2~3円/kWh高い価格設定がされています。

 

完全自家消費する

FIT期間満了後は、太陽光発電の電気をすべて自家消費するという選択肢もあります。家庭で使う電気の大半を太陽光発電で賄えるようになれば、電気代が値上がりしても家計への影響を抑えることができます。完全自家消費するためには蓄電池や電気自動車など、電気を貯めておける設備の導入が必須です。

もちろん、新たに蓄電池や電気自動車を購入するには費用がかかります。しかし、蓄電池があれば、「太陽光発電の6のメリット」で説明したように、災害・停電時への備えが可能です。電気自動車についても、車を買い替える機会の候補として検討してみてはいかがでしょうか。太陽光発電で充電できるので、費用を抑えられます。

オール電化住宅ではエコキュートの設定変更を

オール電化住宅では、FIT期間が終了したら電気の使い方を変える必要があります。たとえば、FIT期間中は安い夜間電力でエコキュートのお湯を沸き上げる設定にしていたことでしょう。卒FIT後はエコキュートの沸き上げに夜間電力でなく、太陽光で日中に発電した電気を使うほうがお得です。沸き上げ時間の設定変更を忘れずに行いましょう。

太陽光発電の今後は?将来性を解説

  • コスト低減と変換効率の上昇
  • FIP制度への移行
  • 蓄電池との併用へシフト

コスト低減と変換効率の上昇

今後の太陽光発電は、コストが低減するとともに変換効率が上昇するでしょう。

各メーカーは、より安く、変換効率の良い太陽光発電システムの開発を行っています。変換効率とは太陽光パネルが発電できる量を示す数値です。変換効率が上昇すれば、同じ枚数の太陽光パネルでより多くの電気を得られるようになります。

変換効率には「モジュール変換効率」と「セル変換効率」があり、太陽光パネルの発電能力の指標とされるのは「モジュール変換効率」です。「セル変換効率」はセル単位の変換効率を示し、「モジュール変換効率」よりも数値が高くなります。

変換効率は太陽電池モジュールの種類や製造方法によって違いますが、国内シェア80%近くを占める結晶シリコン系太陽電池の変換効率は10~20%程度(※)です。
※薄膜パネル約10%、多結晶パネル約15%、単結晶パネル約20%

2050年までにさらなる変換効率のアップを目指す

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2050年までに変換効率40%以上の超高効率太陽電池の開発を目指しています。それが実現すれば現状の1/3~1/2の枚数の太陽光パネルで同量の電気を得られるようになるため、太陽光発電導入コストも大幅に下がることでしょう。また、海外メーカーとの競争により価格が下がることも考えられます。

FIP制度への移行

今後の太陽光発電はFIP制度へと移行していく流れです。FIT制度の目的であった再生可能エネルギーの普及は実現できたため、FIT制度は役目を終えつつあります。

FIP制度とは

FIPは「Feed-in-Premium」の略語で、基準価格(FIP価格)と市場価格との差額を「プレミアム」として交付する制度です。FIT制度では固定価格で電力会社に直接買い取ってもらえますが、FIP制度では卸電力取引市場での売電や相対取引などが基本のため、売電価格は変動します。

電力市場価格は電力の需要・供給により変動するため、市場価格が高いタイミングで売電すれば収益を増やせる点がFIP制度のメリットです。一方、市場価格変動や長期的な下落によって投資回収の予想が難しくなり、リスクが増大するというデメリットもあります。

ただし、10kW未満の住宅用太陽光発電については、当面はFIP制度の対象とはならない見込みです。国は、1,000kW以上の大規模太陽光発電など競争力の高い電源を「競争電源」に分類し、2022年度からFIP制度に移行させるとしています。50kW以上1,000kW未満の場合は、事業者がFIT制度とFIP制度から選択可能です。

FIP制度実施の理由

再エネ賦課金の国民負担軽減がFIP制度実施の理由です。

FIT制度では再エネ賦課金の高騰が問題でした。市場連動型のFIP制度に移行することによって、太陽光発電を含めた発電事業者間の価格競争が促進され、国民負担の軽減につながると期待されています。

蓄電池との併用へシフト

今後の太陽光発電は、蓄電池と併用するスタイルへシフトしていくとみられます。

「太陽光発電の11のデメリット」で説明したように、FIT制度の売電価格は年々下がっており、売電による経済的なメリットを得にくくなってきました。卒FIT後は、さらに売電価格が下がります。

そこで、今後は売電で収入を得るよりも、自家消費を促進することで電力会社から購入する電気の量を減らし、電気代を節約する使い方のほうがお得になります。導入費用はかかりますが、卒FITを見据えて蓄電池や電気自動車を導入すると、太陽光で発電した電気の効率的な活用が可能です。

これから太陽光発電を設置する方は、蓄電池や電気自動車の導入も合わせて検討してみてはいかがでしょうか。

目次